ブレーキからエンジンブロックまで
text:Jesse Crosse(ジェシ・クロス)
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translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
ボルボ・カーズは、部品の再利用と再生産を大規模に行うことで、年間250万トンの二酸化炭素排出量の削減を計画している。
同社が「循環型ビジネスの原則」と呼ぶこのプロセスでは、スチールやアルミニウムなどの主要材料のリサイクル、トランスミッションなどの複雑な部品の再生産、個々の部品の再調整などが行われる。
ボルボは昨年、約4万個の部品を再生産し、3000トンのCO2を削減。生産廃棄物の95%(17万6000トンのスチールを含む)をリサイクルして64万トンのCO2を削減した。
また、ボルボは、バッテリー再利用を手がけるバッテリー・ループ社と協力して、高電圧のEVおよびハイブリッド車用バッテリーのセカンドライフの可能性を探っており、2040年までに完全にリサイクルされた部品を使用する「完全循環型ビジネス」になることを目指している。
対象となる機械部品には、ブレーキキャリパー、電動リアアクスル、コンプレッサー、ジェネレーター、サスペンション、シャシー部品、EV用トラクションモーターのほか、エンジンブロックやシリンダーヘッドなどがある。
新品に比べて約85%の排出量減
ボルボ・カーズの戦略・サステナビリティ部門の責任者であるアンダース・カーバーグは、次のように述べている。
「このプロセスを実行することは、サステナビリティ上の大きなメリットがあります。新品の部品と再生部品を比較すると、約85%のCO2を削減できます。バージン材の消費量削減という点でも、大きなメリットがあります」
カーバーグは、キャリパーなどの部品は3~4回の再生が可能で、設計の進化に伴って交換されるまでの期間を20年まで延ばすことができると説明している。
「わたし達は、今後40年間で金属や鉱物の消費量を2倍にしようとしていますが、一方で廃棄物はますます増えています。これでは持続可能とは言えません。廃棄物だけでなく、大量のCO2も発生しているのです」
「パリ協定を達成し、CO2を削減するためには、より多くのリサイクルと再生産を行わなければなりません。だからこそ、ボルボのような企業は根本的な変化を迫られているのです」
「循環型経済は重要ですが、わたし達はこれにビジネスチャンスを見出しており、材料をより効率的に使用し、再生産することで経済的利益を得られると考えています。環境にも良いですが、ビジネスにも良いのです」
使用済みバッテリーは電力網に
経年劣化により容量が低下した高電圧バッテリーを再利用することは、バッテリー製造時の環境負荷を低減するために有効な手段であると自動車業界では広く認識されている。
ボルボのトラクション・バッテリー開発責任者であるウルリック・パーソンは、この方法によってEV用バッテリーの寿命を20年以上に延ばすことができると考えている。EV用バッテリーは、激しいサイクルの中で過酷に働かされる。
「急速充電は、高速道路の走行と同様に激しいサイクルの一例であり、充放電でバッテリーシステムに非常に速く電力を流すことになります」
例えば、グリッド・バランシング(ピーク時以外に発電された余剰電力をバッテリーに蓄え、ピーク時に電力網へ供給すること)のような用途では、バッテリーにかかる負担はずっと穏やかなものだ。
古いEVのバッテリーをグリッド・バランシングに使用することは、風力発電やソーラーパネルによる持続可能なエネルギー生成に加えて、大量のエネルギーを確保できる貴重な方法と言える。
「バッテリーシステムは、それぞれの用途に合わせて設計する必要があります」とパーソンは言う。
用途に応じたバッテリーの容量によって、サイクルの深さや浅さが決まる。バッテリーシステムを深く放電せず、容量の一部だけを使用する限り、寿命を延ばすことができるとパーソンは考えている。
「わたし達のバッテリーシステムの設計寿命は15年です。正しい使い方をすれば、さらに5年、10年とバッテリーの寿命を延ばすことができると思います。時間が経てば、他の要因も影響してくるでしょう。バッテリーは、サイクルだけでなく、経年や温度によっても劣化します」
バッテリーの寿命が尽きた後は、できるだけ多くの材料を回収してリサイクルすることを目指している。
「循環型経済を実現するためには、仕入れた材料をすべて貴重なものとして扱わなければなりません。わたし達は、ヨーテボリのチャルマース工科大学で行われているバッテリー材料の湿式製錬抽出に関する大規模な研究に参加しています」
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