ウエットコンディションでスタートし、ドライコンディションに変わった後にまたも大雨が降り、そこから再度路面が乾いていくという非常に難しい展開となったスーパーGT第4戦富士450kmレース。その中でGT300クラスを制したのは、11号車GAINER TANAX GT-R(富田竜一郎/石川京侍/塩津佑介)だった。
今回のレース展開が大きく動いたのは、25号車HOPPY Schatz GR Supra GTの車両火災によって赤旗が出され、72周目(GT300クラスは68周目)にレースが再開してからの残り数十周。中断中にスコールのような大雨が降ったことでウエットコンディションとなり、各車はウエットタイヤに履き替えてリスタートを迎えたが、その後は徐々に路面が乾いていったため、ドライタイヤに交換するか否か悩ましい状況であった。
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その頃GAINERは、10号車PONOS GAINER GT-Rと11号車の2台が4号車グッドスマイル 初音ミク AMGと首位を争っていた。11号車担当の福田洋介エンジニアが「2回目の雨は湿度が高いので乾かないと思っていた」と語る通り、確かに急激なドライアップは起こらず、マシンが走行を続けてもしばらく路面は濡れているように見えた。実際、73周目にいち早くドライタイヤに交換するギャンブルに出た18号車UPGARAGE NSX GT3は、数周に渡って全くペースが上がらなかった。
■赤旗再開後のレースペースグラフ
こちらはGT300クラスの車両の赤旗中断明けのレースペースを並べたグラフだが、18号車(グラフ黄色)はドライタイヤ交換後、ウエットタイヤのまま走り続けるライバル勢に匹敵するペースに持っていくのに相当な時間がかかっていることが分かる(赤丸1の部分)。実はGAINERの10号車も78周目にピットインしているのだが、1分50秒台を切れない周回が続き、ウエットタイヤ勢を凌駕するほどのペースは出せずにいた。
「残り周回を考えると、あまり(ドライタイヤへの交換が)遅いと手遅れになるし、先に入った10号車も全然タイム上がらなかったので、そういう意味では『早めもあかん、遅めもあかん』という状況。とりあえずスリック組のタイムを見るしかなかった」と振り返る福田エンジニア。ウエット組と遜色ない1分48秒台のタイムを出す車両が出始めたことを確認し、82周目というタイミングでのピットインを決断した。
「ダンロップタイヤは温まりが他メーカーより良さそうだったので、そこに賭けるしかなかったです」
そう語る福田エンジニア。路面コンディションが好転した絶妙なタイミングでピットインしたこともあり、11号車(グラフ黒色)は交換直後からすぐにハイペースで走った(赤丸2の部分)。タイヤ交換前と比べると、6秒ほどタイムアップしている。トップの4号車グッドスマイル(グラフ緑色)もそれをカバーするためにピットインしたが、谷口信輝がアウトラップでまさかのコースオフ。その後の4号車は、ウエット時よりも10秒も速い1分38秒台のタイムを出していたこと(赤丸3)を考えるとコースオフが悔やまれるが、11号車がウォームアップの速さを活かして勝機を手繰り寄せた形だ。
11号車のペースは、ウエットタイヤでステイアウトしてトップに立っていた61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(グラフ青色)と比べても圧倒的。11号車の富田は残り2周で61号車をオーバーテイクし、トップでチェッカーを受けた。
ただ福田エンジニアは、一番の勝因はピットインのタイミングではないと語る。
■チームに“選択肢”を残した、石川京侍のファインプレー
レース序盤、濡れていた路面がどんどん乾いていく中で、各チームは10周ほどでドライタイヤに履き替えた。ただこの時石川がドライブする11号車が履いたのは、ライフが短いと想定されるタイヤ。また雨がすぐにやってくるという判断でのタイヤチョイスだった。
しかし雨は降らないままレース中盤に差し掛かっていく。燃費的にはあと1回のルーティンストップで走り切れるが、タイヤ的にはあと2回のストップが必要になるのでは……そんな勝負権を失いかねない状況だったが、チームは富田とも相談し、石川に50ラップ過ぎまで粘らせることにした。石川はドライビングも工夫しながらタイヤをケアし、53周目まで走って富田にバトンタッチした。
「あのラップまでいけたことで、プッシュできる(ドライ)タイヤが2セット残っていました」と福田エンジニア。
「京侍があそこまで繋いでくれなかったら、レース終盤にプッシュできるタイヤは残っていなかったです。だからあそこまではいけなかったと思います」
「もちろん富田のプッシュも欠かせなかったのですが、本来ショートスティントしかいけないはずのタイヤで引っ張れたことも勝因です。石川は見かけ上はあまり目立っていないですが、貢献度で言えば一番貢献してます」
今回の11号車の勝利は、難しいコンディションのレースの中、チーム、ドライバーそれぞれが最適な仕事をした結果の勝利と言える。
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