ポールから52周を先頭で走り切り、PACIFICウマ娘BMWがチーム初優勝を飾った
今季ここまで1度も入賞を果たせずにいた9号車BMW M4 GT3 EVOが、鈴鹿では予選から誰にも前を譲らなかった。2026年8月23日に決勝を迎えたスーパーGT第5戦のGT300クラスを制したのは、9号車「PACIFIC ウマ娘 NAC BMW」である。フル参戦1年目の若手とベテランのコンビは、いかにして52周を走り切ったのか。波乱続きとなった一戦を振り返る。
SGT第5戦富士でホンダ「HRC プレリュードGT」が初勝利で1-2フィニッシュ! GT300は“奇策”を仕掛けた52号車が3年ぶりトップチェッカー
(motorsport.comの記事をもとに再編集しています)
スーパーGT第5戦鈴鹿のGT300クラスを制した9号車「PACIFIC ウマ娘 NAC BMW」
PACIFIC RACING TEAMは2026年シーズンに向けて体制を刷新し、車両をBMW「M4 GT3 EVO」、タイヤをミシュランへ切り替えた。人気コンテンツ「ウマ娘 プリティーダービー」とのコラボレーションによって、鮮やかなブルーのカラーリングをまとった9号車は、体制発表の時点から大きな注目を集めていた。ステアリングを握るのは、チーム所属3年目の冨林 勇佑と、フル参戦1年目の藤原 優汰である。
52周で争われた決勝レースで、その9号車がGT300クラスの頂点に立った。予選ではQ1を藤原が2番手で突破し、Q2で冨林がクラス初のポールポジションを獲得。決勝でも一度も首位を譲らず、チームとドライバーの双方にとって初めての勝利をポール・トゥ・ウインで飾っている。開幕から入賞圏内に届かないレースが続いていたことを思えば、まさに一発逆転の週末になった。
決勝は快晴のもと、気温34度、路面温度49度という真夏のコンディションで13時30分にスタートした。2番グリッドには、予選でわずか1000分の4秒差に泣いた777号車「D’station Vantage GT3」が並ぶ。3番手には60号車「Syntium LMcorsa LC500 GT」、4番手には61号車「SUBARU BRZ R&D SPORT」が続き、序盤からこの4台による接近戦が予想された。
61号車「SUBARU BRZ R&D SPORT」のスピンでFCY導入、序盤から荒れたGT300
スタートを決めたのは、緊張を口にしていた藤原だった。無線越しにも伝わるほど気持ちを高ぶらせていたルーキーは、それでも1コーナーへ真っ先に飛び込み、後続との間合いを保ったままリズムをつかんでいく。背後ではD’station、LMcorsa、SUBARU BRZが追走する隊列となった。
レースが動いたのは序盤である。ポジションを落としながらも上位で踏ん張っていたSUBARU BRZが、NIPPOコーナーで45号車「PONOS FERRARI 296 EVO」に追突されてスピン。グラベルにストップし、FCY(フルコースイエロー、全車が一定速度での走行を義務づけられる措置)が導入された。SUBARU BRZはコースへ復帰したものの、その後ガレージへ入り、上位争いから姿を消している。この一件では、45号車をドライブしていた川端 伸太朗に危険なドライブ行為としてペナルティが科された。
24周目まで引っ張ったピット戦略、藤原 優汰から冨林 勇佑への完璧なリレー
混乱が収まると、勝負の焦点はピット戦略へ移った。FCYが解除されたころ、すでにピットウインドウが開いていたこともあり、各車が続々とルーティン作業へ向かう。19周目に3番手のLMcorsa、20周目に18号車「UPGARAGE AMG GT3」が動くなか、ウマ娘BMWはレース距離のほぼ半分にあたる24周目まで第1スティントを引っ張った。
タイヤ交換とドライバー交代を終えた9号車は、トップの座を保ったままコースへ復帰する。ステアリングを受け取った冨林は、そこからじわじわとリードを広げていった。優勝争いに慣れないチームはピット作業で綻びが出ることも多いなか、9号車のクルーはミスなく作業をまとめている。冨林はレース後、完璧なピット作業だったとチームをたたえた。
終盤に入ると、上位陣へ相次いでアクシデントが襲いかかった。表彰台圏内を走っていたLMcorsaは緊急ピットインで後退。29周目に野中 誠太から吉田 広樹へ交代したポイントリーダーの52号車「Green Brave GR Supra GT」は、フロント2輪のみを交換する作戦で5番手まで挽回していたところ、GT500車両との接触でスピンを喫した。
52号車「Green Brave GR Supra GT」の130Rクラッシュでセーフティカー、ポイントリーダーが交代
その52号車を、さらに大きな不運が待っていた。ピットインを挟んで走行を続けていたものの、130Rでコントロールを失いクラッシュ。マシンが横転する激しい衝撃となったなか、ドライバーの吉田の無事は確認されている。
このクラッシュを受けて残り5周でセーフティカーが導入され、レースはそのままチェッカーを迎えた。ウマ娘BMWは最後まで首位を譲らず、文字どおりの逃げ切りでポール・トゥ・ウインを達成。2位には7号車「CARGUY Ferrari 296 GT3」、3位には18号車「UPGARAGE AMG GT3」が入り、予選2番手の777号車は4位でフィニッシュした。
クラッシュを喫した52号車に代わり、5位で走り切った56号車「リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R」がポイントリーダーへ浮上している。予選18番手という厳しい位置からの挽回で、タイトル争いの主導権を引き寄せた格好になる。
ルーキーの快走と、それを受け止めたベテランの堅実な仕事、そして半分まで引っ張った強気のピット戦略。すべてがかみ合った9号車BMWの勝利は、混戦のGT300クラスにさらなる火を付けた。ランキング上位の顔ぶれが入れ替わった今、残るシーズンのタイトル争いから目が離せない。
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