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マクラーレン750S Coupe 走りの答えを知るコンストラクターが作る究極のロードカー【試乗記】

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マクラーレン750S Coupe 走りの答えを知るコンストラクターが作る究極のロードカー【試乗記】

レーシングカーコンストラクターのマクラーレンが作るロードカー、750Sクーペに乗ってみた。

MP4-12Cから始まったスーパーカーシリーズ最新作で、750Sは720Sの後継モデルとして、2023年にデビューしたマクラーレンのコアモデルだ。

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レーシングカーのコンストラクターが作るロードカーは、速く走る答えを持っているとも言えるだろう。その答えだと感じるものは多々あるが、デザインもそのひとつだ。レースカー、特にツーリングカーのトレンドが取り入れられたエクステリアデザインには、納得するものがある。

かつてツーリングカーは正面から受けた風をフロントシールドに這わせ、ルーフを通って、リヤウイングに流すセンターフロー方式でデザインされていた。しかし、最近の潮流はサイドフローに変化している。

正面からの風をAピラーの付け根付近からボディサイドに流すデザインだ。750Sを正面から見ると低く抑えられたフロントフードの両サイドは盛り上がり、Aピラーの付け根からボディサイドに流れるデザインになっている。サイドに流れたエアはボディサイドに沿うように、そしてボディの内側を流れ、後方に流しているデザインだ。

またアゴから下で受けたエアはフラットボトムの下面を流れ、フロントタイヤハウス内のエアもフロントフェンダーから引き出すデザインになっており、レース専用GT3マシンと同じ設計になっているのがよくわかる。だから、このエクステリアデザインはレースカー由来とか、レースカーからのフィードバックではなく、ロードカーであっても、レーシングカーの空力性能としてデザインされているのだ。ちなみに720SやMP4-12CではGT3マシンを製作している。

そしてシザース型の変形バージョン「ディヘドラル・ドア」を跳ね上げると、カーボンモノコックが目に飛び込む。ルーフはないバスタブ型のモノコックで、そこには薄型の高級ナッパレザーシートが設置されている。なんとか、身体を滑り込ませ、シートを合わせてポジションを取る。

敢えてなのか、右ハンドルだからなのか、ペダルは左へややオフセットされているが反面、左足でブレーキは踏みやすい。フロントの視界を妨げるものは一切なく、地面に座った感覚で前方がよく見える。

ステアリングもカーボン製でスイッチ類は一切ない。軽量化なのか、運転への集中力を高めるには具合がいい。メーターパネルはディスプレイごとコラム上部に設置しているため、ステアリングのチルトや距離を変えてもディスプレイの見え方は変化せず、ドライバーオリエンテッドだ。そのディスプレイの両サイドにはエンジン制御系とサスペンション制御系を変更できるロッカースイッチがあり、ステアリングから手を離さずとも変更できる。

ありがたい装備ではビークルリフト・システムで、ボタンを押せば4秒で車体フロントを上げてくれるのだ。スロープや段差を超える時に非常に便利なシステムだ。

エンジンのスタートボタンを押すと、リカルド製の4.0L V型8気筒ツインターボが吠える。750ps/800Nmへ向上したエンジンは、レースエンジン・メーカーとして有名なリカルドが製造している。おそらくトランスミッションもリカルド製あるいはグラツィアーノ製トランスアクスルと思われる7速DCTをミッドシップに搭載。

感動的なのは、アイドルストップと再始動の瞬間だ。レースカーと同じ止まり方、動き方をするからだ。GT3マシンがピットに入ってくると車両の停止と同時にピタッとエンジンが止まる。余韻は一切ない。そして始動も同様、クランキングは全くなく始動し、エンジンは全く揺れない。すこしオタクな話だが、この感動は限られた富裕層だけが味わえる瞬間だと思っていただきたい。

マクラーレンはご存知のようにシャシーの専門メーカーであり、こうしたパワートレインを使ってどれだけ速く走れるかを知っているメーカーでもある。つまり、クルマづくりに答えがあるメーカーとも言えるのだ。このGT3にナンバーを付けたようなロードカーを市街地や高速で走らせてみたが、コンフォートモードでは、静かに走り、フツーに乗れてしまうのだ。

ただし、静かに走りながらも信じられないほどの直進性の高さとハンドリングの気持ち良さを体験できた。特にコーナリングではマクラーレンでしか経験しないものがあった。

もともと、クルマ製造のキモと言われるのが、入力エネルギーを手の内化してタイヤに伝達するとされているが、そこが難しいと言われている。750Sで体験した曲がり方はまさにその手の内化の完成度の高さなのだ。

どういうことかと言うと、直進状態からハンドルを切った瞬間、リヤタイヤが旋回エネルギーを受け止めているという曲がり方なのだ。感覚として掴みにくいかもしれないが、四輪操舵をイメージするとわかりやすい。前輪の操舵と同時に、リヤタイヤも操舵されるため、旋回エネルギーが操舵と同時に後輪も旋回モードになっているあの感覚だ。

750Sは市街地でもそうした動きが感じられるわけで、速く走る答えはゆっくり走っても感動を覚えることができ、もちろん、ワインディングやサーキットへ持ち込めば、さらに速さの答えを導き出せるだろう。そうした答えを体験することが高い価値だと評価でき、また提供できるのも限られたメーカーであり、体験できるのも限られた富裕層ということになる。

しかしながら、コンフォートモードで走行中、バウワー&ウイルキンスのオーディオでApple Car Playを流す音楽は、ボーカルが目の前のセンターで歌っているように聞こえ、GT3マシンであることを忘れる。いやロードカーだった。

さて、ここからはスペックについてお伝えしよう。ハードパーツは前述した4.0LのV8ツインターボと7速DCTで750ps/800Nmだ。0-100km/h加速は2.8秒、0-200km/hは7.2秒と強烈な加速力だ。

ダブルウイッシュボーンのサスペンションはPCCIIIで制御される。プロアクティブ・シャシー・コントールは、乗り心地、ロール制御、ステアリングのフィードバックなどが変更される。

また、マクラーレン・コントルール・ローンチャー(MCL)は、マクラーレンのマークを押すだけで作動し、空力、ハンドリング、パワートレイン、トランスミッションの各設定からオリジナルにカスタマイズでき、自分だけのダイナミクス設定がメモリーできる。

ブレーキはセラミックのローターとモノブロックのキャリパーを装備。タイヤはピレリP zero でフロントが245/35-19で、リヤは305/30-20と前後異径サイズになっている。

エクステリアではエアロも変更できる。キャビンにある「エアロ」ボタンを押すと高速コーナリングではダウンフォースを増やすことができる。またDRSはドラッグ低減機能が自動で作動し、最高速(335km/h)まで稼働する。

このように、マクラーレンの速く走る機能を満載し、最新のアップデートが行なわれているのが、ロードカーのコアモデルとなるマクラーレン750Sクーペなのだ。

価格

車両本体価格:4170万円

諸元

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