現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 【ブログ】本調子ではない王者マルク・マルケスに迫る包囲網/MotoGPセパン公式テスト

ここから本文です

【ブログ】本調子ではない王者マルク・マルケスに迫る包囲網/MotoGPセパン公式テスト

掲載 更新 1
【ブログ】本調子ではない王者マルク・マルケスに迫る包囲網/MotoGPセパン公式テスト

 2月7日~9日に行われたMotoGPセパン公式テスト。各チームとも着々とテスト項目を消化している段階でまだ勢力図が見えずらい状況でしたが、国内を中心に活躍する二輪ジャーナリスト“コトブキ”こと佐藤寿宏氏はどんなところを注目したでしょうか?。

--------------------------

MotoGP:中上、手術した右肩の影響により厳しいセパンテストを終える。「カタールテストでは80パーセントに」

 2020年最初のMotoGPオフィシャルテストが終了しました。タイム的には、ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)が3日間ともトップタイムをマークする結果になりましたが、各メーカー、虎視眈々とテストプログラムを消化したようです。ヤマハのテストライダーとして登場したホルヘ・ロレンソ、KTMテストライダーのダニ・ペドロサが好タイムをマークするなど、話題にこと欠かないセパンテストになりました。

 ヤマハはウィークポイントであるストレートスピードを改善すべくニューエンジンを投入。モンスターエナジー・ヤマハMotoGPのマーベリック・ビニャーレスとバレンティーノ・ロッシには初日からアッパーカウルのエアインテークが昨年型よりも縦長になった2020年型ヤマハYZR-M1を走らせていましたが、2019年型ベースのものもあり、それぞれ3台ずつ用意されていました。


 一方、ペトロナス・ヤマハSRTのファビオ・クアルタラロとフランコ・モルビデリには、エアインテークが横長の2019年型ベースのマシンが与えられていましたが、クアルタラロは、そのマシンで初日にトップタイムをマーク。

 2020年型に苦戦していたビニャーレスは、クアルタラロのタイムを見ると、2019年型ベースのマシンも試していましたが、2020年型を仕上げて行く方が先があるという判断を下し、2日目以降は、黙々とテストをこなしていました。特に3日目は、タイムアタックもせず、誰よりも多い83周をこなし静かな闘志を感じさせました。

 クアルタラロには、2日目より2020年型が与えられ、まずはセットアップから開始しながら、しっかりトップタイムを記録。最終日はロングランも行い、まだ課題は残っているものの、最速タイムをマークしてセパンテストを終えていました。

 ファクトリーの2台には、ホールショットデバイスが搭載され、セッション終了後に行われるスタート練習を何度も行っていました。最終日セッション開始前の暖気中にマシンを見ているとウエスが不自然に置いてありましたが、ホールショットデバイスを隠していました。まぁ、公式サイトには、しっかりムービーがアップされていましたよね。

 2日目のセッション後にも、やはりスタート練習をしていたのですが、テストライダーの中須賀が不自然なエンストをして、そのままピットにマシンを入れていただけに、開幕戦から実戦投入してくるか疑問が残るところです。あとモンスターエナジー・ヤマハMotoGPの2台のホイールは何やら日差しが当たるとキラキラしていました。熱を吸収して内圧を安定させたりする効果があるのかと想像してしまいましたが、今回は、真偽は不明なままでした。

 注目を集めたホルヘ・ロレンソは、シェイクダウンテストの3日目、オフィシャルテストの3日目に走行しました。もともと予定されていなかったため、タイヤ本数もなく、2日のみの参加となりましたが、今回はヤマハのバイクに慣れることと、自分自身のリハビリといったところでした。最初は、かなり慎重でしたが、オフィシャルテストでは、かなり調子が戻って来ていたように見えました。

 LCRホンダ・カストロールのカル・クラッチローが自身のサーキットベストを更新し、2番手につけたのは、少し意外でしたが、2020年型ホンダRC213Vは、昨年の反省を生かして、よくなっているのでしょうか? クラッチローのコメントでは、エンジンはよくなっているけれど、フロント周りは2018年型がよかったと言っており、まだまだ課題は山積みでしょうか。

 肩の調子が60%というマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は、弟のアレックスを引っ張りながらも意外に周回をこなしていましたが、2日目、3日目と2度転倒を喫していました。らしいと言えばらしいですが、体調が万全ではない中での転倒は、いかがなものかと思ってしまいました。

 アレックスは、ルーキー枠でシェイクダウンテストを2日間走ってから、オフィシャルテストを迎えていました。1分58秒台には入りませんでしたが、1分59秒042でトップから0秒693差の18番手。タイム差は少ないものの、セパンは得意としているコースだけに、ここからどう這い上がって行くか? いばらの道が待っていそうです。

 タカ(中上貴晶/LCRホンダ・イデミツ)も厳しいテストになりました。手術した右肩は、痛みがあるそうで、2日目からは痛み止めを服用していました。2019年型ホンダRC213Vは、ホルヘ用に準備していたパーツなどが多々あるらしく、テストすることも数多く残っているそうです。タカも肩の調子を見ながらパーツの選別などを行っていました。

 昨年ドゥカティは、このテストで上位を独占していましたが、今年はプラマック・レーシングのフランセスコ・バニャイアの4番手が最上位と本家のドゥカティ・チームより上にサテライトチームが来る結果になりましたがドゥカティ・チームのアンドレア・ドヴィツィオーゾとダニロ・ペトルッチは、いずれもミシュランのニュータイヤのフィーリングに慣れることが大事だとコメント。タイムを出すことよりもタイヤに合わせたセットと乗り方に重きを置いていました。

 このミシュランのニュータイヤは、ドゥカティやホンダなどの直線番長的なマシンよりヤマハやスズキなどコーナリングに優れているマシンに合っていると言う意見が多かったのですが、全体的にグリップが上がっており、各マシンとの相性がポイントとなりそうです。ヨハン・ザルコが加入したレアーレ・アビンティア・レーシングには、4台のデスモセディチGP19が用意され、ザルコとティト・ラバット、それぞれにドゥカティスタッフも付く強化ぶり。まぁそれでザルコは走る気になったのですが、初乗りのドゥカティで存在感は今ひとつでした。

 アレックス・リンスが3番手タイムを記録したチーム・スズキ・エクスターは、エアロパーツや制御などのテストはもちろん、昨年型ベースのフレームと、新しいフレームの比較テストを行いました。昨年のシルバーストーンでの勝利でも分かるように、これまでのフレームもかなり完成度が高かったのですが、それを上回るために作り上げたのが今回持ち込んだニューフレームでした。ふたりとも好印象だったようですが、現状で1台分しかなく、開幕までに2台そろえるのが間に合うかどうかという状況だそうです。

 テストライダーのペドロサが2日目に1分58秒662をマークし3番手につけたレッドブルKTMファクトリー・レーシングも、いよいよトップコンテンダーの仲間入りを果たしそうな勢いを感じさせました。最終日にはエースライダーの意地を見せたポル・エスパルガロが1分58秒610をたたき出しトップから0秒261差の7番手と健闘。MotoGP、2年目のミゲール・オリベイラも1分58秒台に入れているだけにマシンは着実に進化しているようです。

 アプリリア・ファクトリー・レーシングは、フルモデルチェンジしたアプリリアRS-GPをエースのアレイシ・エスパルガロ、そしてアンドレア・イアンノーネに代わりテストライダーからレギュラーに昇格することが確実なブラッドリー・スミスに1台ずつ用意し、大きなトラブルもなく周回を重ねていました。3日間総合では、1分58秒694で10番手でしたが、トップとの差も僅かしかなく、シェイクダウンとなったテストでは上々の結果だったと言えるでしょう。

 さて、次は、2月22日から24日まで開幕戦の地、カタールのロサイル・インターナショナル・サーキットでオフィシャルテストが行われます。ここである程度、勢力図が見えて来るでしょう。マルク、そしてタカが、どこまで回復しているか? 皆さん要チェックですよー。

こんな記事も読まれています

続報 マジで歴史的英断か!? 東海道新幹線に個室座席新設で1323席のルールが破られるのか?
続報 マジで歴史的英断か!? 東海道新幹線に個室座席新設で1323席のルールが破られるのか?
ベストカーWeb
もしや未来のレジェンドか!?!? 次世代電気自動車「Honda0(ゼロ)シリーズ」が衝撃 しかもほぼそのまま市販モデルになるってマジか
もしや未来のレジェンドか!?!? 次世代電気自動車「Honda0(ゼロ)シリーズ」が衝撃 しかもほぼそのまま市販モデルになるってマジか
ベストカーWeb
ガルウイングにした本当の理由は? AMG初の独自開発「SLS AMG」はメルセデス・ベンツ「300SL」の再来でした
ガルウイングにした本当の理由は? AMG初の独自開発「SLS AMG」はメルセデス・ベンツ「300SL」の再来でした
Auto Messe Web
RB、アイウェアブランド『HUGO Eyewear』とのパートナーシップ締結を発表
RB、アイウェアブランド『HUGO Eyewear』とのパートナーシップ締結を発表
AUTOSPORT web
「見た目」にビビなら買い! 日産ジューク・ハイブリッドへ試乗 内装とデジタル技術をアップデート
「見た目」にビビなら買い! 日産ジューク・ハイブリッドへ試乗 内装とデジタル技術をアップデート
AUTOCAR JAPAN
フォーミュラEが面白い! 日産とシェルの関係や過去のシーズンを知って、今期後半をもっと楽しもう
フォーミュラEが面白い! 日産とシェルの関係や過去のシーズンを知って、今期後半をもっと楽しもう
Auto Messe Web
アストンマーティン代表、ストロールへの裁定は厳しいと語る「しっかりと理解されないまま判定が下された」/F1第5戦
アストンマーティン代表、ストロールへの裁定は厳しいと語る「しっかりと理解されないまま判定が下された」/F1第5戦
AUTOSPORT web
ヨシムラSERTが転倒後に追い上げ優勝、3ART綿貫も3位。TSR、Étoileは無念のリタイア/EWC第1戦ル・マン24時間
ヨシムラSERTが転倒後に追い上げ優勝、3ART綿貫も3位。TSR、Étoileは無念のリタイア/EWC第1戦ル・マン24時間
AUTOSPORT web
ホンダの「V8スポーツカー」!? 500馬力超えの「FRマシン」! “NSX後継機”目された「HSV-010」とは
ホンダの「V8スポーツカー」!? 500馬力超えの「FRマシン」! “NSX後継機”目された「HSV-010」とは
くるまのニュース
アルファ・ロメオ 車名に "ケチ" つけた政治家へ苦言「名前より雇用守る努力をせよ」 中国企業に危機感
アルファ・ロメオ 車名に "ケチ" つけた政治家へ苦言「名前より雇用守る努力をせよ」 中国企業に危機感
AUTOCAR JAPAN
「彼は僕を見てさえいなかった」リカルド、接触時のストロールのオンボード映像を見て激怒/F1第5戦
「彼は僕を見てさえいなかった」リカルド、接触時のストロールのオンボード映像を見て激怒/F1第5戦
AUTOSPORT web
ハースのヒュルケンベルグが10位「最大限の結果を出した。重要な1点」小松代表は「完璧なレース」と喜ぶ/F1中国GP
ハースのヒュルケンベルグが10位「最大限の結果を出した。重要な1点」小松代表は「完璧なレース」と喜ぶ/F1中国GP
AUTOSPORT web
アロンソ「セーフティカーで戦略変更も、良いレースに。1周でいいからトップを走りたかったけどね」/F1中国GP
アロンソ「セーフティカーで戦略変更も、良いレースに。1周でいいからトップを走りたかったけどね」/F1中国GP
AUTOSPORT web
乗って納得の「ロープライス実力派」 ホンダWR-Vは背伸びしない、等身大のパートナー
乗って納得の「ロープライス実力派」 ホンダWR-Vは背伸びしない、等身大のパートナー
AUTOCAR JAPAN
ハミルトン「極端なセットアップ変更が、かつてないレベルのアンダーステアを引き起こした」メルセデス/F1中国GP
ハミルトン「極端なセットアップ変更が、かつてないレベルのアンダーステアを引き起こした」メルセデス/F1中国GP
AUTOSPORT web
経験を信じたWRTとリスクを避けたマンタイ。雨中のタイヤ選択がLMGT3上位の明暗分ける/WECイモラ
経験を信じたWRTとリスクを避けたマンタイ。雨中のタイヤ選択がLMGT3上位の明暗分ける/WECイモラ
AUTOSPORT web
レクサスが新たな「小さな高級車」展示! 全長4.2m級でも上質さ健在!? 「LBX」の実車見たユーザーの反響は? in 菅生
レクサスが新たな「小さな高級車」展示! 全長4.2m級でも上質さ健在!? 「LBX」の実車見たユーザーの反響は? in 菅生
くるまのニュース
【カーコーティング技術を住宅設備に】総合家庭用品メーカー「レック」と「KeePer技研」が共同企画した家庭用水まわりコーティング剤が販売開始
【カーコーティング技術を住宅設備に】総合家庭用品メーカー「レック」と「KeePer技研」が共同企画した家庭用水まわりコーティング剤が販売開始
driver@web

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村