MotoGPはサマーブレイク明けのイギリスGPから、タイヤの内圧を監視しているが、ライダーたちはこのルールに怒りを覚えているようだ。
MotoGPはルールブックのグレーゾーンを埋めるため、タイヤの最低内圧の取り締まりを開始。スプリントでは最低30%、決勝レースでは最低50%以上は、最低内圧を上回った状態で走行する必要がある。
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当初から、ライダーたちはこのルールに不満を抱いていた。フロントタイヤの最低内圧は1.88barとされているが、2.0barを超えるとマネジメントが難しくなるため、ほとんどマージンがない状態なのだ。
他のバイクの後ろにつくとすぐに内圧が上がってしまい、フロントタイヤがロックしやすくなってしまう。一方でレースに適した内圧に設定しようとすると、ペナルティの対象になってしまう可能性が出てしまうと、ライダーたちは繰り返し指摘してきたのだ。
今季はルールの施行初年度であるため1回目の違反は警告のみで済むが、すでに多くのライダーが警告を受けている。直近のマレーシアGPでは、ドゥカティのエネア・バスティアニーニとフランチェスコ・バニャイヤ、ワイルドカード参戦のアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)、そしてアレックス・リンス(LCRホンダ)の代役であるイケル・レクオナが1回目の違反を犯した。
バニャイヤとタイトルを争うホルヘ・マルティン(プラマック)も、すでに警告を受けているライダーのひとりであり、この規定のせいでライダーは「100%のライディング」ができないと主張している。
「このルールのせいで100%の走りができないのは残念だ」
「残念だよ。どう言えばいいのかわからないけど、このルールは……僕らの立場を理解してもらって、フロントの最低内圧を引き下げてもらう必要がある。なぜなら僕たちは本当のレースを目にできていないからだ」
「僕たちが見ているのは、テクニカルなレースだ。もしクルーが間違ったタイヤ内圧を設定したら、僕はプッシュすることができないし、ポテンシャルを発揮することもできない」
「今年はこんな感じだけど、来年は一度でもルールを破れば、レースから除外される」
「そうなると大惨事になる。このルールはレーススタイルを破壊するようなモノだし、なんとかしてもらう必要がある」
アプリリアのアレイシ・エスパルガロは、このルールについて率直な意見を述べているが、タイGPでは2度目の違反で3秒のタイム加算ペナルティを受けたため、マレーシアGPでは控えめなセッティングにせざるを得なかったという。
ペナルティを避けるためにフロントタイヤの空気圧を高めに設定しているのかと質問された彼は、「実際、そうだね」とmotorsport.comに語った。
「僕はこのルールが大嫌いだ。このチャンピオンシップを台無しにしているからね」
KTMのブラッド・ビンダーは、安全上の理由から導入されたというこのルールが安全とは言えないと考えており、ライダーたちはミシュランが最低空気圧を引き下げたとしたら「感謝するだろう」と語る。
「2bar以上(の内圧)になると、僕にとっては10倍以上も危険なんだ」
「正直な所、激しくロックしてしまうから、いつ誰かにぶつかってもおかしくないんだ。タイヤのエッジを使っても、曲がらない。だからワイドに行ってしまったりするんだ」
「ミシュランが、『タイヤの内圧が低すぎるとリムから外れる』と言っているのは理解できる。でもまだそんなの一度も見たことがない。もちろん見たくもないけどね。だけど僕だけじゃなくて、すべてのライダーが(最低内圧を)少し下げてくれた方がありがたいと思うはずだ」
エスパルガロは、ライダーたちがミシュランとMotoGP側に常にこの点を指摘しているが、今のところ何も動きはないと指摘した。
「僕たちはどの週末も、ミシュランやピエロ(ピエロ・タラマッソ/ミシュランの2輪モータースポーツグループ・マネージャー)、カルメロ・エスペレータ(ドルナCEO)にフロントタイヤの最低内圧引き下げを頼んでいるんだ」
「ミーティングでは毎回、このことを話している。彼らが変更する可能性はない。ピエロには全幅の信頼を寄せているけど、15年間この選手権を走ってきて、フロントタイヤに問題があるのを見たことがないんだ」
前述したように、タイトルを争うマルティンとバニャイヤの双方が最低内圧の違反でペナルティを受けるかもしれない立場にある。シーズンは残り2戦、状況によってはレース後、ペナルティでタイトルの行方が左右される可能性はなくはないが、そのようなケースを望んでいる者が誰もいないのは確かだろう。
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みんなのコメント
この規制は日本メーカーに有利に働くだろうから。
只、ヨーロッパのメーカーの真似事で仕上げて来た日本メーカーの車体も今のままで良いわけでは無く、日本のお家芸で有ったヒラヒラと舞う様な軽い切り返しと極端にフロントに依存しないバランスの良いフレームやレコードラインからスコア外しても容易に修正できる軽やかなハンドリング特性を持たせた今とは相反する車体が必要です。
そんな車体を作って世界を席巻していたメーカーは日本にしかないのですよ。