5月30日、TOYOTA GAZOO Racingは、ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第3戦『富士24時間レース』に参戦する水素エンジン搭載のTGRR GR Corolla H2 conceptの変更点について発表した。2025年はこの第3戦富士24時間が初登場となるが、新たな技術への挑戦を盛り込んでいる。
2021年、スーパー耐久に突如として登場した水素エンジン搭載のカローラは、メーカーの開発車両が参戦できるST-Qクラスを活用し、トヨタが目指すカーボンニュートラルに向けたマルチパスウェイの考え方のもと、水素を燃料として使用するエンジンを搭載。途中GRカローラにベース車両を変更しながら、これまで4年間挑戦を続け、世界を驚かせてきた。
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2021~2022年は気体水素を燃料とし、2023年からは世界初となる-253℃という超低温の液体水素を使用。高い技術が要求されるポンプの課題を解決しつつ、液体水素での可能性を見出してきた。ポンプも2023年は長時間ピットインしての交換を強いられていたが、2024年は交換不要のものに。また燃料タンクも真円形から楕円形のものに変更され、航続距離を伸ばしてきた。また水素充填についても、気体水素時は巨大な設備が必要だったが、2023年の液体水素使用からピットでの給水素が可能となっている。
そんな水素エンジン搭載のGRカローラだが、2025年はTOYOTA GAZOO ROKIE Racingからの参戦となり、ブラックを基調としたカラーリングに改められ、今季はモリゾウ/佐々木雅弘/石浦宏明/小倉康宏/平川真子/中嶋一貴という豪華ラインアップでの挑戦となる。そして、変わったのはカラーリングとドライバーだけではない。今季も新たな技術が盛り込まれた。
まず水素エンジンについては、これまでガソリンと同等の出力を実現するために、燃料を十分噴射し、酸素をすべて燃やす『ストイキ燃焼』と呼ばれる領域に近い状態で燃焼技術を鍛えてきた。しかし、今季は燃料噴射が薄くても燃えやすい水素の特性を活かしたリーン燃焼の状態と、ドライバーのアクセルに応じて走りながら切り替える技術に挑戦している。リーン燃焼にすると出力は出ないが、例えばコーナーのブレーキング時などは短時間ながらアクセルをオフにするが、今回は制御を使い、ストイキとリーンの自然な切り替えを目指し、燃費アップを目指す。
さらに、ピットイン時に液体水素を充填する新たなバルブを開発。バルブ開閉を外部のアクチュエーターで操作していたが、これをなくし新たな内部ピストン構造を採用することで流路面積の拡大が可能になり、充填スピードが約3割向上しているという。今回、楕円形タンクと新構造のバルブを使用し、充填時間は1分となっている。
また車両軽量化にも取り組んでいる。新たに古河電気工業が開発したファイバーレーザー溶接技術を用いた密閉構造端子(α端子)を採用。ワイヤーハーネスの一部を銅線からアルミに変更することで、約18パーセントの軽量化を実現した。
さらに今回TGRR GR Corolla H2 conceptの改良点を説明したGR車両開発部の伊東直昭主査は、今後について現在開発している技術も語った。現在、TGRR GR Corolla H2 conceptは車両後部に搭載された真空二重層の楕円形タンクに液体水素を充填し、これまでも技術的なチャレンジだった昇圧ポンプで圧送。気化器で気体水素に変換し、圧力チャンバーを経由してエンジンに送られている。
ただ、このパッケージングについては「まだまだ乗用車で活用できるレベルにはない」という。特にタンク上部に張りだしたポンプが課題で、パッケージ効率化のために、ポンプの小型軽量化、さらに“インタンク化”したいとした。
その課題解決のための新技術として、現在超電導に注目している。リニアモーターカーに使用されている技術で、超低温領域で電気抵抗がゼロになる特徴があるが、液体水素を搭載していることから、水素エンジンのTGRR GR Corolla H2 conceptはすでに超低温をもっていることに着目。超電導モーターをタンク内に搭載し、ポンプユニットを動かす技術の開発をすでに始めている。「水素の未来を切り拓く技術」と伊東主査は語った。
これまでも驚くべき技術を次々と投入し、劇的な改良が続けられてきたTGRR GR Corolla H2 concept。2024年は水素エンジンとは関係ないトラブルに泣かされ、その本領発揮とはならなかったが、今季は車両面でのトラブルをなくし、水素エンジンにフォーカスした開発を進めていく。どんな驚きを提供してくれるのか、レースが楽しみなところだろう。
[オートスポーツweb 2025年05月30日]
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