現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 2県の自動車道をガッチャンコ!? “ほぼ無料”約100kmの大動脈の“風変りな成り立ち”

ここから本文です

2県の自動車道をガッチャンコ!? “ほぼ無料”約100kmの大動脈の“風変りな成り立ち”

掲載 更新 18
2県の自動車道をガッチャンコ!? “ほぼ無料”約100kmの大動脈の“風変りな成り立ち”

かつては峠越えの難所もあった能登の南北軸

 本州のほぼ中央から日本海に大きく突き出す「能登半島」は、その大部分が石川県に属します。そのため、石川県内では早くから道路の整備が進められ、1982年にはのちに無料化され「のと里山海道」となるバイパス「能登有料道路」がほぼ全通し、県都金沢市からの所要時間が格段に短縮されました。

【能登半島の端まで“ほぼ無料”】これが「能越道」の全貌です(地図/写真)

 しかし能登半島東側の基部を構成する富山県側との交通は、長らく不便なままでした。

 富山県の能登半島側に位置する氷見市から、半島の中央にある七尾市まで、かつては県境の石動(いするぎ)山地を荒山峠で越え45分で結ぶ富山・石川県道18号が最短ルートでした。

 この荒山峠は標高400mに満たない峠ですが、日本海側の山沿いゆえ降雪量が多く、道路改良が進んだ近年まで冬季通行止めとなる道路でした。通年で通行可能となった現在でも、道中には各所にセンターラインのない区間も残され、また冬季の降雪時は難所であることに変わりはありません。

 また氷見市から海沿いに七尾市へ至る国道160号は、集落で生活道路と一体化したり、岬や入り江では地形に沿って回り込む線形だったりと、海岸沿いの道路にありがちな特徴を備え、こちらも約50分かかっていました。

 こうした能登半島の富山側との交通状況を大きく改善したのが、「北陸自動車道」の小矢部砺波JCTから分岐して七尾ICまで、さらに現道活用区間を挟み能登半島の奥に分け入る「能越自動車道」(能越道)です。この能越道の開通で、氷見市から七尾市までの所要時間は約35分となり、冬季の峠越えや集落内を抜ける必要もなくなり、安全性は飛躍的に向上しました。

2県の道路をつないだ“風変わりな成り立ち”

 ただこの能越道の歩みはやや風変わりで、現在もその中央部が分断された形となっています。

 まず事業化されたのは石川県内の区間で、七尾市より北西側の横田IC~比木IC(現・穴水IC)が1978年に開通。ついで1980年に徳田大津ICから横田ICが開通し、1982年には能登有料道路が徳田大津ICまで延伸開業したことで、両者が接続しました。そして1998年には田鶴浜IC~徳田大津JCTが開通します。

 富山県内の区間が事業化されたのは1988年で、まず開通したのは1996年、北陸道の小矢部砺波JCTから福岡IC(高岡市)までの平野部区間です。ただそこから七尾ICまでの延伸には時間がかかり、小矢部砺波JCTと七尾ICが結ばれたのは2015年でした。

「分断区間」と「ちょっとだけ有料区間」があるワケ

 こうした経緯により、現在の能越道は、自動車専用道路としての「小矢部砺波JCT~七尾IC」および「田鶴浜IC~徳田大津JCT」、現道活用区間の「小島西部交差点~田鶴浜IC」、そして自動車専用道路でのと里山海道と重複する「徳田大津JCT~穴水IC」、さらに能越道として新設された穴水IC以北が、輪島市ののと三井ICまで通じます。開通延長は約100kmです。

 七尾市内の七尾IC-田鶴浜IC間は未開通区間となっており、自動車専用道路の「田鶴浜七尾道路」として建設が進んでいます。既存のバイパスを活用している小島西部交差点~田鶴浜IC間の途中に接続することで、分断を解消する予定です。

 また当初、富山県道路公社の管理により有料となっていた「小矢部東IC~高岡IC」は2018年に実質無料化されています。これは料金所の統合の観点からで、各ICに設けていた料金所をいったん小矢部東本線・福岡本線の2か所に集約したのち、さらに福岡本線料金所を廃止したためです。

 そのため直轄方式により建設された「高岡IC~七尾IC」、のと里山海道とともに2013年に無料化された「田鶴浜IC~徳田大津JCT」も含め、現在は小矢部砺波JCT~小矢部東ICの1区間以外は無料で通行可能です。

「富山の道までネットワークに組み込んだ」石川県

 さて、能登半島の富山県側の交通に大きく寄与した能越道ですが、実は石川県も、この能越道の恩恵に深く預かっています。それを象徴するのが、同県による「ダブルラダー輝きの美知(みち)」構想です。

 この構想は、南北に長い石川県に“ラダー(=はしご)”を架けるように幹線道路網を整備し、県土のさらなる一体化、北陸新幹線開業効果のいっそうの波及、大規模災害時の迅速な避難救援活動の実現を図るというものです。

 このダブルラダーの東側の縦軸には富山県内の能越道が想定され、能登半島中央部の平地を通り羽咋市と七尾市を結ぶ国道159号、さらにのと里山海道と、氷見ICからは国道415号、福岡ICからは国道8号の横軸で結ぶこととなります。

 つまり石川県としては、同県内を通るのと里山海道、国道159号だけでなく、かなりの部分で富山県内を通る能越道も、同県内のネットワークに組み込むことで、県土の強靱化を考えているのです。

 これに関連する事業としては、石川県の羽咋市内で国道159号のバイパス「羽咋道路」の東側区間3.3kmが、2025年11月1日に2車線で暫定開通しました。同時に開通する県道232号若部千里浜インター線に接続し、のと里山海道の千里浜ICへのアクセスがよりスムーズになりました。のと里山海道と七尾市を結ぶ“ラダーの横軸”の1本が改良されたといえます。

 このように整備された道路網により、観光での能登半島ドライブは、往路と復路でのと里山海道、能越道を使い分け、より立体的に楽しめるようになりました。しかも、いずれも無料で走れるのは大きなメリットです。

※一部修正しました(11/16)

文:乗りものニュース 植村祐介(ライター&プランナー)

関連タグ

【キャンペーン】第2・4金土日は5円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

スズキ相良工場、実験施設で従業員死亡事故が発生
スズキ相良工場、実験施設で従業員死亡事故が発生
レスポンス
技術規則の変更は“チームとして立ち向かう挑戦”。大きく変わるマシンの開発は「魅力的な挑戦だった」とハミルトン
技術規則の変更は“チームとして立ち向かう挑戦”。大きく変わるマシンの開発は「魅力的な挑戦だった」とハミルトン
AUTOSPORT web
434万円から! 新「“3列7人乗り”ミニバン」に大注目! 全長4.7m級にスライドドア採用! ちいさい“5人乗り”もある特別色のシトロエン「ベルランゴ」販売店での反響は?
434万円から! 新「“3列7人乗り”ミニバン」に大注目! 全長4.7m級にスライドドア採用! ちいさい“5人乗り”もある特別色のシトロエン「ベルランゴ」販売店での反響は?
くるまのニュース
ゼンリン、東急不動産グループに地図データ統合プラットフォーム提供…不動産業務のDX支援
ゼンリン、東急不動産グループに地図データ統合プラットフォーム提供…不動産業務のDX支援
レスポンス
レーシングブルズ、テクニカルディレクターにファロウズを指名。2024年にアストンマーティンを離脱
レーシングブルズ、テクニカルディレクターにファロウズを指名。2024年にアストンマーティンを離脱
motorsport.com 日本版
ホンダ「スーパーカブC125」にシルバーのツートーンが登場! 従来色と置き換えで英/伊ほか発売【欧州】
ホンダ「スーパーカブC125」にシルバーのツートーンが登場! 従来色と置き換えで英/伊ほか発売【欧州】
WEBヤングマシン
「パラパラ冷凍」と「オートクローズ」を実現する意外な仕組み!? シャープ最新冷蔵庫が示す、テクノロジーと“生活の距離感”とは
「パラパラ冷凍」と「オートクローズ」を実現する意外な仕組み!? シャープ最新冷蔵庫が示す、テクノロジーと“生活の距離感”とは
VAGUE
三菱の新たな「高級“四駆SUV”」に反響殺到! “豪華内装”&専用「新ブラック仕立て」外装がカッコいい! 「3列・7人乗り」仕様も魅力な「アウトランダーPHEV“特別仕様車”」販売店に寄せられた声とは
三菱の新たな「高級“四駆SUV”」に反響殺到! “豪華内装”&専用「新ブラック仕立て」外装がカッコいい! 「3列・7人乗り」仕様も魅力な「アウトランダーPHEV“特別仕様車”」販売店に寄せられた声とは
くるまのニュース
エクセディのスマートロボット「Neibo」、中小企業省力化投資補助金の対象製品に登録
エクセディのスマートロボット「Neibo」、中小企業省力化投資補助金の対象製品に登録
レスポンス
地震大国なのに危機管理が甘くない!? いざという時のために加入しておきたい「地震特約」と自動車保険の問題点って
地震大国なのに危機管理が甘くない!? いざという時のために加入しておきたい「地震特約」と自動車保険の問題点って
ベストカーWeb
ジュエリーの新ルール──ディオールとブシュロン
ジュエリーの新ルール──ディオールとブシュロン
GQ JAPAN
戸田建設・西日本鉄道・東京建物、熊本市東区でマルチテナント型物流倉庫を着工…2027年3月竣工
戸田建設・西日本鉄道・東京建物、熊本市東区でマルチテナント型物流倉庫を着工…2027年3月竣工
レスポンス
フェラーリF1、2026年のニューマシンSF-26発表。昨年未勝利からの復活なるか?
フェラーリF1、2026年のニューマシンSF-26発表。昨年未勝利からの復活なるか?
motorsport.com 日本版
ホンダ「“新”アドベンチャー」発売! 1082ccエンジン搭載&電子サスペンションで超快適! めっちゃ売れてる「CRF1100L アフリカツイン」最新モデル登場!
ホンダ「“新”アドベンチャー」発売! 1082ccエンジン搭載&電子サスペンションで超快適! めっちゃ売れてる「CRF1100L アフリカツイン」最新モデル登場!
くるまのニュース
フェラーリが新型マシン『SF-26』を公開。技術規則が刷新される2026年は2年ぶりの勝利を目指す
フェラーリが新型マシン『SF-26』を公開。技術規則が刷新される2026年は2年ぶりの勝利を目指す
AUTOSPORT web
阪急「最大のターミナル駅」の“スゴい風景”、最後の姿が公開される 「寂しくなるな~」「かっこいい!」将来どう変わる?
阪急「最大のターミナル駅」の“スゴい風景”、最後の姿が公開される 「寂しくなるな~」「かっこいい!」将来どう変わる?
乗りものニュース
四国電力「でんのすけ号」、業務用電化厨房体験車に調理ロボット「I-Robo 2」搭載…飲食業の人手不足解消へ協業
四国電力「でんのすけ号」、業務用電化厨房体験車に調理ロボット「I-Robo 2」搭載…飲食業の人手不足解消へ協業
レスポンス
レーシングブルズ、元アストンマーティンのダン・ファローズを新テクニカルディレクターに任命
レーシングブルズ、元アストンマーティンのダン・ファローズを新テクニカルディレクターに任命
AUTOSPORT web

みんなのコメント

18件
  • 田舎の若いつもりのおじさん
    用事で石川方面に移動する際に何度も感じるのですが、富山の道路作りは下手糞すぎます。
    石川の場合、郊外の道路ほなるべく交差点を無くし、進入、退出道路で対応することで、信号による渋滞を解消しています。
    ところが富山の場合は、郊外の道路であってもあちこちに交差点を作り、信号渋滞を多発させています。
    道路作りは石川が富山より数歩先に行っています。
  • sno********
    国道180号?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村