モーリス史上最大のモーリス
ミニバンやSUVが人気を集めるずっと前から、6名以上で移動できるクルマに各メーカーは取り組んできた。今回集めた5台は、姿カタチは大きく異なるものの、いずれも入念にパッケージングが練られ、際立つ個性が与えられている。
【画像】6名以上で移動できる! お国柄丸出しのクラシックワゴン 現行のフィアットとシトロエンも 全113枚
最も古株となるのは、モノクロ映画から飛び出してきたような、モーリス・アイシス・トラベラー。全長4489mmと大きくはないボディに、最大8名が乗車できるとうたわれた。当時の同社にとって、ステーションワゴンの理想像だったといえる。
1.5L直列4気筒「Bシリーズ」エンジンのモーリス・オックスフォード・シリーズIIが登場したのは、1954年。1955年に、2.6L直列6気筒のアイシス・トラベラーが追加されている。「モーリス史上最大のモーリス」というキャッチコピーとともに。
直6の「Cシリーズ」エンジンを搭載するため、ボンネットは延長。当時のAUTOCARは、「現代的でも、見せびらかす要素はゼロ」だと、好意的に伝えた。イタリアンな華やかさとは、無縁といえた。
荷室へ備わる3列目のフォールディングシート
モーリス・マイナーのステーションワゴン、トラベラーと同様に、トリネコ木材とアルミニウム製パネルで、ドアより後方のボディを形成。郊外で暮らす実用性重視の人でも、積極的に都心部へ向かえる手段になった。出張先での、臨時オフィスにもなった。
新車時の価格は957ポンドと、4ドアのライバル、スタンダード社のヴァンガード・エステートより高額。しかし、アイシス・トラベラーには他のモデルにはない、3列目のフォールディングシートが荷室へ備わった。
ところが、販売は振るわず。同じブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)傘下の競合、オースチンA90 ウェストミンスターを超えることはなく、1958年に生産は終了している。
今回ご登場願った1台は、モーリスの第一人者、ハミルトン夫妻がオーナー。1956年式で、クラレンドン・グレイのボディが非常に美しい。
実用性と上質さを巧みに両立した車内
アイシス・トラベラーは2ドアで、2列目への乗降性は褒めにくい。パンフレットでは、「腕周りや膝周りに充分な空間がある」と主張されたが、実際に座れるのは小柄な大人まで。3列目は、テールゲートから入り後ろ向きに座るスタイルだ。
インテリアは、実用性と上質さを巧みに両立。バーガンディのレザーシートから、蒸気船から拝借したようなメーター類まで、デザインの魅力は尽きない。
ハミルトンのクルマは初期型のシリーズIで、トランスミッションはコラムシフトの4速マニュアル。1956年のシリーズIIでは、運転席の右側から長いレバーが伸びる、フロアシフトへ変更された。
発進させると、87psを生むCシリーズ・エンジンのノイズが車内へ充満する。ゆったりとした走りで、俳優のレスリー・フィリップス氏が登場するような、コメディ映画へ紛れた気分を味わえる。
タクシーとして活躍した600 ムルティプラ
チャーミングなアイシス・トラベラーの1年後にデビューしたのが、フィアット600 ムルティプラ。デザイン哲学の大きな違いに、感心せずにいられない。今回の車両はトミー・セローネ氏がオーナーで、1964年式の極めて珍しい右ハンドルだ。
サルーンのフィアット600をベースに、「オール・サービスカー」として1956年のベルギー・ブリュッセル・モーターショーで発表されたのが、600 ムルティプラ。全長は約250mm伸ばされ、実用性の高さからイタリアではタクシーとして活躍した。
車内はベンチシートの2列構成で、定員は最大6名。前後の背もたれを倒し、ダブルベッドにすることもできた。後席側は、折り畳める2脚の独立シートも指定できた。
エンジンは、当初633ccの直列4気筒だったが、1960年に25psの767ccへ拡大。生産は1966年まで続き、フィアット850 ファミリアへ後を譲っている。
型破りなほど個性的なスタイリング
当時のフィアットは、英国で「このクラスでここまで多用途なモデルは他にありません」と主張。1961年には起業家のトム・シルベスター氏がタクシー用に25台を発注するが、ロンドンのブラックキャブ・ドライバーから怒りを買ったことで、話題を集めた。
それでも、英国で売れた600 ムルティプラは100台以下。価格は653ポンドと高くはなかったが、個性的なスタイリングが、型破りに映ったからだと考えられる。また47ポンドお安く、モーリス・マイナー・トラベラーを選ぶこともできた。
600 ムルティプラを注文した数少ない英国人は、その実用性に驚いたはず。背の高い帽子を被ったまま座ることが前提にあり、車内は広々。リアシートを折りたためば、広大な荷室を生み出せた。
この続きは、お国柄丸出しワゴン(2)にて。
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