ホンダ「グロム」ってどんなバイク?
ホンダ グロムは2013年に初登場した125ccのバイクです。
ホンダによると「グロム」という車名の由来は英単語「GROMMET」(若いサーファーやスケートボーダーなどエクストリームスポーツを楽しむ若者という意味)の短縮語とのことです。
【画像20点】新型グロムの全車体色、新エンジン、HRCレースベース車などを写真で解説
この名前は「ターゲットとする若者層の道具、ファッションの一部として使用して頂けるように」と付けられたそうです。気軽に操れる125ccのレジャーバイクらしく様々な場面でアクティブに活躍してほしいという、車両に込められた思いが感じられるネーミングですね!
2013年に登場した初代グロムは、発売以来ほぼ毎年マイナーチェンジが行われ、カラーリングなどが変更されてきました。
2016年には外装デザインが一新され2代目に(初代後期型とする説もありますが、当記事では2代目と表記します)。
上下に分割デザインのLEDヘッドライトとなったほか、マフラーはアップマフラーからダウンマフラーに変更。
さらに、ハンドルが低くなったことによりライディングポジションもやや前傾となり、見た目も、乗った感覚もよりスポーティーな雰囲気を強めました。
エンジンは初代と変わりなく124cc空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒で、最高出力も変わりありません。
そして2021年3月、外装デザインのみならずエンジンまで一新するモデルチェンジが行われ「新型=3代目グロム」が登場しました。
新型グロムに搭載されているエンジンは、新開発の123cc空冷4ストロークOHCバルブ単気筒で、最高出力は10馬力にアップ。
トランスミッションが2代目までは4速でしたが、5速になった点も大きな変更点です。また、ABSも標準装備となりました。
デザイン面では、タンクカバーやサイドカバーの形状が大きく変わったほか、取付けボルトもデザインの一部として取り込まれており、「パーツをすぐに取り外せそう!」という雰囲気=カスタムしたくなる気持ちをくすぐります。
LEDヘッドライトも個性的な形状で、全体的に「遊び心」と「塊感」をより強調したデザインとなりました。
当記事では、新型グロムに身長159cm、ツーリング大好き20代女子ライダーが乗ってみての率直な感想をレポートします。
身長159cmの初心者バイク女子が新型グロムに乗ってみた
ツーリングは大好きですが、バイクを選ぶときにはシート高と車重に真っ先に目がいってしまう……そんな筆者が乗っても、新型グロムの「遊び心」を感じ取ることはできるのでしょうか?
ホンダといえばモトコンポやモンキー、ダックスなど可愛らしいレジャーバイクも有名ですよね!
レジャーバイクはもともとクルマなどに積載して運んで、キャンプ地などで降ろして遊ぶ乗り物で、そのためコンパクトで軽量コンパクトなバイクとなっている……なんて聞いたことがあります。
小さく可愛いグロムにもレジャーバイクの仲間感があるのですが、だとすると、短距離向け? そんな乗る前の予想はあっさり裏切られました。
えッ、グロムってツーリングもワインディングもたっぷり楽しめるバイクっぽい!
新型グロムは長時間走行も快適「シートとエンジンがいい!」
車格が小さいので足着きがいいのは当然なのですが、小さいからといって窮屈感があるわけではなく、違和感のないライディングポジション。それだけではなく、乗車姿勢の自由度も高い気がします。
長く乗っていて疲れてきたら少し姿勢を変える……なんてこともOK。
それに、シートが平坦なのでどこに座っていても足着きが変わらない点も地味にうらしいポイントです。
次はエンジンです。
新型グロムは5速ミッションになったわけですが、そのおかげでしょうか、ローギヤでの加速性能はかなりキビキビ!
以前乗っていた125ccのマニュアル車では信号待ちからの発進で「もうちょっと加速してよぉ」というストレスを感じることもありましたが、グロムでは無縁。
そこからポンポンとギヤを上げていってトップギアの5速に入れれば、幹線道路を60km/h程度で流すような場面でも回転数が上がりすぎることなく、疲れにくいと感じました。
新型グロムのハンドリング「小回りが効いて、上手くなった気にさせてくれる」
新型グロムのハンドリングはとても軽快。
車両自体が軽いので、少しの荷重でもヒラヒラと曲がってくれます。加えて、車両サイズが小さく地面との距離が近いので、そんなに寝かせていないのに、気分だけはヒザも擦れそうな感じ笑。
「バイクを傾けて曲がる」という楽しさを手軽に感じられます。
グロムに乗って細かいワインディングをちょこまかと走っていると「私、もしかしたら上手くなったのでは!!」という錯覚に陥ります。
もちろんこれは盛大な勘違いなので無理は禁物ですが、「どうせ下手だから」「今日もうまく曲がれなかった」と悲しみに暮れながら運転するよりも、「思うようにバイクを操れた」「このカーブは上手くいった」と感じられる瞬間があったほうが間違いなく楽しい。
楽しいということは、もっとバイクに乗りたくなる→上達も早くなる、という持論の私にとっては(ちょっと横暴でしょうか)、なんていいバイクなんだ、グロム。
新型グロムのデザイン「コンパクトでも堂々とした存在感、各パーツも個性的」
「125ccのバイクとは思えない存在感」というのも新型グロムの魅力だと思います。塊感のあるデザインは、車体自体はコンパクトなのに、所有欲を満たしてくれます。
街中で信号待ちをしていて沿道のお店のショーウインドウに愛車にまたがった自分の姿が写ったとき、駐車場に止めた愛車を振り返って見たとき「私のバイクカッコいいじゃん」と思える瞬間があることがバイクライフを豊かにしてくれる──と個人的には思っています。
また、カッコいいデザインのバイクに乗るなら、ファッションにこだわりたいという欲も出てきます笑。
筆者は長らく125ccのマニュアル車を愛車としていたのですが、ライディングウエア自体のデザインとしてはスポーティーものが好みでした。でも、125ccにスポーティな装備は大げさかなぁと思って、着るのを諦めてしまうことがよくあったのですが……倒立サスペンションなど本格ロードスポーツ的なデザインのグロムなら大アリでしょう!
むしろレーシングスーツを着て乗っても違和感がないかもしれない。
グロムはミニバイクレースでも大活躍していると聞くので、オーナーになったらサーキット走行もチャレンジしてみたいところです。
ホンダ 新型(3代目)グロム主要諸元
[エンジン・性能]
種類:空冷4サイクル単気筒OHC2バルブ ボア・ストローク:50.0mm×63.1mm 総排気量:123cc 最高出力:7.4kW<10ps>/7250rpm 最大トルク:11Nm<1.1kgm>/5500rpm 変速機:5段リターン
[寸法・重量]
全長:1760 全幅:720 全高:1015 ホイールベース:1200 シート高761(各mm) タイヤサイズ:F120/70−12 R130/70−12 車両重量:102kg
燃料タンク容量:6L
[車体色]
フォースシルバーメタリック、マットガンパウダーブラックメタリック
[価格]
38万5000円
新型グロムのオーナーになったら、船に乗せて無人島へ行ってみたい!!
今回新型グロムに乗ってみて驚いた「長時間走行時の快適さや加速の良さ」。
もう余裕でツーリングできちゃうわけです。
余裕があるということは……「常識的に考えてそれは無理なんじゃないの?」と思うようなこともやってみたくなります。「もっと挑戦してみなよ」とグロムが誘っているように感じるのです。
個人的にやってみたいのは「グロムを船で運んで無人島に持っていく」です。
バイクで行ける無人島として有名な沖縄県の慶良間諸島は有人島と橋でつながっているので自走で行くことができますが、この島には空港もあり、人の生活圏と近いのであまり「無人島感」はありません。
しかし、瀬戸内海のあたり、特に岡山県と香川県の間には、所有者に許可を取り、漁船をチャーターすることで行ける無人島がいくつかあるのだとか。
そうした無人島の道は長くヒトの手が加えられておらず、獣道のように細くなっていたりヒトの背丈ほどの草が生えていたりと荒れ放題でしょう。
冒険&アウトドア好きとしてはとんでもなく魅力的なのですが、道中あまりに酷い道で引っかかってしまったら……と考えるると、バイクで行く勇気は湧いてきません。
で・す・が。グロムのサイズなら、行けるところまで行ってみて進めなくなったらタイヤを持ち上げて向きを変え脱出する、なんてことが筆者にもできそうです。
また、無人島には当然ガソリンスタンドがありませんが、グロムの燃費はカタログ数値で68.5km/L(WMTCモード)。タンク容量が6Lなので、理論400km近く走れることになります。
満タンにしてから島に上陸すれば、小さな無人島内を走っている限り、滞在中にガス欠という心配もなさそうです。
想像するだけでワクワクしてきます笑。
楽しみ方を無限に妄想でき、また工夫次第で十分にそれを実現できるポテンシャルがあること。
それもまた新型グロムの魅力のひとつかもしれません。
試乗レポート●中牟田歩実 写真●柴田直行/ホンダ 編集●上野茂岐
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