日本では、ヴェゼルとCR-Vという大小のSUVを展開するホンダ。しかし、現地生産にも積極的な米国では、SUVの本場が生み出したアメリカンなモデルが存在する。その1台が、ホンダ最大のSUV「パイロット」だ。
北米市場のカテゴライズでは、ミッドサイズSUVに収まるが、3列8人乗りというミニバン顔負けの積載力を備える、ドデカいホンダなのだ。
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そんなパイロットが2021年仕様のアップデート。そもそもパイロットとは、どんなクルマなのか。改良型のポイントを含めてお届けしよう!
文:大音安弘、写真:ホンダ
【画像ギャラリー】日本未導入ホンダSUV パイロットの2021年仕様をみる
ホンダのフラッグシップSUVが新型へ
パイロット(2021年モデル)
ホンダの大型SUV「パイロット」の2021年モデルが、2020年6月17日に発表された。
最新型となる2021年モデルのトピックは、パドルシフト付き9速ATとアイドリングストップの全車採用に加え、特別仕様車「SE」の設定などが挙げられる。
流行真っただ中にあるSUVの話題となれば、関心を持つ人も多いだろうが、残念なことに、これは遠い海の向こうの北米でのお話だ。
パイロットは、北米で展開している海外専用車で、ホンダSUVのフラッグシップに当たるモデル。生産も米国アラバマ州リンカーン工場で行われており、まさにアメリカ育ちの日本車なのだ。
生産地となるリンカーン工場は、年間34万台の生産能力を持つ北米最大の完成車工場で、日本より大きな北米版「オデッセイ」、ミッドサイズSUV「パスポート」、ピックアップトラック「リッジライン」というホンダ車の中では大きなモデルばかりの製造を担当している。
北米で生まれ育まれたSUV
簡単にパイロットの歴史を振り返ると、北米市場をターゲットに生まれたミドルサイズSUVで、初代は2002年に誕生した。
初代パイロット
ホンダのSUVとしては最大を誇るが、現地では運転のし易い実用的なファミリー向けSUVといえる。現行型となる3代目は、2015年2月のシカゴオートショーで世界初披露され、同年6月より販売を開始した。
米国ではミッドサイズに分類されるボディは、全長4991mm×全幅1996mm×全高1793mm、ホイールベースも2819mmと、ホンダのフラッグシップだけあって、かなり立派。
大型化したCR-Vよりも大きいのは当然だが、日本のSUVでは、大型サイズとなるトヨタランドクルーザープラドやマツダCX-8よりも、さらに一回り大きい。
当然、このサイズのSUVとなれば、パワーも重要。そのため、ホンダ車で最も大きな3.5L V6SOHCエンジンを全車に搭載している。また北米でのニーズを捉え、けん引を考慮したボディの強化も行われている。
日本で発売しているCR-Vとデザインが似ているが、サイズが大きい
パイロットのスタイリングは、CR-Vと似ているが、サイズが大きいこともあり、ボリューム感も満点。ただ、次男となる「パスポート」のようなアグレッシブさを前面に打ち出したデザインではなく、頼りがいある父親を彷彿させる落ち着きや温かみを意識したアメリカンなファミリーカーらしい装いが与えられている。
もちろん、黒をアクセントカラーに取り入れたクールな仕上げとなる「ブラックエディション」も用意。この仕様は、日本でもCR-Vに設定されており、良く似た仕様となっている。
3列シートを装備しており、乗り降りする際は2列目を倒す
その大きなボディを活かした、ゆとりのあるキャビンには、3列シートを装備。SUVながら、後席エリアで3+3を実現する。
また上級グレードでは、2列目をキャプテンシートとした7人乗りが基本なり、快適装備のアップグレードも図られる。
パワーユニットとして、3.5L・V6SOHCエンジンを搭載
パワーユニットは、パワフルな3.5LのV6SOHCエンジンを搭載。最高出力280ps/6000rpm、最大トルク262Lb-ft(355Nm)/4700rpmを発揮。
駆動方式は、最上級グレードとなる「エリート」と、それをベースとした「ブラックエディション」が4WD仕様のみとなるが、それ以外では、前輪駆動仕様と4WD仕様の選択可能だ。
日本にはない9速ATを全車装着に
トランスミッションが多段化し、パイロット2021年モデルでは9速ATが設定される
2021年モデルの最大の進化は、ATの9速化だ。2020年モデルでは、パドル付き9速ATは、上級グレードに限定されたが、これを全車展開に。
日本のモデルには、設定のない9速ATは、世界的なサプライヤーであるZF製のもので、北米仕様ホンダ車の3.5LのV6エンジン搭載車に多く採用されているものだ。
さらに従来の6速AT車には、採用されていなかったアイドリングストップ機能も全車展開になっている。
また、充実装備の特別仕様車として「スペシャルエディション(SE)」を新設定。これは人気グレード「EX-L」に上級アイテムを組み合わせたもの。
充実装備を誇る「EX-L」に、レザーシート、メモリー機能付き電動式運転席、20インチブラックホイール、ルーフレール、ブラック仕上げグリル、ハンズフリーアクセスパワーテールゲート、ワイヤレススマートフォンチャージング機能などを追加しながらも、600ドル(日本円で6万4500円※)アップに留めたもの。内容を考量すれば、実にお買い得なスペシャルなモデルだ。
2019年モデルでデザインを変更している
なおデザイン面では、2019年モデルでのフェイスリフトが実施済みの為、アナウンスが必要な変化はないようだ。
パイロットの価格帯は、3万2250~4万9920ドル、日本円だと約346.7万円~約536.6万円(※1ドル=107.5円)で、ミッドサイズSUVとしては現実的な価格といえる。
しかし、V6専用車であるや日本の主力ファミリーSUVと比較してサイズが大きすぎることなどを考量すると、日本向きとは言いにくいのも確か。
ただ日本にはないアメリカンファミリーSUVというキャラクターは、ミニバンに飽きたパパママには、興味深い一台に映るかもしれない。
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