独ポルシェは8月24日、最後の空冷モデルであるタイプ993の911ターボを、オリジナルパーツを用いて新たに製作したと発表した。
ポルシェのレストア部門「ポルシェ・クラシック」が、1年半をかけてタイプ993を現代に蘇らせた。「プロジェクトゴールド」と名付けられた今回の計画は、メーカー創設70周年の節目を記念するとともに、「タイカン」でピュアEVの世界に踏み出すポルシェにとって重要な意味を持つ“伝統”を改めてアピールするもの。
公開された“新型”993ターボは、現行型「911ターボS エクスクルーシブ」と同じゴールデン イエローメタリックにペイントされ、生産終了20年を経たモデルとは思えない新鮮な輝きを放つ。用いられたパーツは純正品で、ポルシェはビンテージカー用に5万2000ものパーツをストック。タイプ993用パーツだけでその数は6500におよび、それらの純正パーツをセレクトして組み上げているのだ。もちろん最新の塗装を始めとする生産工程は現代の技術が取り入れられている。
パワーユニットなども忠実に再現され、新規に組み上げられた3.6リッター水平対向6気筒ユニットは、オリジナルとまったく同じ450馬力を発生し、マニュアルトランスミッションを介して4輪を駆動。また、タイプ993が世界初採用した中空スポークホイールもブラックペイントにゴールドのアクセントで足元を引締めている。さらに、1998年にロールオフしたタイプ993のファイナルモデルに続くシャシーナンバーが刻印されるというから、ファンにはたまらない仕上がりだ。
実車は9月27日に米ラグナ・セカで行われるヒストリックポルシェの一大イベント「ポルシェ・レンシュポルト・リユニオン」でワールドプレミアされた後、10月27日にはRMサザビーズ主催のオークションにかけられる予定。売上げはポルシェ70周年を記念して設立されたNPO法人「フェリー・ポルシェ基金」に寄付されることとなる。このスペシャルモデル、残念ながら公道走行は不可能なようだが、コレクターズアイテムとして評価の高いタイプ993だけに落札価格は天井知らずになりそうだ。
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