今季は7大会中5大会を2レース制とし、シリーズ最多の年間12戦が開催される予定のスーパーフォーミュラ。ただそのレースフォーマットについては不可抗力によるポジションダウンを生む可能性が高くなってしまっているとして議論の的となっているが、この件についてプロモーターの日本レースプロモーション(JRP)がコメントした。
スーパーフォーミュラは今季2レース制時のレースフォーマットに関して、1戦目と2戦目で異なるピットウインドウ(ピットストップによるタイヤ交換義務を消化できる周回)を設けている。土曜日の1レース目は10周目以降となっている一方、日曜の2レース目はピットウインドウなし。つまり1周目からタイヤ交換を行ない義務を消化する戦略も可能となる。
■「実力とは別の部分で人生が左右されるのは酷」不運なポジションダウンを生むSF現行フォーマットの落とし穴。ドライバーから対処求める声高まる
ただこのフォーマットには懸念の声が挙がっている。懸念されているのは、セーフティカー(SC)出動中にピットウインドウがオープンしたケースだ。
SC先導中にピットインが可能となった場合、ほぼ全車がピットになだれ込む可能性が高い。スロー走行のSCラン中に作業をした方がロスタイムははるかに少ないからだ。そうなった場合2台体制のチームは2台連続でのピットストップ、いわゆる“ダブルストップ”を強いられることになるが、チームメイトのすぐ後ろを走っていたドライバーは、前のチームメイトのタイヤ交換が終わるのを待つ必要があり、タイムロスして順位を落としてしまうことになる。
ピットウインドウ10周目オープンという規則は今に始まった事ではないが、今季からピットウインドウなし(=ウインドウ1周目オープン)のレースが追加されたことで、懸念に拍車がかかっている。レースにおいてはスタート直後の競り合いが起こる1周目にアクシデントなどが起きやすく、セーフティカー(SC)出動リスクも自ずと1周目が高い。そのため上記の事象が起こりやすいと言えるのだ。今のスーパーフォーミュラのタイヤは1レースを走りきれなくはないため、なおさらだ。(当然、コンディション次第で大なり小なり性能劣化はあるが)
今季はここまで開幕鈴鹿大会の1レース目(10周目)、もてぎ大会の2レース目(1周目)で上記のシチュエーションに陥った。そのためドライバーからも対策を望む声が挙がっており、ダブルピットの実害を被った当事者である牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、SCラン中にピットウインドウがオープンした場合はピットレーンクローズとするか、軽微なアクシデントはフルコースイエロー(FCY)で対処するなどの策が考えられるとコメントしていた。
この件についてJRPの定例会見で質問が飛ぶと、上野禎久社長は現状今季中に規則に手を加える予定はないとした。
「この件は慎重に議論していますが、それをどうする(変更を加える)という結論には至っていません」
「これは(ピットウインドウオープンが)1周目であっても10周目であっても起き得ることです。セーフティカーが入った時のピットインを制限するか否か、もしくはそれを義務ピットとしてカウントすべきか否かなど、色々と議論はしていますが、シーズン中に速やかにルールを変更するところには至っていません」
「著しく安全性を損なう場合には変更する場合もありますが、今のところ変更の予定はありません」
またFCYの導入について上野社長は「GPSも管理できているので、おそらく技術的にはできるはず。ただ100%公平に運用できるかどうかという点もありますので、慎重に議論・検討しています」とコメントした。
motorsport.comの調べによると、SC中のダブルピットで大幅なロスを強いられるのは「上位~中位を争っていて、なおかつ2台が近い位置で走行しているチーム」に限られるということもあってか、フォーマット変更に関する是非は賛否が分かれている様子。上野社長も会見後にmotorsport.comに対し、昨年スーパーフォーミュラを引退した山本尚貴をトップにして今年発足した『アスリート委員会』を通して、しっかりとヒアリングをしていると話した。
「アスリート委員会の山本尚貴委員長が、全員からかなり詳細なヒアリングをしています。挙がった声をまとめた上で、現状はシーズン途中の規則変更には至らないという結論となっています」
「色々な声を聞きながら、総合的に判断させていただいた結果が現状です」
なおスーパーフォーミュラのパドックでは、ピットレーンクローズやFCY導入といった案以外にも、タイヤの最低内圧を上げたり(つまり発熱しやすくなる)、ウイングの最大角を制限してダウンフォースを減らすなどしてタイヤへの攻撃性を高めるという案があった。そもそも1セットのタイヤでレースディスタンスを走りきれない状況にすれば、自ずと1周目のピットインは選択しづらくなるからだ。
ヨコハマがワンメイク供給するタイヤのスペックをデグラデーションの大きいものにするという手もあるが、これはメーカーにとっても容易なことではない。一方で最低内圧の引き上げ自体は難しいことではなく、内圧を下げるよりは安全性への懸念も低いだろう。特にスーパーフォーミュラのタイヤはゴムの摩耗よりもサーマルデグラデーション(発熱による性能劣化)が大きいと言われていることからも、これは効果的な策なのではないかとする声もあったが、内圧が高くなっても結局はレースディスタンスを走り切れてしまうのではという指摘もあり、パドック内で意見が分かれていた印象だ。
また、2レースのどちらかをタイヤ交換なしの完全スプリントレースにしてしまえば、少なくともピットストップによる様々な不可抗力を取り払うため、ピュアでフェアな戦いが見られるのではないかという期待がある。ただオーバーテイクが少なくなる可能性から懐疑的な声が多い。スーパーフォーミュラは一定時間パワーがブーストされるオーバーテイクシステム(OTS)が導入されているが、これはF1のDRSと違って防御する側も使用できるため、追い抜きは容易とは言えない。スーパーフォーミュラで起きる追い抜きの多くが、タイヤライフの違うマシン同士の争いであることを考えても、見応えあるレースのためにはピットストップは必須か……いずれにせよ、より良いレースのために議論は続いていくようだ。
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みんなのコメント
モタスポファンの心情は複雑怪奇
シーズン中のルール変更する方が本来は異端だと思うけどね(о´∀`о)
全権限は社長にあるのかな?
昨年の大クラッシュと時も全く表に出てこない会長の役割・責任がどうなっているのかいつも不思議で仕方ない。