日産の新しい「アリアB9 e-4ORCE」は、フラッグシップモデルとして完成度の高い1台だった! 『GQ JAPAN』ライフスタイルエディターのイナガキがリポートする。
新型日産アリアB9 e-4ORCEの特徴
1.日産の新たなフラッグシップEV2.シンプルでありながらも力強いエクステリア3.心地よいインテリア1.日産の新たなフラッグシップEV
日産のフラッグシップと聞けば、もしかすると「セドリック」や「グロリア」、あるいは「シーマ」といった、重厚長大な高級セダンの姿を思い浮かべるかもしれない。
それらは日本の高度経済成長期からバブル期、そして平成の時代にかけて、日産の技術力とブランドを体現する存在であった。
しかし、時代は移り変わり、自動車市場のメインストリームはセダンからSUVへとシフトした。さらに電動化の波は、自動車の在り方を変えつつある。
そうした中、日産が新たなフラッグシップEVとして2021年にリリースしたのがアリアだ。アリアは、かつての高級セダンたちが担っていた“日産の顔”としてのポジションを、電動クロスオーバーとして引き継ぐ。
今回試乗したのは、アリアの一部改良モデルだ。フラッグシップとしての完成度をさらに高めるべく、さまざまなアップデートが施された。試乗車は、総電力量91kWhのバッテリーを搭載し、四輪駆動システムを採用した最上級グレードB9 e-4ORCE。車両本体価格は¥8,072,900だから、名実ともにプレミアムカーと呼ぶにふさわしい価格設定だ。
2.シンプルでありながらも力強いエクステリア
エクステリアは、「タイムレス ジャパニーズ フューチャリズム」のデザイン言語を継承しながら、フロントフェイスを一新。最も大きな変更点は、フロントグリル部分がボディと同色化された点だ。これにより、フロントマスク全体がよりシームレスでクリーンにな同時に日産の象徴であるVモーションが車両のより外側に配置されたことで、シンプルでありながらも力強い存在感を放つ。
試乗車のボディカラーは、オーロラの光からインスピレーションを受けて開発された新色「プラズマグリーン」と「ミッドナイトブラック」を組み合わせた「翡翠乃光(ヒスイノヒカリ)」と呼ぶ2トーンカラー。EVならではの静粛性と内なる力強さを視覚的に表現した、清らかで未来的なカラーリングだ。
足元には、アルミと樹脂のコンビネーションで構成された新デザインの20インチホイール(¥58,300のオプション)を装着。繊細なデザインが印象的なコントラストを生み出し、クルマ全体の堂々たるプロポーションを際立たせている。
ボディサイズのうち、全幅が1850mmに抑えられているのは、日本の道路環境において高く評価できるポイントだ。外観のボリューム感や20インチの大径ホイールがもたらす視覚的なインパクトからは、もっと巨大なクルマであるかのような錯覚を受ける。が、ステアリングを握って一般的な道路や市街地を走り出すと、取り回しの良さに驚かされる。
一方、エクステリアに関する懸念点は、日産のEVラインナップ全体におけるデザインの画一化だ。日産はEVシリーズとしての統一感を持たせる戦略をとっているが、結果として、アリアのフロントマスクが弟分である「リーフ」と似通った印象を与えてしまう部分がある。
フラッグシップモデルには、他とは異なる個性や孤高の存在感が求められるものであり、かつてのブラックアウトされたフロントグリルのほうがアリア独自の個性が際立っていたように思う。ブランドアイデンティティの統一と、フラッグシップとしての特別感の演出をどう両立させるかは、今後のデザイン戦略におけるひとつの課題となるかもしれない。
3.心地よいインテリア
インテリアは、まさに「ラウンジ」と呼ぶにふさわしい、心地よく先進的な空間が広がっている。
試乗車には「ホワイト/グリーン」のインテリアカラーが採用されており、落ち着いたトーンのグリーンの上級レザーとライトグレーのコントラストが、モダンで洗練された世界観を構築。
内装には¥308,000のオプションであるナッパレザーシートが装着されており、座り心地や肌触りは申し分なく、長時間のドライブでも疲労を感じさせない仕上がりとなっている。さらに、¥110,000のオプションであるパノラミックガラスルーフが装備されているため、室内は高い開放感に包まれる。
インテリアにおける大きな特徴とも言えるのが、フラットなフロアと、電動で前後スライドが可能なセンターコンソールだ。このセンターコンソールを操作することで、運転席と助手席間のウォークスルーの幅を自由に調整でき、乗員それぞれの体格や好みに合わせたパーソナルな空間作りが可能となっている。
また、ダッシュボードやコンソールに配置されたエアコンなどのスイッチ類は、単なる物理スイッチでも、味気ない液晶タッチパネルでもなく、操作した際に確かな指先の感覚をフィードバックしてくれるハプティクス(触覚)スイッチを採用。これにより、先進的な見た目の美しさと、ブラインドタッチにも対応できるプラクティカルな操作性が両立されており、ユーザーインターフェースとしての完成度は高い。
インフォテインメントシステムも進化を遂げた。今回のマイナーチェンジから、Google搭載のNissan Connectシステムが新たに採用。これにより、「Google マップ」や「Google アシスタント」、「Google Play」といった機能が車両とシームレスに連携し、スマートフォン感覚で多彩な情報やエンターテインメントにアクセスできるようになった。ルート案内においては、ナビゲーションにGoogleアカウントを同期させることで、充電スポットを予測したルート検索がスムーズに行えるほか、走行ルートに応じてバッテリー温度を自動で最適化する「ナビリンクバッテリーコンディショニング」機能が働き、充電速度の向上とエネルギー消費の効率化に貢献する。
さらに、今回の改良で新たに充電ポートに接続する「AC 外部給電コネクター」が採用され、ドアをロックした状態でも1500Wの電力を取り出すことが可能となった。これにより、アウトドアでのアクティビティはもちろんのこと、災害時の非常用電源としてもアリアを活用できる。
試乗車のオーディオは、¥132,000のオプションであるBOSE Premium Sound System(10スピーカー)を搭載。EV特有の静粛な室内空間と相まって、クリアで豊かな音響体験を提供する。ただし、これほどのプレミアムなオーディオ環境を構築するのであれば、日産が他のモデルで採用実績のあるヘッドレスト内蔵スピーカーをアリアにも導入していれば、さらなる音の広がりや没入感を得られたのではないかという、わずかな惜しさもあった。
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