『FsSTLAne 2030』で重要なポイントとは
7月25日の新型『シトロエンC3エアクロス』の発表会では、単なる商品説明や実車展示だけでなく、今後のステランティス・グループやシトロエン・ブランドについての話もあった。
【画像】BセグメントSUVで敢えての3列7人乗り!新型『シトロエンC3エアクロス』発表会とメディア向けラウンドテーブル 全82枚
ステランティス・ジャパン代表取締役社長の成田仁氏がまず口にしたのは、オランダ・アムステルダムで5月に発表された『FaSTLAne 2030』計画だった。
僕は他の自動車メディアで記事にしたことがあったので内容は知っていたけれど、日本で自動車ビジネスのニュースで話題に上がるのはもっぱら日米中独なので、多くの人が新鮮な話題として受け取ったのではないだろうか。
成田氏はこのFsSTLAne 2030が打ち出した6つの柱のうち、日本市場にとって特に重要だと思われるポイントとして、『EV一辺倒ではなくマルチエネルギー戦略を継続する』こと、『プラットフォーム共通化によって競争力を強化していく』こと、そして『地域への権限移譲を進めていく』ことを挙げた。
「プラットフォーム共通化では、為替変動の影響が大きい日本市場でも、ユーザーにより魅力のある商品を届けられるようになり、地域への権限移譲では日本のユーザーの声をこれまで以上に商品や販売戦略に反映していけることになるので、とても重要な取り組みになります」
日本におけるステランティスはシトロエンを筆頭に、『舶来物』ならではの味わいが支持されていると思うので、画一的なグローバル商品を上から与えるのではなく、地域に合わせて最適なプロダクトを展開していくという新戦略は、ポジティブな影響をもたらすのではないかと見ている。
人のためのクルマを作り続けてきた
続いてステージに立った、ステランティス・ジャパンでフレンチブランドを統括する小川隼平氏は、シトロエンは1919年の創業以来、人のためのクルマを作り続けてきたと紹介。
時代が変わっても、より運転しやすく、より快適なクルマを作るという思想は不変で、人の移動体験をどう豊かにしていくかを体現してきたブランドと説明する。そんな今のシトロエンが大切にしている価値観として、同氏は『ケア』、『クレバー』、『クリエイティブ』の3つの柱を挙げた。
ケアとは操る楽しさだけではなく、乗る人が心地よく過ごせることを大切にしてきたこと。クレバーは技術それ自体が目的ではなく、人々の移動をもっと簡単に、もっと便利にするために活用されてきたことを意味する。
そしてクリエイティブは、誰も思いつかなかった大胆なアイデアや、独自のデザインを世の中に提案してきたことを指すという。
この3つの柱は、新型C3エアクロスにも反映されている。
「シトロエンが常に問い続けているのは、『その技術は本当にお客様をより良くするのか』ということです。うねりのある道を走ってもワイングラスの水がこぼれないように、常に人が快適であることを追求し、そのために技術を使うのが、シトロエンの考え方です」
長年フランス車の魅力を伝えてきたひとりとして感じるのは、この国のクルマは『数値化』、『言語化』が難しいということだ。小川氏はステランティス・ジャパンの前はルノー・ジャポンにいて、代表を務めた経験もあるだけあって、フレンチブランドの中でのシトロエンの立ち位置を、わかりやすく紹介していると感じた。
シトロエンに乗ると会話が弾む
ふたりのプレゼンテーションのあとは、我々メディアを交えてのラウンドテーブルも用意された。ここで印象的だったのは、ステランティス・ジャパンのフレンチブランド事業部でマーケティング&コミュニケーションマネージャーを務める中山領氏の言葉だ。
個人的に、同社きってのシトロエン・フリークだと認識している同氏は、C3エアクロスが日本市場では初めての『3列シートを持つコンパクトSUV』になったことについて、こんな解説をした。
「小さなSUVなのに7人乗りというと、狭そうに感じるかもしれませんが、それでも作るのがシトロエンらしいと感じています。コンパクトな空間にみんなが集まって乗るシーンがまた、楽しいそうだと思っているし、もともとシトロエンに乗ると会話が弾むので、ふさわしいパッケージではないでしょうか」
これについては同感で、僕も親と同居していた頃、親のドイツ車で出かけるときは車内の会話はほとんどないのに、自分のシトロエンで出かけるときは別の家族かと思うほどガヤガヤしていたことを覚えている。
少し前にAUTOCAR JAPANで試乗記をお届けしたC5エアクロスでは、疲れにくい移動空間であることを表現するために、『リカバリードライブ』という言葉を起用したが、これはクルマの売り方が難しくなる中で、リカバリーウェアが売れている状況を見て、思いついたとのこと。
シトロエンの魅力はデザインや乗り心地など、感覚的な部分が多いので、こういう創意工夫は大事になりそう。ただユーザーの選択肢に上がるためには、機能や性能といった部分もキーになる。その点で7シーターコンパクトSUVというC3エアクロスのパッケージングは、大きな後押しになりそうだ。
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