現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 無料で見学できる元「軍人の慰安所」に行ってみた 堂々公開の“赤裸々な歴史”

ここから本文です

無料で見学できる元「軍人の慰安所」に行ってみた 堂々公開の“赤裸々な歴史”

掲載 更新 40
無料で見学できる元「軍人の慰安所」に行ってみた 堂々公開の“赤裸々な歴史”

金門の各所に存在した従軍慰安所「特約茶室」

 第二次世界大戦中、日本軍は侵攻した諸外国の各地に、軍当局の関与のもと、「従軍慰安所」を開設したことは広く知られています。このことは侵攻の歴史とともに、女性を心身ともに蝕んだ行為だとして、戦後80年を経過した今なお非難の的にもなっています。

【当時の女性の写真も】これが「特約茶室」の様子です(写真)

 一方、中華民国(台湾を統治する国)が実効支配する中国大陸の目と鼻の先にある島嶼エリアで、1949年から1979年まで中国との間で熾烈な戦いが繰り広げられた「金門」でも、実は1951年に中華民国・国防部が公式に従軍慰安所を設置し、約50年間もの長きにわたって営業が続きました。このことは近年まであまり知られてきませんでした。

 その従軍慰安所の名は「特約茶室」といいます。「茶室」というタテマエ的な呼び名が中華的な語感ですが、かつての軍事や地元の人々の間では「831」「軍中楽園」という呼称でも知られたそうです。

 戦時中、訓練中の兵士、現役軍人は「結婚すること」を厳しく制限され、また軍の休暇もままならなかったと言われています。

 こんな背景もあってか、同時期に金門同様、中華民国が統治する台湾・澎湖などでは軍人による性的暴行事件が発生。激戦区の金門でも同様の事件が起きることを危惧し、1951年に「特約茶室」が設置されました。一時は金門に7か所もの特約茶室があったと言われています。

 なかでも、約50年以上営業を続けたのが金門・小徑にある特約茶室です。現在はその史実を後世に伝えるため、「特約茶室展示館」として公開されています。

 50年間の営業時、おおむね10名ほどのスタッフと慰安婦が働いていたと言われ、その多くが自主的に志願し金門にやってきた台湾人だったそうです。

 なお、慰安婦は「軍人以外と接しない」「秘密を漏らさない」「外の客を招いたりしない」「週イチで定期検査・3か月に一度に血液検査をする」といった厳しい規則が設けられていたといいます。

「特約茶室」での恋愛模様が2014年に映画化

 一方、利用する軍人にも規則がありました。その内容とは、「軍人証明書を提示する」「武器を所持しない」「慰安婦に軍事機密を漏らさない」「一回の利用時間は30分」といったもので、違反すれば当然軍法にかけられ、厳しく罰せられたそうです。

 また、時代や軍人の階級で入場料金も異なっていたそうで、1951年当時は「軍人=15元」「兵隊=10元」だったと言われています。これが38年後の1989年になると「軍人=250元」「兵隊=150元」と値上がりしたそうです。

 これら「特約茶室」は、あくまでも軍人の性的欲求を発散させるものでしたが、何度も通い続けるうちに慰安婦と懇意となり、恋愛へと発展するケースも少なくなかったといいます。こういった悲しく複雑な恋愛模様を描いたのが、2014年公開の台湾映画『軍中楽園』でした。

 個々に異なる事情を抱えた軍人たちと、さまざまな事情から春をひさぐ慰安婦たちの、悲しく残酷な現実を描いた映画で、商業的な成功には至らなかったものの、数々の賞を受賞するなど、映画ファンの間では非常に高い評価を得た作品でした。

 約50年間も続いた「特約茶室」ですが、営業停止から10年にも満たない2010年より一部リノベーションされ、史実を伝える「特約茶室展示館」として開館しました。この展示館は、無料で見学することができます。

 施設の真ん中には広々とした中庭があり、その周囲に複数の部屋があります。この各部屋で「接待」が行われていましたが、実際に部屋の内部を目にすると、当時の慰安婦の悲しく切ない生活環境、スタッフの日常などをうかがい知ることができました。

 日本政府は終戦から1990年代に入るまで、かつて日本軍が開設した各地の従軍慰安所について軍の関与を公式に認めませんでした。一方、中華民国・国防部は、「誤った過去を正しそれ自体を隠蔽せず、反省し続ける」意味でも、この「特約茶室展示館」を残し、一般に開放しているのかもしれません。

文:乗りものニュース 松田義人(ライター・編集者)

関連タグ

【キャンペーン】毎日機械洗車が50%オフ!お得に愛車をピカピカに(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

ボーイングの “幻の新型哨戒機”なぜサッパリ売れず? 「魔改造でP-8の魂投入のモリモリ性能」も「あれ、全く…」
ボーイングの “幻の新型哨戒機”なぜサッパリ売れず? 「魔改造でP-8の魂投入のモリモリ性能」も「あれ、全く…」
乗りものニュース
ロシア海軍の潜水艦に「異変」! 衛星画像の分析で明らかに 船体に“巨大な傘”を設置か イギリス国防省が指摘
ロシア海軍の潜水艦に「異変」! 衛星画像の分析で明らかに 船体に“巨大な傘”を設置か イギリス国防省が指摘
乗りものニュース
小泉進次郎大臣が空港で「初めて見た」アイテム紹介→なぜかSNSで話題爆発! 「炎上の仕方がカリスマすぎる」
小泉進次郎大臣が空港で「初めて見た」アイテム紹介→なぜかSNSで話題爆発! 「炎上の仕方がカリスマすぎる」
乗りものニュース
85年前のジープでスーパーマーケットへ出動! 博物館から買い取った英国在住オーナー シンプルで整備も簡単
85年前のジープでスーパーマーケットへ出動! 博物館から買い取った英国在住オーナー シンプルで整備も簡単
AUTOCAR JAPAN
自衛艦にも! 巨大船の横にある「謎の数字とマーク」なんのため? じつは「命を守る限界線」だった
自衛艦にも! 巨大船の横にある「謎の数字とマーク」なんのため? じつは「命を守る限界線」だった
乗りものニュース
スゴい主翼を持つボーイングの「新・世界最長巨人機」、なぜか“こっそり性能マシマシ”へ!? その理由とは…ANAも導入予定
スゴい主翼を持つボーイングの「新・世界最長巨人機」、なぜか“こっそり性能マシマシ”へ!? その理由とは…ANAも導入予定
乗りものニュース
なぜ試験に合格した「高齢ドライバー」ほど事故を起こすのか? 「事故率2.8倍」が浮き彫りにした、運転評価の転換点
なぜ試験に合格した「高齢ドライバー」ほど事故を起こすのか? 「事故率2.8倍」が浮き彫りにした、運転評価の転換点
Merkmal
違反した分際で「オレらの反則金でお前ら給料もらってんだろ!」の捨て台詞! これって本当なのか交通違反の反則金の行方を追ってみた
違反した分際で「オレらの反則金でお前ら給料もらってんだろ!」の捨て台詞! これって本当なのか交通違反の反則金の行方を追ってみた
WEB CARTOP
ド派手な星条旗仕様の戦闘機が飛行! そのうち1機はNASA長官自らが操縦!? 独立記念日に現れた“異色すぎる飛行隊”とは
ド派手な星条旗仕様の戦闘機が飛行! そのうち1機はNASA長官自らが操縦!? 独立記念日に現れた“異色すぎる飛行隊”とは
乗りものニュース
貨物機が高度1万m超から急降下し大破 “木っ端みじん”となった衝撃の残骸が公開される
貨物機が高度1万m超から急降下し大破 “木っ端みじん”となった衝撃の残骸が公開される
乗りものニュース
独造船企業「“史上最大”の水上艦契約」ドイツ海軍向けフリゲート「F128」建造へ実は「万能艦」の計画中止を受けての艦?
独造船企業「“史上最大”の水上艦契約」ドイツ海軍向けフリゲート「F128」建造へ実は「万能艦」の計画中止を受けての艦?
乗りものニュース
さよならオンボロ潜水艦! カナダが「史上最大の防衛調達」で新たな潜水艦をついに決定
さよならオンボロ潜水艦! カナダが「史上最大の防衛調達」で新たな潜水艦をついに決定
乗りものニュース
だから日本は「自国にエネルギーを運ぶ船」を作れなくなった――経済の急所LNG船 国内建造再開への高い壁 「この7年間、何もできていない」
だから日本は「自国にエネルギーを運ぶ船」を作れなくなった――経済の急所LNG船 国内建造再開への高い壁 「この7年間、何もできていない」
乗りものニュース
キャノピー装着で巨大なSUVへ激変!雪山もゴルフも快適な三菱「トライトン」の実力
キャノピー装着で巨大なSUVへ激変!雪山もゴルフも快適な三菱「トライトン」の実力
Auto Messe Web
これが国道!?「わずか0.1kmで“海にドボン”するんだが…」 ナゾすぎる道路の“続き”とは?
これが国道!?「わずか0.1kmで“海にドボン”するんだが…」 ナゾすぎる道路の“続き”とは?
乗りものニュース
自衛隊機が中国海軍の「巨大空母」を捉えた! 防衛省が異例の映像を公開 甲板には艦載機がズラリ
自衛隊機が中国海軍の「巨大空母」を捉えた! 防衛省が異例の映像を公開 甲板には艦載機がズラリ
乗りものニュース
空自の戦闘機と中国軍の「怪しいプロペラ機」が東シナ海で睨み合い 沖縄本島の北西を“グルグル飛行” も
空自の戦闘機と中国軍の「怪しいプロペラ機」が東シナ海で睨み合い 沖縄本島の北西を“グルグル飛行” も
乗りものニュース
「激アツやん」「普通にかっこよくて草」トヨタ『アクア』「GR SPORT」グレード追加がSNSで話題に
「激アツやん」「普通にかっこよくて草」トヨタ『アクア』「GR SPORT」グレード追加がSNSで話題に
レスポンス

みんなのコメント

40件
  • lal********
    日本の従軍慰安婦は強制ではありません。
    記事は誤っています
  • 山頭火
    慰安婦は乗り物なのか「乗りものニュース」さん。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村