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「普遍」の価値に頭を垂れる。通称フォルクスワーゲン“ゴルフ8.5”をドイツ・ウォルフスブルグで先行試乗!【50周年特別企画 GOLF to GOLF⓵後編】

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「普遍」の価値に頭を垂れる。通称フォルクスワーゲン“ゴルフ8.5”をドイツ・ウォルフスブルグで先行試乗!【50周年特別企画 GOLF to GOLF⓵後編】

50周年の記念すべき年に大幅改良された新型ゴルフのハッチバックとヴァリアントにドイツで試乗する機会を得た。ハノーファー空港からゴルフの故郷ウォルフスブルグとその周辺の都市まで2日間に渡って走り回り、その進化を確認した。後編は「ヴァリアントeTSIスタイルに乗り換えたら、さすがゴルフ!」をお伝えする。(文:島下泰久/写真:永元秀和 Motor Magazine 2025年2月号)

実用域の扱いやすさが印象的なeTSIスタイル
eTSIのパワートレーンは、1.5L直列4気筒ターボエンジンに、48V電装系を用いたマイルドハイブリッド、そして7速DSGという組み合わせ。従来の1L直列3気筒ターボユニットが廃止となった代わりに出力レベルが2種類用意されるうち、試乗車は最高出力150ps、最大トルク250Nmの上級仕様だった。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

改めてクルマに乗り込み、ドライビングポジションを調整する。シートの前後位置や座面高など調整範囲が広いのはもちろん、可動部分の精度が高いおかげで微妙な調整が一発で決まるのがゴルフの良いところ。見た目、手触りだけが質の高さではないのである。

動力性能はGTIほどではないにせよ十分以上で、とくに実用域の扱いやすさが印象的だ。アウトバーンでは、刻々と変わる規制速度に合わせて速度を落としたあと、再加速でもたつかず、即座に反応するので気持ち良い。ラウンドアバウトの多い一般道も然り。

eTSIは、電気モーターのおかげでピックアップが良く、その後も低中速の豊かなトルク、そしてそれをロスなく推進力に伝えるDSGのおかげで、ストレスフリーに走ることができる。その走りには、ドイツのお国柄がにじみ出ている、とも言えるかもしれない。

シャシ性能も、やはりきわめてハイレベル。とくにヴァリアントはゴルフ8になって全長だけでなくホイールベースも延長されるようになり、安心感、安定感が増している……気がする。いや、正直に言えばハッチバックでもそこに不満はまったくないだけに、あえて言えば、くらいの話になる。

ウォルフスブルグのザ リッツ・カールトンをゴールとした初日は、アウトバーン中心の試乗と撮影でほぼ終了となった。

翌日にはGTI、そしてヴァリアントに代わるハッチバックのeTSIスタイルの2台で、一般道やワインディングロードに走りに出掛けることにした。

eTSIスタイルの印象は、前述のとおりヴァリアントと大きく変わるわけではない。しかしながら狭い街中や、曲がりくねった道を行くときには心理的にも、そしておそらくは実際の挙動の面でも、やはり印象は軽やか。いつでもどこでも一緒に居たい、相棒的な感覚が、より強く感じられる。

実は、こうした走りの部分については新型ではほとんど手は入れられていない。必要のない部分はあえて変えなかったというが、正解だろう。むしろ操作系の不満が取り除かれたことで、走りの質の高さが改めて見直されるのではないかとも思えたほどだ。

新しいインフォテインメントシステムも見知らぬ土地でのドライブを助けてくれた。地図表示は見やすく、拡大や縮小のレスポンスも軽快。ARやVRなどを駆使した最先端の表示ではないが、目指したのが誰にとっても扱いやすいということなら、これは間違いなく正義である。

確実な進化といつまでも変わらないゴルフらしさ
そしてGTI。改めて言うまでもなく、ワインディングロードでのその走りは理屈抜きに楽しませてくれるものだった。

サスペンションは締め上げられているが決して硬過ぎず、235サイズのタイヤをきれいに路面に押し付けてくれる。

ゴルフ8から電子制御油圧式デファレンシャルロックが標準となり、ブレーキ制御式のLSDであるXDS、それらを統合制御するビークルダイナミクスマネージャーが採用されたシャシは反応がきわめて正確。トラクション性能も目をみはるもので、途中でシャワーに見舞われた時にも、臆せずアクセルペダルを踏み込んでいくことができた。

さらに、SPORTモードに入れるとステアリングホイールの手応えがダイレクト感を増して、まるで前輪と直結しているかのような生々しい操舵感を味わえるのだから堪らない。エンジンも回すほどにパワー感が増してきて、トップエンドまで迫力いっぱいに回り切る。DSGの切れ味にも文句はなく、走りの快感に没頭できる。

クルマが勝手に速く走っていくのではなく、自らの意思でアクセルペダルを踏み、ステアリングホイールを切り込んで速さを引き出すこの感覚は元祖ホットハッチの血統。ヨーロッパでもこんなクルマはほとんど姿を消してしまっただけに、ゴルフGTIという存在は、見直されるべきだと強く思う。

丸2日間、新型となったのを機に久しぶりにじっくりと向き合ったゴルフは、確実な進化を感じさせたが、一方でゴルフはやっぱりゴルフだとも改めて思わせてくれた。変わらない部分と進化した要素のブレンド具合が絶妙なのだ。

パッケージングもデザインも走りも、奇をてらうことなく実直で、しかしそれだけでなく楽しさ、小気味良さをちゃんと有している。それが時に不器用さと映る局面もあるわけだが、新型ゴルフにおけるユーザーの不満を真摯に汲み取り、商品に反映させてきたその姿勢を見ると、フォルクスワーゲンはピープルズカーという原点に帰りつつあると感じられて、試乗している間中、ずっと嬉しい気分で過ごすことになったのだ。

さて、新しいゴルフは日本のユーザーに一体どんな反応をもたらすだろうか。考えてみたら初代ゴルフの日本導入は1975年。つまり2025年こそが日本でのゴルフ50周年イヤーである。その歴史にポジティブな章を付け加える1年となることを、期待したい。

【ゴルフeTSI スタイル 主要諸元(欧州仕様)】
●Engine 型式:DND 種類:直4DOHCターボ 総排気量:1497cc ボア×ストローク74.5
×85.9mm 圧縮比:12.0 最高出力:110kW(150ps)/5000-6000rpm トルク:250Nm(25.5kgm)/1500-3500rpm 燃料・タンク容量:プレミアム・51L ●Dimension&Weight 全長×全幅×全高:4295×1790×1475mm ホイールベース:2620mm トレッド 前/後:1535/1515mm 車両重量:1350kg 最小回転半径:5.1m ●Chassis 駆動方式:FF トランスミッション:7速DCT ステアリング形式:ラック&ピニオン サスペンション形式 前
ストラット/後:4リンク ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク タイヤサイズ225/40R18
※オプション設定サイズ

【ゴルフGTI 主要諸元(欧州仕様)】
●Engine 型式:DNP 種類:直4DOHCターボ 総排気量:1984cc ボア×ストローク:82.5×92.8mm 圧縮比:9.6 最高出力:195W(265ps)/5250-6500rpm トルク:370Nm(37.7kgm)/1600-4500rpm 燃料・タンク容量:プレミアム・51L ●Dimension&Weight 全長×全幅×全高:4295×1790×1475mm ホイールベース:2620mm トレッド 前/後:1535/1515mm 車両重量:1430kg 最小回転半径:5.1m ●Chassis 駆動方式:FF トランスミッション:7速DCT ステアリング形式:ラック&ピニオン サスペンション形式 前
ストラット/後:4リンク ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク タイヤサイズ235
/35R19※オプション設定サイズ

[ アルバム : フォルクスワーゲン ゴルフ50周年企画⓵後編 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

1件
  • まほほん
    走りや安定性は良いのだろうけどデザインが
    日本車と同じような感じなので買う人は少ない
    だろうな。価格が高くて幅が広くて扱いにくい。
    故障が多くて修理に費用がかかる地味な車。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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