2026年のF1日本GPのチケットが、10月13日から発売される。2025年の開催では決勝日に11万5000人の観客を集め、鈴鹿サーキットでのF1日本GPが復活して以来最多の観客数となった。
鈴鹿サーキットは2025年の開催をどう評価しているのか? そして2026年のF1日本GPは、”イベント”としてどう変わるのだろうか? 同サーキットのイベント担当者に話を聞いた。
■鈴鹿サーキットでのF1日本GPは、春開催になっても観戦券の売れ行き好調。でもそこにある危機感……将来に向け、今やらなければ
2025年のF1日本GPは、開催直前に角田裕毅のレッドブル昇格が発表され、例年にない盛り上がりを見せた。その結果、観戦チケットの売れ行きが加速し、前述のような観客動員数となった。
ただその結果、一部のサービスなどが滞ることになってしまったという。食事を購入する際や、お手洗いに行く時に、長時間並んだ方も少なくはないだろう。サーキットにアクセスする道中も大変だったはずだ。
「開催前週に、角田選手のレッドブル昇格が決まりました。その結果、私たちの想定を、最後の最後で大幅に上回るお客様にご来場いただきました。多くのお客様に鈴鹿サーキットへお越しいただいたのは嬉しい反面、交通渋滞や場内の待ち時間増加など、ご迷惑をおかけしてしまった部分もあると思います」
そう語るのは、鈴鹿サーキットのモータースポーツ事業部レース企画課の吉岡祐一郎チーフだ。吉岡チーフは2026年の開催に向けて、観客の皆さんにより快適に観戦してもらえるために行なっている改善策のいくつかを明かしてくれた。
「食事の待ち列や、その他通信環境をはじめとするインフラやお客様サービスの部分は課題です。例えば食事の提供をスムーズに行なうために、モバイルオーダーが実現できないか等、より快適に観戦いただけるような様々な施策を検討しています」
モバイルオーダーを実現するためには、各携帯キャリアの協力も必要不可欠。日本GPのように多くの人が集まるイベントでは、携帯の電波がなかなか繋がらない……そういう事象に悩まされるのが常であり、そんな状況では、モバイルオーダーを導入しても、何の解決にも繋がらない。
「通信環境は大きな課題のひとつです。26年に向けては、各携帯キャリアと連携し、より安定した通信環境の実現に向けた調整を進めています」
「この通信の問題が解消すれば、キャッシュレス決済もよりスムーズに進みますし、お待ちいただく時間を削減することもできると思っています」
場内に休憩スペースが少ないというのも、日本GPの課題である。自身の観戦席ならば当然座れるが、GPスクエア(グランドスタンド裏)などには座って休憩できるような場所は少ない。これは鈴鹿サーキットとしても認識していることだ。
「これはずっと課題になっていることです。十分な休憩スペースをご用意できていないというのは、我々も認識しています」
そう吉岡チーフは言う。
「海外のグランプリなどにも視察に行くのですが、敷地面積の違いはあるにせよ、日陰や腰掛けられる場所の数が、日本GPとは圧倒的に違うなと思います。現場に来ていただけるお客様に安心・安全な環境を提供するための整備を進めていく予定です」
「GPスクエアや西エリアのウエストファンゾーンなどお客様が集まってお楽しみいただくスペース以外で、例えば今まではフードのショップが立ち並んでいるだけのエリアに、休憩スペースを増加させようと考えています」
「3月の開催とはいえ、暑くなる可能性もありますし、雨の可能性もあります。そういう時に休憩していただける、屋根のあるエリアを拡充したいと思っています」
電車とバスで鈴鹿へ……来年はその快適性も向上?
もうひとつ、鈴鹿の特色と言えるのが、日本で一番公共交通機関でアクセスしやすいサーキットということだろう。これは、二酸化炭素排出量ゼロを目指すF1としても、今後さらに推し進めていくべき要素である。
鈴鹿サーキットにアクセスする時に至便なのは、伊勢鉄道の鈴鹿サーキット稲生駅か近鉄の白子駅。しかし、いずれも輸送量は限界に近い。例えば白子駅からサーキットを目指す時にはシャトルバスを使うのが主流だろうが、乗車までに1~2時間待たねばならないということも珍しくない。これも改善すべきポイントである。
「電車で来られる方の王道ルートは、白子駅からシャトルバスということになると思います。白子駅からのシャトルバスは、三重交通様の駅前オペレーション変更効果と車両配車により待ち時間は1時間程度まで短縮しました。来年に向けては、サーキット駐車場のバスエリアを拡大し、直行バス受入台数を拡大させることで、白子駅や鈴鹿サーキット稲生駅との分散化を進めています」
「26年は各所からの直行バスを昨年より増加する予定ですが、より効率的なルートを作れないか、バスの転回場所を作れないか、そして例えば、増やしたバスをどこに駐車しておけるのか等、多くの課題はあります。企業様や地域の皆様と連携して、鈴鹿サーキットにご来場いただけるお客様が快適にアクセスできるよう改善にトライしていきます」
とはいえ、歩くという選択肢もある。サーキットから一番近い鈴鹿サーキット稲生駅で20分ほど、平田町駅で60分ほど、白子駅なら80分ほどの距離だ。しかしこの距離をただ歩くだけでは非常に辛い道のり……F1を1日観戦し疲れた身体では、その厳しさはなおさらである。
ただその道中が楽しいもの……例えば道すがら見るべきモノがあったり、フォトスポットがあったり、レースを振り返ることができるような仕掛けがあれば、あっという間の道のりとなろう。
そういう企画はないのかと尋ねると、吉岡チーフは「それは将来的にはぜひ実現したいこと」と語った。そのためにまずは、来場客の意見を聞くためのツールを整え、より快適な観戦環境を作り上げるのに活かしていきたいという。
「ファンの方が楽しいと思うアイデアは、実際に歩いて白子駅などに行く来場者の方々しか分からないことかもしれません。そういう実態を知るためにも、もっとファンの皆さんと会話したいと思っています」
「我々はLINE上に、ファンのみなさんにご参加いただけるコミュニティを開設しています。これはレースがない時など、ファンの皆さん同士で盛り上がっていただきたいという思いで立ち上げたものですが、このコミュニティの中で皆さんと我々がもっと会話できるようにしたいと思っています」
「『今こんなこと考えているんですが、どう思いますか?』ということを皆さんにお尋ねするとか、そういう形でこのコミュニティを使っていきたいです。我々が出したアイデアを実行して、それを社内で反省するだけでは一方的でしかありません。ファンの皆さんのご意見をお聞かせいただいて、ファンの皆さんとよりよい日本グランプリにしていきたいと思っています」
価格が上がる観戦チケット。お値段以上にするために
2026年の日本GPのチケット価格は既に発表されており、2025年と比べて多くの席が数千円値上がりしている。当然これは物価高騰や開催権料の影響を踏まえたものもあるが、ファンとしては価格が上がった分だけ満足度も高まってほしいと求めるのは当然である。それについて尋ねると、吉岡チーフは次のように計画を明かしてくれた。
「イベントコンテンツのボリュームを上げていくということは当然考えています。日本GPは他国のGPと比べて、アートや音楽、その国のカルチャーを体験するようなコンテンツが少ないと感じます。日本GPの良さを出しながら、こうしたサブコンテンツも増やしていきたいですね」
「海外のお客様に対してアピールする上でも、日本の文化に紐づいたパフォーマンスを、もっとお客様に近いステージでもやりたいと考えています」
さらに吉岡チーフは、次のように語った。
「鈴鹿サーキット現地に来ていただく価値を感じていただきたいと思っています。普段テレビや配信などでの視聴がメインの方でも、現場に来られたからこそ体験できて、楽しいと思っていただけるライブ感のあるイベントも入れていきたいと思います」
「特に初めての方など、鈴鹿サーキットまで来ていただくハードルは、あまり低くないと思っています。でもそういうのを補ってあまりある、現場に来てよかったと思えるようなイベントは作っていきたい、そういうサービス作りにトライしていきます」
「来年はF1のレギュレーションも大きく変わります。そしてその勢力図がわかるのが、日本GPじゃないかとも思います。そういう意味では、今までF1をご覧になっていない方でも、観始めるいい機会になるんじゃないかと思います。初めての方にも満足していただけるような、そんな日本GPにしたいです」
鈴鹿サーキットは、そのための施策を確実に行なっている。ファンのみなさまにおかれましては、ぜひ期待をしていただきたい。そしてコミュニティなどを通じて、彼らに要望をどんどん届けてほしい。
そして鈴鹿サーキットには、より楽しく、より快適な観戦が実現されるように、ご尽力いただきたい。そうすれば、きっと新たなF1ファンが今後もっと増えることだろう。
F1観戦が修行のような、過酷な体験であってはいけないのだ。
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は?意味不明
システムトラブル?
古参のファンを蔑ろにするな!