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【MotoGP】ブラッド・ビンダー、最高峰クラスデビュー以降最も苦しい1年に……インドネシアGPの4位が転機になるか?

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【MotoGP】ブラッド・ビンダー、最高峰クラスデビュー以降最も苦しい1年に……インドネシアGPの4位が転機になるか?

 MotoGPの2025年シーズンは厳しい状況に直面するライダーが何名もでているが、中でも苦しんでいるひとりがKTMのブラッド・ビンダーだ。

 ビンダーはこれまでのキャリアで、シーズンを通じて安定して好成績を収めるライダーとしての評判を築いてきた。実際、統計を見てもランキングではルーキーイヤーを除いて常に6位以上をマークしていて、他のKTMライダーにポイントで負けたことはなかった。2024年に大型新人として鳴り物入りで登場したペドロ・アコスタ相手でもそうだった。

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 しかし2025年はその様相が変わってしまった。残り4戦となった現在、ビンダーはトップ5フィニッシュを1回しか記録しておらず、118ポイント獲得でランキングは11番手と低迷している。一方でチームメイトのアコスタは215ポイント獲得で表彰台は3回記録。ランキングでも6番手だ。

 インドネシアGPで取材に応じたビンダーは、この状況を次のように語った。

「最近のように後方集団でレースをするのは楽しくない。もちろん、そこで終えたいわけじゃないけど、それが現実なんだ」

「これが今の僕のペースだし、スピードなんだ。だからこそもっと良くして前進していくために努力するしかない」

 KTMは経営問題というコース外の難題によって、シーズン序盤はかなり苦しんだ。しかし7月のチェコGP以降は競争力を高め、夏休み明けのオーストリアGPで空力アップデートを投入すると、上位に迫るようになった。

 アコスタ、そしてテック3のエネア・バスティアニーニはこのアップデートされたバイクからアドバンテージを引き出している一方で、ビンダーはそれを結果に結びつけられていない。

「受け入れづらいというよりも、これは自然なことだと思っている」と、ビンダーは言う。

「良い結果はほとんど出ていないし、序盤は完走すらできていなかったからね。少し苦しんだ時期もあった。でも今は状況が整ってきて、より理解も深まってきている。KTMも多くの開発作業を進めているんだ」

「この開発プロセスがどう進んでいくかが楽しみだ。ベストな状態に戻るのは時間の問題だ」

 ビンダーの不調には、フロントエンドのグリップ不足と、リヤタイヤのバイブレーションの問題が関わっている。この点は他のKTMライダーにも影響を及ぼしている部分だ。

「エンジニアたちは今、シャシーをいろいろ試している。フロントのグリップが足りず、チャタリングも多いから、剛性やバランスを変えて少しでも改善しようとしているんだ」

 そう語るビンダーに、ライディングスタイルの変更などが必要なのではないかと訊くと、彼はこう答えた。

「ライディングスタイルも変えようとしてきたけど、限界がある」

「もう少しフロントのグリップが欲しいんだ。フロントとリヤのバランスをとって、チャタリングの問題を解消できれば、今とはまったく違う状況になると思う」

 そしてビンダーは、KTMが現在開発中のパーツ群などにも期待を示した。

「KTMが持ち込んでくれたいくつかのアップデートも試したよ。今は生産中だけど、ポイントにも繋がるだろう」

「パフォーマンスも押し上げてくれるはずだ」

 KTMにとって懸念となっているのは、アコスタと他ライダーのギャップが広がっていることだろう。そしてビンダーは特に差が広がっている。

 バスティアニーニは前半戦は厳しいレースが続いたものの、チェコGPスプリントで3位となり、カタルニアGPでも表彰台に返り咲くなど、少しずつ盛り返してきている。

 テック3のマーベリック・ビニャーレスに関しては、怪我の影響を考慮すべきだろう。ビニャーレスはシーズン序盤からマシンに適応し、カタールGPではタイヤの内圧違反で取り消されたものの、表彰台圏内でフィニッシュしていた。

 そのため、ビンダーはKTM陣営で唯一表彰台を獲得していないライダーとなっているのだ。

「シーズン初めは週によって誰かが速い、という状態だった。でもペドロは去年のマシン特性に近づけて、よりノーマルなシャシー構成にこだわったんだ。そこからはすごく安定した走りで、着実に成長している」

「一方で僕らは、上手く機能しない要素を試し続けてきて、あるサーキットでは初日から何もかもうまくいかない、なんてことも多かった。難しい状況だったんだ」

「でももちろん、彼の走りは本当に見事だと思う。彼が上手くライディングしているのには、感心させられる」

 とはいえビンダーにも改善の兆しはある。インドネシアGPでは今シーズン最高のレースを演じ、15番手スタートから表彰台までわずか1秒差の4位フィニッシュを果たしている。

 ビンダーはこの走りについて、インドネシアGPの特殊なコンディションに起因するところも大きいと認めているが、終盤戦に向けて転機となる可能性がある。

「ここが特殊な場所だとは思うけど、本当に厳しいシーズンになっていたから、これが転機になってくれると嬉しいね」と、ビンダーは言う。

「また4位フィニッシュができたのは良かった。ライバル達と戦えたのも素晴らしかったよ。でも、ここは本当に特殊な場所だ。グリップレベルも低くて、タイヤも不安定だった。ヨーロッパに戻った時にどうなるか、様子を見てみよう」

 2025年シーズンが単なる“つまずき”に終わるのか、それとも長期的な低迷の始まりとなるのか? ビンダーは来季、現在の3年契約の最終年を迎える。新レギュレーション導入を控えた来年に、再びKTMのエースとして返り咲けるかが注目される。

文:motorsport.com 日本版 Rachit Thukral

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みんなのコメント

2件
  • ryu********
    信じてるぜッブラッド!
  • aki********
    フライアウェイのサーキットへはミシュランは硬く、グリップ低く減りにくいタイヤを持ち込む。それに最も合わなかったのがドゥカティで、最もフィットしたのはアルデゲルのライディングスタイルだった。あと2戦アルデゲルがどれだ走れるかが楽しみでもある。ピレリタイヤに変われば排気量以上に影響が大きいかもしれない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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