「絵の具のパレットを使って新たなモビリティを描きたい」という願いが込められたトヨタの次世代モビリティe-Palette(eパレット)。人々を運送するだけでなく、店舗などをはじめとした多様な使い方ができるEVだ。だが、コンセプトはいいとして果たして、それがどれだけ実現可能性を有したものなのか? 実際にeパレットを間近で見ることで、その実態に迫ってみることにした。
文:ベストカーWeb編集部/写真:森山良雄、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】え、ランクル300とほぼ同じサイズなん?! ハンドルの形すご!! eパレットの変幻自在の姿を見てよ(26枚)
これが箱根駅伝の走ったクルマか!
朝晩はシャトルバスのように使い、日中は充電しながら店舗営業をする。時には、スポーツ観戦やエンターテイメントを楽しむ空間にも早変わりする。1台で日常の移動から非日常的な楽しみまでこなしてしまう。まさに「Mobility for All(モビリティ・フォー・オール)」。そんな夢を実現してしまうクルマが2025年9月にトヨタから誕生したe-Palette(eパレット)だ。
マイクロバスのような見た目に、大型のウィンドウガラス、かわいらしいロボットのようにも見える顔つき。2026年1月の箱根駅伝で緊急対応車として導入され、その斬新なデザインや存在感が話題になったことも記憶に新しい。
でも、このクルマがそんな画/絵に描いた餅のようなこと、本当に実現できるのだろうか? シャトルバスとしても移動店舗としても使えるなんて、どっちかの性能が犠牲にならない? そういった疑問を抱く方も少なくないだろう。
もちろん、トヨタによるこれまでの発表内容やお台場での運用、さらには名古屋、豊田市といった地域での検証に関する報道などを見れば、その完成度の高さは理解できる。だが頭で理解できていても、やはり百聞は一見に如かず! ちょうどよくトヨタが試乗会を開催しているということで、それならばと実際にeパレットをチェックしに行ってきたぞ!
本当に移動店舗として使えるのか? という興味もあるが、やはりクルマであるからには真っ先に気になるのはその乗り味や走行性能。シャトルバスとしても運用される以上、その問題は避けられない。
さっそく乗ってシンボルプロムナード公園を一周してみると、見た目の大きさもあってか、コミュニティバスに乗っている時と同じような感覚に。これは、お台場のような観光地でのちょっとした移動には、最適だ。見たいコンテンツは多いものの、エリア内を移動するにはちょっと難儀してしまうような観光地などで活躍の場があると予想される。
本当に移動型店舗として使えるの?
では、本題。eパレットの謳う移動型店舗としての実力はどうか? 結論から先に言うのであれば、これはたしかに移動型店舗の可能性をさらに拡げるものだった。
まず、eパレットの室内は、テーブルや棚などを十分に配置できる広さを備えているのはもちろんのことだが、驚かされるのは、店舗としての利用をより最大化するために椅子などを外して架装もできること。
先進的な印象を受けるeパレットなだけに、なかなか内装などを店舗用にふさわしいカタチで変えることが難しいのではないか、と思われたが拡張性の余裕は十分ありそうだ。
実際に、会場では内装はそのままで商品棚や会計のためのデスクを置いたスタイルと内装の一部を取り外しバックヤード化したタイプの両方が展示されていた。
もちろん、椅子などを外さなくともeパレットの広い車内なら店舗に必要な道具や資材をしっかりと積める。開口部は広くとられているため荷物の積み下ろしもしやすく、目的地に着いてからの設営や撤収もスムーズに行えそうだ。
なによりeパレットをそのままに、移動型店舗として利用できるお手軽さはかなりの魅力。
さらに、車内にAIカメラが搭載されているため、つねにデータ収集・効果検証を行うことが可能で、より効率的・効果的な出店・経営を実現ができるのも嬉しい。eパレットはさまざまな地域での運用が考えられるため、こうした機能が「移動型店舗」のさらなるポテンシャルを引き出してくれると予想できる。
実績は着々と積んでるようだぞ!
だが、なによりも驚かされるのが、これがただの計画やペーパープランではなく、すでに稼働しているということ。
たとえば、2024年8月には富士スピードウェイにてサーティーワンアイスクリーム/バスキンロビンスをeパレットで出店していたし、アルバルク東京の試合が行われる日にもお台場で店舗として存分に活用されている。
先述したように現在、トヨタは名古屋・豊田市などで実験検証を行っているが、両市では移動型店舗での実験検証は行っていないため、店舗としての利用をじかに見る機会が多いのはお台場だろう。TOYOTA ARENA TOKYOでアルバルク東京の試合がある日ならば、目にする可能性もがぜん高まるというもの。
お台場に訪れた際は、ぜひとも一度探してみるのもいいかもしれない。
クルマが地域の医療問題を解決する!
もちろんeパレットの活用例は、それだけにとどまらない。車内の50インチモニタを用いて、移動しながら推し活をするといった使い方や箱根駅伝でも目にしたように、移動する医務室としての利用もできてしまうのだ。
推し活については、トヨタはスポーツをモデルケースに説明している。たとえば試合終了後はスタジアムから駅までeパレットで移動して、その道中に、選手とモニターを通した交流ができるといった活用例が想定されているようだ。
しかも、これは過去にハイエースで同様の試みを行なったこともあるそうで、運用実績も十分あると見られる。
もちろん、その他の競技・コンテンツへの導入にも前向きとのことだが、アルバルク東京以外のB.League(Bリーグ)チームから要望があった場合でも応じてくれるそうだ
医療の方も同様に、移動が困難な人のもとに看護師同乗のeパレットがやってきて、これもまたモニターを通してリアルタイムかつオンラインで診断ができるといったもの。
展示車両では、実際にeパレットでの診断シミュレーションが実演され、遠隔医療システム「Teladoc HEALTH(テラドックヘルス)」を用いた患者と医師間でのタイムラグのない問答をする様子が披露された。
なかでも驚きは、車内でエコー診断などができ、そのデータをオンタイムで医師に送信できること。eパレットに搭載されたテラドックヘルスは、医師主導でカメラを遠隔操作できるほか、聴診器、超音波診断装置、ウェアラブルカメラなどの外部機器とも接続可能なため画面越しでも精度の高い診断を受けることができる。オンラインでのやりとりに不安を覚える人も、これなら安心しやすいだろう。
余談ではあるが、箱根駅伝で導入された緊急対応車のeパレットは、まさにこの仕様だったそうで、そこに医師が同乗していたとのことだ。
今後、スポーツをはじめとしてさまざまなイベントでの導入が期待できるほか、医療施設へのアクセスが困難な地域での導入事例も増えることが予想される。
eパレットがこれからの日本社会を支える?
新世紀になってすでに四半世紀。これからの時代、「地域」については活性化だけを議論するのではなく、むしろその地域に適した「あり方」とはなにかが問われてくる。観光地は訪客の地であるだけでなく、生活の地でもある。地域内での移動効率化はヒトの流動を促し、移動先での新たなコンテンツの登場はさらなる経済活性化が期待されるだろう。
オーバーツーリズム問題や訪客の一極集中を解消する意味でも、eパレットにかけられる期待は小さくなさそうだ。
一方で、地方が抱える問題の解決は、活性化だけにその道があるわけではない。むしろ地域における少子高齢化の加速、それに伴った交通の問題といった喫緊の課題に対しては、その地にあった解決方法が用いられることが望まれる。
そういった地域では、新時代のモビリティをいかに活用するかが、「最適化」の鍵となり得る。
eパレットは我々の移動と生活を豊かにしてくれるだけでなく、これからの21世紀日本社会を支える新たなヒントとなるのかもしれない。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント