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FIAが承認した、アンドレッティのF1参戦計画。しかしFOMは未だ否定的……最後の難関で、F1参戦が叶わない可能性があるのか?

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FIAが承認した、アンドレッティのF1参戦計画。しかしFOMは未だ否定的……最後の難関で、F1参戦が叶わない可能性があるのか?

 FIAは今年の初めに、2025年からF1に新規参入するチームの申請を受け付けるプロセスを始動させた。これには多くの申し込みが寄せられたというが、フェーズ1と呼ばれる審査でこれが4チームまで絞られ、フェーズ2の審査でさらに絞り込みが行なわれた結果、アンドレッティ・フォーミュラ・レーシングのみ参戦申請が承認されることとなった。

 ただ、アンドレッティはこれで晴れてF1に参入できるというわけではない。彼らがF1への参戦を実現させるためには、F1の商業権を所有するフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)との間で商業権契約を結ばなければならず、FIAの参戦承認もこの商業権契約を締結することが条件とされている。

■FIA、アンドレッティのF1参戦申請を承認したと正式に表明。今後はFOMとの商業権交渉へ

 しかしこのFOMとの合意を取り付けるのは、アンドレッティにとって最も困難な仕事となる可能性がある。

■新チームの参戦に消極的な既存チーム

 F1には現在10チームが参戦しており、各チームは歴史的な貢献度や前年の成績によって、FOMから分配金を受け取っている。この分配金は、チームの収入においては非常に重要なモノである。しかしアンドレッティが参戦してくることとなれば、各チームに与えられる分配金の額が減る可能性が高くなる……つまり収入が減る可能性があるのだ。

 それを阻止するために、新規参入チームには2億ドルを支払う必要があると、FOMとF1チーム、各商業権所有者の間で締結されたコンコルド協定には定められている。この2億ドルは10チームに2000万ドルずつ分配され、参戦チーム数が増えることで生じる損失を補填するのだ。

 しかしF1の人気がここ数年で大きく高まり、各チームの価値も向上しているため、新規参戦時に支払う金額を2億ドルから6億ドルに引き上げるべきだという議論もなされている。

 このように、FOMも既存のF1チームの多くも、新チームを迎え入れることについてはかなり消極的……むしろ大反対の姿勢を取っていると言っても過言ではない。ただアンドレッティが、自らが参戦することで、F1の価値を引き上げることができると説得することができれば、その結末は変わってくる可能性がある。

 2026年からF1は、パワーユニットのレギュレーションが一新されるなど、大変革と遂げる。FOMとしてはこのタイミングで、より多くの自動車メーカーが参入してくることを期待していた。実際、現時点ではレッドブルをサポートしているも、実際にはF1を撤退した状態であるホンダは、2026年からF1に正式復帰することを決めた。アウディもザウバーをパートナーとし、同社の歴史上初めてF1に打って出る。フォードも、レッドブル・パワートレインズのパートナーとしてF1に戻ってくることになった。これで、既存のメルセデス、フェラーリ、ルノーと合わせて、合計6メーカーがF1に関与するということになるわけだ。

 アンドレッティは、現時点ではPUサプライヤーとしてではないものの、GM(ゼネラルモータース)の1ブランドであるキャデラックをパートナーにF1に参戦することを計画している。

■F1に新たな価値をもたらす?

 キャデラックは、耐久レースなどを中心として、アメリカのモータースポーツ界でしっかりと名声を築いてきたブランドのひとつ。同社が関わることは、現在人気が急成長しているアメリカ市場において、さらなるブーストをかける要因のひとつとなるかもしれない。

 アメリカのチームといえば、ハースの存在もある。しかしハースは、アメリカ国籍のチームではあるものの、それを大々的に活かすことはなく、事実上イギリスとイタリアのチームといった様相だ。

 アンドレッティがF1に参戦したとしても、すぐにキャデラックがパワーユニットメーカーになることはないだろう。しかしGMのF1に引き込む可能性を見出したのは、アンドレッティの功績と言えるだろう。

 今シーズンから、アメリカではマイアミ、オースティン、ラスベガスと3つのグランプリを開催することになっている。その中にアンドレッティ・キャデラックというネームバリューの強いチームが参加すれば、同国でのF1人気をさらに高める可能性がある。

 しかしFIAは、その名前だけではなく、彼らが持つ技術プロジェクトにも価値を見出しているようだ。アンドレッティには、ニック・チェスターやジョン・マッキリアムなど、F1での実績を持つベテランエンジニアが在籍している。つまり、F1マシンを開発する十分なノウハウを持っていると言うことができるだろう。そしてそのマシンを開発するための施設をアメリカに用意している。さらに、イギリスにも欧州における拠点を置く手筈になっている。そしてこれらの計画は、インディカーでアンドレッティをスポンサードする金融サービス大手の1001の一部であるゲインブリッジのサポートを受けるという。つまりアンドレッティ・キャデラックの存在は、すでにアメリカ市場で牽引力を発揮しているとも言える。

 それでいても、既存のF1チームがアンドレッティのF1参入を積極的に受け入れるとは考えにくい。交渉は単純なモノになるわけはなく、何ヵ月にもわたってこう着状態が続くことにになるかもしれない。

 逆にもし数週間以内にアンドレッティの参戦がFOMとF1チームによって承認されることとなれば、おそらくニコ・ロズベルグがタイトルを獲得した5日後に電撃的に引退を表明して以来の衝撃と言えるだろう。

 アンドレッティはここまで準備を整えてきたが、最後に最大の難関が残されている。それは、すでに合意されているはずのゴールポストが、その時の都合によって移動されてしまうという、F1における圧力が決定的な要因となる可能性がある。

 アンドレッティのプロジェクトに欠陥があるのであれば、FIAがこれまでの評価プロセスの中でそれを見つけ出し、承認しなかっただろう。しかし、FIAはアンドレッティのF1参戦申請を承認した。にもかかわらずFOMが、漠然とした不可解な理由で参戦を拒否すれば、そこからは法廷での戦いに持ち込まれる可能性も高い。

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