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車のサスペンションの構造は? 種類や交換するメリットを解説!

掲載 更新 20
車のサスペンションの構造は? 種類や交換するメリットを解説!

走りにおいても重要な役割を果たすパーツ

 クルマが動く上で重要な働きを担うサスペンション。普段何気なく運転している方も多いかもしれないが、どのような構造でどのように動いているのかご存知だろうか? そんなサスペンションについて今回は詳しく解説していきたい。

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クルマのサスペンションとは?

 そもそもサスペンションとは何なのか? サスペンションとは日本の用語では「懸架装置」と呼ばれている。主に車両において路面の凹凸を車体に伝えない緩衝装置としての機能のがあるが、車輪・車軸の位置決めを通して、車輪を路面に対して押えつける機能を発揮することで乗り心地や操縦安定性を向上させる機構でもある。

 例えば、サスペンションがなかったら路面からの衝撃がそのままキャビンに伝わり、乗員へもダイレクトに伝わってしまう。コーナリングでは片輪が浮いたり、急カーブでは車体がロールする動きを制御することなくもろに受け横転の危険性も十分に考えられる。クルマの乗り心地だけでなく、走りにおいても重要な役割を果たすパーツであるといえるだろう。

 これらのことからわかるようにクルマのサスペンションは車体とタイヤの間に位置し、タイヤからの衝撃を緩和してくれるほか、コーナリング時の車体の傾きなどに影響されることなく、タイヤがしっかりと路面を捉えるようにしてくれるのだ。車体とタイヤを繋ぐ位置にありながら、振動や衝撃をはじめとしたあらゆるものを吸収してくれる。クルマを走らせる上でとても重要な役割を果たしているものなのである。

サスペンションの役割は路面からの衝撃吸収

 タイヤが路面から受ける衝撃を吸収するサスペンションの役割のひとつは、路面からの衝撃を吸収することがあげられる。路面からタイヤに伝わる入力がサスペンションを経由することで、ボディへ直接衝撃が伝わることを防ぎ、ボディへの負担軽減に貢献している。

乗り心地とキャビンの快適性を保つ

 タイヤが受けた路面からの衝撃がサスペンションで緩和させるということは、キャビンへ伝わる衝撃が軽減される。衝撃が軽減されれば移動中の車内はより快適性が向上する。もちろん微細な振動を吸収する高性能なサスペンションであれば、路面からのノイズを吸収する働きもあるため、静粛性にも貢献してくれる。実際静粛性向上をも狙って設計されているサスペンションも存在する。

走行性能を向上

 クルマを構成する部品のなかでも重要な役割を担うサスペンションは、走行性能を高めるという点でも重要な役割を果たす。スポーツモデルでは一般的に乗用車とは違った専用チューニングのサスペンションが設定されることもあり、純正状態でもサーキットで十分な実力を発揮できるサスペンションも存在する。

サスペンションの構造とは

 スプリングはサスペンションを構成する部品のひとつ。もっともポピュラーな「コイルスプリング」と呼ばれるものは、長い金属線を螺旋状に巻いたバネのような形状のものを指す。 スプリングは、路面からの力が加わることでエネルギーを蓄積するとともに元の形に戻ろうとし、その特性を利用して、路面からの振動や衝撃を吸収する。そのため、サスペンションを構成する部品の中でもスプリングの性能が、乗り心地や操縦性に影響を与える重要な部品だ。

 コイルスプリングには「直巻」や「荒巻」などの種類がある。直巻はスプリングの自由長や内径、バネの硬さを示すバネレートなどが規格化された汎用スプリング。単価が安く、内径などが合えば使い回しが可能など利便性が高い。車高調整式サスペンションなどチューニング用のコイルスプリングとして主に用いられている。

 一方、荒巻は車種ごとに形状が異なり直巻よりコストがかかるとされている。一般的なクルマのサスペンションに使用されているため、ノーマル形状とも言われる。

 ほかにも長さの異なる細長い板状の鋼を複数枚重ね合わせた「リーフスプリング」や空気バネと呼ばれるエアサスペンションの「エアバッグ」もスプリングの役割を果たす。

 リーフスプリングは長さの異なる細長い板状の鋼を複数枚重ね合わせた形状をしている。そして、その鋼がしなることで路面からの振動や衝撃を吸収する。構造が単純で頑丈なためトラックやバスなど商用車に多く採用されている。

  エアサスペンションはコイルスプリングの代わりに空気が入ったエアバッグを使用。エアバッグの空気圧を調整することで硬さを変えることができるほか、車高の上げ下げも容易にできることからバスなどで採用されてきたが、最近では乗用車のドレスアップアイテムとしても普及しつつある。

 ショックアブソーバー(ダンパー)

   スプリングが吸収した衝撃は収まるまでに時間を要すため、スプリングと必ずセットで使用されるのがショックアブソーバーだ。

 基本的な構造は、筒状の中にオイルが封入されており、穴の開いたピストンが上下するときにこの穴をオイルが通過する際の抵抗を利用して減衰力を発生させている。封入しているオイルにある程度の圧力をかけるため、窒素ガスを封入したガス封入式も存在する。

 また、ショックアブソーバーには単筒式と複筒式があり、単筒式はその名の通り、ひとつの筒で機能し、ショックアブソーバーのシェルケース内がピストンケースになっている。構造上オイル容量を多くすることができ、放熱性も高いことから、熱に強く長時間安定した減衰力を発揮することができるほか、ピストンバルブが大きくなるため、受圧面積が広く減衰力の設定を細かく正確に行うことが可能だ。

 一方の複筒式はシェルケース内部にもうひとつ筒がある二重構造になっており、独立したオイル室とガス室がないため、ストローク量を確保しやすくなるほか、封入ガス圧を低めにできるため、乗り心地が良いとされている。

サスペンションを交換するメリットとは

 サスペンション交換のメリットのひとつがハンドリング性能の向上である。サスペンションはクルマの走行を安定させる非常に重要なパーツであり、純正品から性能の高い社外品に交換することで走行安定性も向上する。

 一般的な街乗りではその差はわかりづらいものの、高速走行やワインディングさらにはサーキット走行などでその威力は発揮されて理解されやすい。ハンドルを切ってからクルマが動き始めるまでのわずかコンマ何秒の応答性の良さは体感レベルも高く、コーナーの連続する山道などでも思った通りの走りを実現できるため、気持ちの良いハンドリングや運転の疲労軽減にも効果がある。道路に突然現れた落下物などへのとっさの緊急回避などにも役立つわけだ。

 乗り心地の改善

 サスペンションは路面からの衝撃を吸収する役割を果たすパーツなので、交換することにより乗り心地に大きく影響を与える。

 一般的に純正サスペンションはそのクルマのキャラクターや想定される走行シーンに合わせて、メーカーが時間をかけたベストなセッティングがなされている。しかしコストという制約もあり車格を超えた乗り心地を手に入れるには社外品の交換がポピュラーだ。

 アフターパーツで発売されているサスペンションの多くがスポーツ走行向けの物が多く、比較的引き締まった乗り心地の物が多い。ただし、最近のトレンドとしてはスポーツ向けのサスペンションでも乗り心地を犠牲にしないしなやかな乗り心地の物がトレンドとなっており、走りの性能を向上させながら同乗者が不快にならないような乗り心地を確保しているものが数多くリリースされている。 また直接の乗り心地向上とは異なるが、サスペンションが吸収する微細な振動が低減することで騒音が軽減する効果もある。  

車高のカスタマイズ

 サスペンションを交換することで純正と異なる車高を手に入れることができる。スプリングだけを交換するお手軽なものから、車高調整式サスペンション、エアサスペンションキットまでタイプはさまざまあり、交換することで車高をさげて運動性能を向上させるほか、ドレスアップ派にも人気のチューニングだ。最近ではSUV系のモデルでハイリフトと呼ばれる車高をアップし走破性やワイルドなスタイルを演出するドレスアップも人気となっている。

サスペンションの種類とは

ストラット式サスペンション

 ストラット式サスペンションは、設計者の「アール・マクファーソン」の名前をとって、「マクファーソン・ストラット」とも呼ばれる。1本のサスペンションアームと、スプリングが同軸に配置されたショックアブソーバーでタイヤを支持するシンプルな形式。

 安価かつ少ないスペースで設置できるのがメリット。ストラット式は構造上サスペンションそのものがアッパーアームの役割を兼ねているため使用する部品は少なく、サスペンションに使用するスペースを小さくできるほか、コストを抑えることにも貢献しており、もっともポピュラーなサスペンションとして多くのクルマに採用されている。

 ダブルウィッシュボーン式サスペンション

 サスペンション上下に配置された、アッパーアームとロアアームの2本でタイヤを支持する構造で、上下動してもタイヤの傾きが変化しづらいため、タイヤのグリップを有効に使えるのが特徴。横方向の力を2本のアームが受け止めるため、動きがスムースで乗り心地がよいのも特徴だ。 上下のアームを配置するスペースが必要になるため、スペースに余裕がある大型乗用車や、スポーツカーなどのサスペンションとして用いられる。ただしコストや必要なスペースが大きくなりやすい。

マルチリンク式サスペンション

 マルチリンク式サスペンションとは、4本以上の棒状リンクを組み合わせてできたサスペンション型式。ダブルウィッシュボーンの上級仕様として、より自由度の高い設計ができるのが特徴。ダブルウィッシュボーン式と同じくスポーツカーや高級車に採用される。性能的にも近く、メーカーによってはマルチリンク式でありながら、ダブルウィッシュボーンと呼ぶ場合もある。ダブルウィッシュボーンよりもきめ細かい制御が可能で、ハンドリング、乗り心地、路面追従性をより重視したモデルに採用される。

トーションビーム式サスペンション

 トーションビーム式サスペンションは、左右一体型のサスペンションアームが特徴で、ストラット式よりも、さらに部品点数が少なく製造コストが抑えられるため、おもに小型FF車のリヤサスペンションとして用いられている。スプリングとショックアブソーバーを個別に配置し、垂直方向の設置スペースを低減できるのが特徴。

 コーナリング時に横方向から大きな力が加わると、タイヤを含むサスペンション全体が内側を向くことで安定性を確保できる特性があり、乗り心地ではストラットやダブルウィッシュボーンなどに劣るものの、コストを抑えながら実用上必要な性能を得られる、コストパフォーマンスの高いサスペンション型式だ。

 前方から車輪軸まで延びるトレーリングアームをコイルサスペンションで懸架し、左右のアームをつなぐ鋼管が、サスペンションアーム全体の剛性を確保すると同時に、スタビライザーと同様のロール剛性を発揮。コーナリング時はトーションビーム全体がトーイン側に向くことで、安定性を確保するように設計されており、構造的には非常に理にかなったサスペンションだ。

リジットアクスル式サスペンション

 リジットアクスルはクロスカントリータイプの本格4WD車やSUVに多く採用されており、不整地でのトラクション性能に優れているのが特徴。片側のタイヤが持ち上がった際に、反対側のタイヤが地面に押しつけるサスペンションアームとして機能するため、強力なトラクション性能を発揮する。数本の棒を連結させることにより、前後左右に動く力に対してはこの数本の棒に車軸の位置決めを担当させるといった役割分担を設け、かかる負荷を分散させている。 スプリングとショックアブソーバーがドライブシャフトを内蔵するホーシングに直接取り付けられ、大きなサスペンション動作域を確保するのも特徴だ。リジットアクスル式には3リンクと5リンクがあり、3リンク式はもっともシンプルな構造となっている。ラテラルロッドと呼ばれるアームと、左右前方の支持アーム2点の、合計3本のアームでホーシングを保持する構造。5リンク式はラテラルロッドと、左右前方を2本ずつのアームで支持し、サスペンション上下動時のホイールベース変化を抑える構造。

4つのタイヤをきっちり設置させるための重要なパーツ

 さまざまな構造のサスペンションが存在するが、基本的な役割は路面からの衝撃を吸収し、4つのタイヤをきっちり設置させるための重要なパーツであるということだ。そうした役割のサスペンションゆえに交換することで得られる効果は高く、ハンドリングや直進安定性、乗り心地といった走りに直接関わるフィーリングを変えることができるほか、車高を変えることでのドレスアップ効果も楽しめるパーツなのだ。

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みんなのコメント

20件
  • サスペンションを変えるって、マクファーソンをリジットにするとか言ってるっぽい。全体的にまとまりがなくて何がいいたいのかわからん。
  • 10万キロ、手前で、下手ってる純正ダンパーの交換は、乗り心地が回復しますね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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