見惚れるほどの美しさ。レースの匂いがしないフェラーリ
フェラーリの新しい2ドアベルリネッタはイタリアの首都にちなんでローマと名づけられた。ローマはシンプルで美しいスタイリングの持ち主。現代のスーパースポーツカーが、性能と引き換えに失いつつあったエレガンスをもう一度取り戻したかのようである。
フェラーリがサーキット走行専用モデルの「488 GT Modificata」を発表
半世紀以上前のフェラーリ・ロードカーは、レースでの強いイメージとは裏腹に、地味なカラーリングの美しいベルリネッタGTが主流だった。21世紀になってその潮目は変わってしまう。軽量化やエアロダイナミクスが徹底追求された結果、デザインはどんどんと先鋭的になった。
「レーシングカーではないのだから」、「もっと落ち着いたデザインで」、「毎日気兼ねなく乗りたい」。そんな声が高まっていたのもまた事実だった。
ローマは、ロングノーズ&ショートデッキの典型的なイタリアンクラシック・スタイル。けれども、きれいにまとめすぎてはいない。そこがフェラーリ独特のエレガンス表現である。
フロントノーズは鋭く尖っており、あくまで低い。2+2のキャビンはコンパクトに引き締まり、リアデッキも小さめだ。
その代わり前後のフェンダーラインをグラマーに描いた。このあたり、美しい時代のフェラーリに共通するデザインのDNAを見つけることができる。ローマにはサイドフェンダーの「SFシールドエンブレム」は似合わない。そう、このクルマからはレースの匂いがしないのだ。
インテリアデザインもエレガント。機能重視だった最近のフェラーリとは味わいが違う。デュアルコクピットスタイルと名づけられた室内は左右のパッセンジャー席が美しく仕切られており、ドライビングに熱中することはもちろん、居心地そのものを楽しめる空間になっている。
トップスピード320km/h! 新開発エンジン&8速DCT搭載
ローマはポルトフィーノの高性能版「M」と並行して開発された。リトラクタブルハードトップを持つポルトフィーノをベースとしつつ、その70%を新設計し、進化したパワートレーンを積んだ。
一昨年末のデビュー時にフェラーリは「新型ローマは、ポルトフィーノのクーペ版ではない」とアピールした。ところが、ほとんど同じスペックを持つポルトフィーノの進化モデル、Mが登場したことで、結果的にこの2モデルは兄弟車の関係になった。
メカニズムの注目ポイントはやはり、フロントミッドに積まれたパワートレーンだろう。3.9リッター直噴V8ツインターボエンジンの最高出力は620psにまで引き上げられ、新開発の8速DCTトランスミッションを組み合わせている。従来の7速DCTに比べて小型かつ軽量であり、変速スピードも上がった。そのうえ、エネルギーロスも格段に小さくなっている。新しいトランスミッションは、燃費性能の向上にも大いに貢献する。
パフォーマンスは0~100km/h加速を3.4秒でクリアし、トップスピードは320km/h(メーカー公表値)に達する。
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みんなのコメント
隣にあったF8のカクカクデザインが古臭く見えた