クルマを運転していると、「これって違反になるの?」「こういう場合はどうすれば正解?」と迷う場面は意外と多い。交通ルールは知っているつもりでも、細かな規定までは理解していないドライバーも少なくないだろう。本記事では、多くのドライバーが一度は悩んだことがある5つのシチュエーションを取り上げ、道路交通法やNEXCOのルールなどをもとに正しい対応を解説する。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock、写真AC、Adobe Stock(トビラ写真=Caito@Adobe Stock)
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自転車がいたので黄色いセンターラインを越えて追い越した
道路幅が狭い道路では、自転車を追い越す際に「少しだけセンターラインを越えれば安全に追い越せる」と考えるドライバーは少なくない。しかし、その道路が黄色いセンターライン、つまり「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止」の区間であれば注意が必要だ。
黄色いセンターラインは、道路交通法施行令に基づく道路標示で、「追い越しをするために右側部分へはみ出して通行すること」を禁止している。そのため、相手が自動車であっても自転車であっても、追い越しのために対向車線へはみ出すことはできない。
「相手は自転車だから」「安全のためだから」という理由でも例外にはならず、黄色いセンターラインを越えて追い越せば交通違反となる可能性がある。
では、自転車を追い越すこと自体はどう考えればいいのか。
2026年11月からは改正道路交通法の施行により、自動車が自転車を追い越す際には「十分な側方間隔」を確保することが努力義務ではなく義務となる。また、十分な側方間隔が確保できない場合は徐行して追い越さなければならないとされる。
一方で、「自転車から必ず1.5m離れなければ違反」という情報を見聞きしたことがある人も多いだろう。しかし、日本の道路交通法では「1.5m」という具体的な数値は規定されていない。
この1.5mという数字は、欧州やオーストラリアなど一部の国・地域で採用されている最低側方間隔の基準であり、日本国内の法令には盛り込まれていない。国内でもJAFなどが安全な目安として紹介することはあるが、「1.5m未満だから直ちに違反」というルールではない。
ただし、法律に数値がなくても、自転車はふらつくことがあるうえ、路面の段差や風の影響で急に進路が変わることもある。そのため、可能な限り1.5m程度の余裕を確保するという考え方は、安全運転の観点から非常に有効である。
つまり、黄色いセンターライン区間では、十分な側方間隔を保ちながら車線内で追い越せる場合のみ追い越しが可能となる。それが難しいのであれば、無理に追い越さず、自転車の後方で安全に走行し、追い越し禁止区間が終わるのを待つのが正しい判断だ。
後続車が迫っていると焦ってしまうこともあるが、無理な追い越しは交通違反だけでなく、対向車との正面衝突や自転車との接触事故につながる危険性が高い。数十秒待つことが、大きな事故を防ぐことにつながるのである。
横断歩道を自転車がまたがって渡っていたので譲った
自転車は道路交通法上「軽車両」であり、基本的には歩行者ではない。そのため、横断歩道の前で自転車に乗ったまま待っている人がいた場合、法律上は歩行者と同じ扱いにはならない。
SNSなどでは「横断歩道で待っている自転車にも必ず止まらなければ違反になる」といった説明を見かけることがあるが、必ずしもそうではないのである。
ただし、ここで注意したいのは現実の交通状況だ。
自転車利用者の中には、そのまま横断歩道へ進入する人も少なくない。ドライバーが「自転車だから優先ではない」と判断して進行した結果、接触事故になれば重大な責任問題となる。法律上の優先関係と、安全運転上の判断は必ずしも一致しないのだ。
では、自転車から降りて押している場合はどうなるのか。こちらは明確である。道路交通法では、自転車を降りて押して歩いている人は歩行者として扱われる。
つまり、横断歩道の前で自転車を押して待っている人がいれば、クルマには歩行者と同じ停止義務が発生する。ドライバー目線で考えれば、「乗っているか」「押しているか」が大きな分かれ目になるわけだ。
自転車は原則として車道通行だが、例外的に歩道を通行できるケースがある。代表的なのが13歳未満の子どもと70歳以上の高齢者である。
道路交通法では、これらの人は普通自転車で歩道を通行できるとされている。また、「普通自転車歩道通行可」の標識がある場合なども歩道通行が認められる。
では、そのまま横断歩道を自転車で渡ってよいのだろうか。
実際には歩道を走行してきた自転車が横断歩道を利用して道路を横断するケースは珍しくない。しかし、ここで重要なのは「歩道を通行できること」と「横断歩道で歩行者と同じ優先権を持つこと」は別問題だという点である。
ここで誤解されやすいのが、子どもや高齢者が乗る自転車の扱いである。道路交通法では13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者は、例外的に歩道を自転車で通行することが認められている。しかし、自転車に乗っている以上はあくまで「軽車両」であり、歩行者になるわけではない。
そのため、横断歩道の前で13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者が自転車に乗ったまま待っていたとしても、歩行者に対するものと同じ停止義務が自動的に発生するわけではない。
一方、道路交通法でいう「小児用の自転車」に該当する幼児用自転車などは歩行者として扱われる。このため、6歳未満の幼児が乗る小児用自転車で横断歩道を通行しようとしている場合は、歩行者と同様に保護される対象となる。
つまり、ドライバーが停止義務を負うかどうかのポイントは「子どもか高齢者か」ではなく、「歩行者として扱われる小児用の自転車なのか、それとも軽車両である自転車なのか」である。
要するに横断歩道で自動車などに停止義務が発生するケースとして考えやすいのは、6歳未満の幼児が利用する小児用自転車の場合だ。
一方で、13歳未満や70歳以上の人が普通自転車に乗ったまま横断歩道を利用することは認められていても、歩行者と同じ優先権が与えられているわけではない。
もっとも、法律上の優先関係と安全運転上の判断は別問題である。特に子どもや高齢者が運転する自転車は動きが予測しにくく、突然進路を変えたり、そのまま横断歩道へ進入したりすることも少なくない。
法的な優先関係だけに目を向けるのではなく、「飛び出してくるかもしれない」と予測しながら運転することが事故防止につながるのである。
おにぎりやサンドイッチなどを食べながら運転
朝、通勤でクルマを使っている人のなかには、おにぎりやサンドイッチなどを手に持ちながら運転しているという人もいるのではないだろうか。
交通の状況によるが、食べながら飲みながら運転する行為は、ハンドルやブレーキ操作を的確に行えない可能性があり、道路交通法第70条に定められている安全運転義務に違反する可能性がある。安全運転義務違反と判断された場合、違反点数:2点、反則金9000円が科せられる可能性がある。
道路交通法上、飲食そのものが「ながら運転」とはされていないが、片手でハンドル操作や目線が散漫になることで、前後左右への注意が不足し、事故のリスクが高まるからだ。
信号待ちでドライバー交代した
家族や友達とドライブ中、「運転代わろうか?」という状況がたまにある。安全なところにクルマを停車させて行えばいいのだが、ついやってしまうのが信号待ち中のドライバー交代だ。
道交法が直接、信号待ちのドライバー交代を禁じているわけではないが、第44条に交差点内や横断歩道の手前では駐停車禁止と定めている。
では駐停車とはなにかというと「当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態」を指す(第2条十八項と十九項)。
ドライバーが交替のために席を離れることはこの駐停車に当たるので、道交法違反というわけだ。また、信号待ちで後ろの荷室に荷物を取りに行ったりする行為も含まれるから注意したい。
うっかり目的のインターチェンジを通り過ぎてしまった
ここ数年、ニュースでよく聞くことが多くなってきた高齢者による高速道路の逆走事故。直近の全国の高速道路で起きた逆走事案のデータをみると、逆走が起きている場所の約6割がインターチェンジやジャンクションで起きている。
2018年に発生した200件の逆走事案の動機では、進行するルートを誤って逆走が41件(21%)、本来のルートへ戻るための逆走が39件(約20%)、本来のルートへ復帰するための逆走が24件(12%)。
ちなみに逆走したドライバーの年齢は65歳以上が69%、そのうち75歳以上が48%を占め、逆走の認識なしが41件(21%)もあり、認知症が27件(14%)も確認されていることに驚かされる。
基本的なことだが高速道路は一方通行。間違えて入ってしまったり、降りるインターチェンジを通り過ぎても本線上や料金所付近でのUターン(転回)やバック(後退)は絶対にしてはいけない。また、サービスエリア、パーキングエリアでは、本線車道に戻る際に進行方向を間違えないように注意。
もし、うっかり目的のインターチェンジを通り過ぎてしまった場合は、高速道路上でUターンやバックはせず、そのまま走行して次のインターチェンジで降りること。
その際、インターチェンジ出口では一般レーンを通行し、料金所スタッフに申し出ること。ETCを利用している人がほとんどだと思うが、事前にETCカードをETC車載器から取り出したうえで料金所まで行くこと。
料金所係員によって、目的のインターチェンジまで戻るように案内されるので心配は無用だ。その際の通行料金は当初流入インターチェンジから目的のインターチェンジまでの通行料金となるとのこと。これを特別展開制度というそうだ。なお、インターチェンジの構造等によっては対応できない場合があるので注意が必要だ。
では逆走すると違反の対象となるのか? 逆走は道路交通法第17条通行区分違反となり、普通車の場合、違反点数が2点、反則金が9000円。
軽すぎると思えてならないが、逆走事故を起こしてしまうと重い処分を受けることになる。自動車運転死傷行為処罰法により、交通事故を起こして、過失により相手を死傷させた場合には過失運転致死傷罪が適用され、7年以下の懲役または100万円以下の罰金となる。
故意に高速道路を逆走して相手を死傷させた場合には危険運転致死傷罪となり、負傷の場合は15年以下の懲役、死亡した場合には、危険運転致死罪となり、1年以上20年以下の懲役となる。行政処分として、過失運転致死傷罪は相手のケガに応じて3~20点の違反、危険運転致傷罪は45点~55点、危険運転致死罪では62点となっている。
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みんなのコメント
追い越しできる区間なんて郊外の道路でもほとんどありませんよね。
道路を整備せず規制だけを強化した事実と、
それによる弊害をマスコミはもっと報道していただきたい。
実際、都市部の市街地ではこのルールを厳密に守って自転車を追い越すことはほとんど不可能だし、
郊外でも、バスがゆっくり上り坂を走るロードレーサーを追い越せず、長蛇の列になっている光景をよく見ます。