7月31日、大分県のオートポリスでENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第4戦『スーパー耐久レース in オートポリス』の決勝レースが行われ、ST-Xクラスの777号車D’station Vantage GT3(星野敏/藤井誠暢/近藤翼)がトップチェッカーを受けるも、黄旗追越により50秒加算ペナルティが課され、62号車HELM MOTORSPORTS GTR GT3(鳥羽豊/平木湧也/平木玲次)が総合優勝を飾った。
近年多くのエントラントとファンを集め盛況となっているスーパー耐久シリーズ。迎えた2022年の第4戦は九州地方での一戦となり、大分県のオートポリスにて台数調整により不参加クラスとなるST-5を除いた全クラス参加の5時間レースが行われた。
【順位結果】スーパー耐久シリーズ2022第4戦オートポリス 決勝
今季最大台数となる9台で争われたST-Xは、ポールポジションを獲得した16号車ポルシェセンター岡崎 911 GT3Rのスタートドライバーを務める永井宏明が好スタートをみせ、その後方では6番グリッドからスタートした23号車TKRI松永建設AMG GT3の元嶋佑弥が一気に2番手まで浮上してくる。
23号車元嶋はトップの16号車永井の背後でテール・トゥ・ノーズまで迫りプレッシャーをかける。そして3番手の555号車PLUS with BMW Team Studieの坂本裕也の後方にも777号車D'station Vantage GT3の藤井誠暢がパッシングを浴びせながらバトルを繰り広げる。
4周目のヘアピンでは2番手の元嶋がトップ永井のインをついて首位に浮上する。続く5周目には555号車BMWをかわした777号車の藤井が3番手にポジションを上げると、7周目の1コーナーで2番手のポルシェ永井もオーバーテイクして2番手に浮上。これで上位2台をプロドライバーが占める展開に。
スタートから30分を迎えたころには若干の雨粒が落ち始め、各マシンのドライバーはワイパーを作動させる。しかし、この雨はコース上を濡らすほどは降らず、レースは落ち着きを見せ始めていたが、22周目にST-3クラスの25号車raffinee日産メカニックチャレンジZの右リヤタイヤが外れてしまうトラブルにより、この日初めてのフルコースイエロー(FCY)が導入。レースは24周目から4時間6分を残して再開を迎える。
そんななか、快調に総合トップを走行していた23号車メルセデスの右リヤタイヤが29周目に脱落してしまう。ステアリングを握っていた元嶋は自走でピットまで戻り中山友貴にドライバーを交代、マシンチェックに若干時間が掛かってしまうもレースに復帰していく。この23号車の外れたタイヤを回収するために2度目のFCYが導入されたが、オフィシャルの素早い対応によりFCYは即座に解除となった。
38周目にはトップの777号車がピットインし藤井から近藤翼へとドライバーチェンジ。残る888号車Grid Motorsport AMG GT3は44周目、81号車DAISHIN GT3 GT-Rも46周目にピットへ向かい、再び777号車アストンマーティンがレースをリードしていく。
レース残り1時間45分となる95周目、一度は止んだ雨が再びコースに落ち始める。雨は次第に強くなっていき、各マシンのワイパーの動きが早まるなか、総合トップを走行する777号車の星野敏は冷静にドライビングを続ける。しかし、2番手を走る16号車ポルシェの伊藤大輔が星野の後方2.6秒まで迫ってくる。
16号車に1秒以内まで迫られた777号車は111周目にルーティンピットに向かい、星野から近藤に最終スティントを託す。しかし、トップが113周目に入ったときにST-Zの885号車、ST-Qの28号車が同じタイミングでグラベルにマシンを止めてしまい、これにより3度目のFCYが導入された。
レースは114周目に残り1時間6分で再開を迎えるも、またしても雨がコースに落ち始める。各車のラップタイムが落ち始めるなか、116周目にトップの16号車がピットイン、ウエットタイヤに交換して上村優太がコースに出ていく。このピットにより先頭に立ったのは虎視眈々と首位浮上を狙っていた62号車HELM MOTORSPORTS GTR GT3の平木湧也となったが、背後にはすでにピットを終えた777号車の近藤がテール・トゥ・ノーズに迫る。
2台の白熱したバトルが繰り広げられるなか、127周目には777号車が62号車をオーバーテイクし首位奪還に成功。抜かれた62号車はすかさずピットへ向かいウエットタイヤに交換する。トップに立った777号車も133周目にウエットタイヤにスイッチするも、早めのタイヤ交換で差を詰めていた62号車がこの間に再び首位に立つ。
しかし、2番手に下がった777号車近藤はタイヤ交換後に雨のなか猛チャージをみせ62号車との差を縮めると、レース残り13分でテール・トゥ・ノーズに迫る。そして139周目の最終コーナーでインに入った近藤が平木を一気にオーバーテイク、再びトップの座を奪い返した。
レースはそのままフィニッシュを迎えるかと思われたが、残り8分50秒ほどとなる141周目に31号車DENSO LEXUS RC F GT3が100R進入のコースサイドにストップしてしまい、4度目のFCYが導入された。レースは残り2分15秒で再開を迎えるも上位陣の順位は変わらず、777号車D'station Vantage GT3が先頭でチェッカーフラッグを受けた。
その後は暫定表彰式も行われ777号車の優勝かと思われたが、777号車にはレース後「黄旗区間の追越」があったとして競技結果に50秒加算ペナルティが課されることが決定。この裁定により2位でチェッカーを受けた62号車HELM MOTORSPORTS GTR GT3が繰り上がりで総合優勝となり、777号車は2位に降格、3位は変わらず16号車ポルシェセンター岡崎 911 GT3Rという正式結果になっている。
こちらも9台が順位を争うST-Zは、スタートで500号車の5ZIGEN AMG GT4(大塚隆一郎/太田格之進/金石年弘)がトップに立つも、その後に885号車シェイドレーシング GR SUPRA GT4が先頭に。1回目のピットを終えると310号車GRGarage水戸インター GR SUPRA GT4がクラストップに浮上して快走を披露していたが、89周目に右フロントの足回りにトラブルが発生したため緊急ピットイン。885号車も駆動系トラブルに見舞われてしまったため、順調に走行を続けた5ZIGEN AMG GT4がクラス優勝、今季2勝目を手にしている。
2台のホンダ・シビック・タイプR TCRが争うST-TCRはクラストップの97号車Racer HFDP CIVICがウォームアップ走行でハブボルトを破損してしまいピットスタートに。ライバルの75号車Team Noah HONDA CIVIC TCR(塚田利郎/蘇武喜和/小串康博/清瀧雄二)をレース中に追い上げるも、47周目にエンジントラブルが発生してしまいタイムロス、これで75号車がクラス優勝を飾った。
メーカーの開発車両が参戦するST-Qは、総合4番手からスタートを切った3号車ENDLESS AMG GT4(小河諒/川端伸太朗/菅波冬悟)が順調に周回を重ねクラストップでフィニッシュ。クラス2位には61号車Team SDA Engineering BRZ CNF Concept(井口卓人/山内英輝/廣田光一)、3位には244号車ニッサンZ Racing Concept(田中哲也/田中徹/三宅淳詞)が続いた。
ST-1は6周目の最終コーナーで2号車シンティアム アップル KTMがトップに立つも、80周目にマシンをガレージに入れてしまいタイムロス。これで47号車D’station Vantage GT8R(星野辰也/織戸学/浜健二/ジェイク・パーソンズ)が先頭に立ち今季初のクラス優勝を達成している。
ST-2は、クラスポールスタートの6号車新菱オート☆夢住まい館☆DXL☆EVO10がレース序盤をリードするも、1回目のピット作業完了後に225号車KTMS GRヤリス(平良響/荒川麟/奥住慈英)が逆転しトップへ。225号車は終盤の雨で一時13号車ENDLESS GRヤリスの先行を許すも、13号車がウエットタイヤに交換するピットインを行ったため、先読みでウエットタイヤに交換していた225号車が再び先頭に立ち、そのまま今季3勝目を飾った。
ST-3は52号車埼玉トヨペット GB クラウン RS(服部尚貴/吉田広樹/川合孝汰)が終始レースをリード。一時は311号車Team Fukushima Z34とトップ争いを繰り広げるも、311号車は1回目のピットでジャッキが上がらずにタイムロス、さらに311号車はクラス3番手走行中にセルモータートラブル見舞われて修復を余儀なくされ後退、代わって39号車エアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSが2番手に上がってくるが、52号車がトップを譲らずにクラストップチェッカーを受けた。
そしてST-4はクラスポールからスタートした86号車TOM’S SPIRIT GR86(河野駿佑/松井孝允/山下健太)が終始速さをみせ、884号車シェイドレーシングGR86との争いを制して富士24時間からの3連勝を達成している。
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