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人気軽ワゴンの良い点・悪い点は? N-BOX、タント、スペーシアを徹底比較!

掲載 更新 6
人気軽ワゴンの良い点・悪い点は? N-BOX、タント、スペーシアを徹底比較!

■軽トールワゴンが人気! なぜ売れるのか?

 最近はクルマが売れないといわれますが、軽自動車の販売は好調です。

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 そのなかでもとくに人気なのが、ホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」など、全高が1700mmを超える背の高い車種で、軽自動車販売の半分近くを占めています。

 この3車種のなかで、安定的に高い人気を得ているのはN-BOXです。先代モデルで確立された、広い室内空間は、小型車と同等の広さや使い勝手を軽自動車のサイズで得られることから買い得感も強いです。外観はミニバン的でファーストカーのような立派さも持ち合わせています。
 
 N-BOXは車内の広い軽自動車の象徴的な存在になり、ダイハツとスズキの店舗数が少ない都市部を中心に売れ行きを伸ばしました。

 そしてN-BOXが好調に売れたことで、ホンダの小型/普通車は売れ行きを下げ、最近は国内で売られるホンダ車の30%以上をN-BOXが占めています。

 しかし2019年11月は、タントが軽自動車の販売ランキングで1位になりました。この理由は複雑なのですが、2019年7月にフルモデルモデルチェンジしたタントの新車効果が現われたと見ることもできます。

 ただし、10月には消費増税も実施され、同月の国内販売は対前年比でマイナス25%、11月も13%減っています。販売ランキングの順位には毎月の変動もあるため、少なくとも今後半年の期間で見ないと結論は出せないといえます。

 軽自動車の人気が与える影響について、軽自動車の販売店スタッフは次のようにいいます。

「軽自動車はどれも外観のデザインやボディサイズが似ていて、お客さまが選択に迷うことも多いです。お客さまが判断に迷ったとき、たくさん売れているメーカーの商品を選ぶことが多いので、軽自動車のメーカーは販売ナンバーワンにこだわるのです」

 背の高い軽自動車の売れ筋モデルであるN-BOX、タント、スペーシアの特徴とは、どのようなものなのでしょうか。3モデルの良いところと悪いところを比較してみます。

 N-BOX、タント、スペーシアに共通する良いところは、空間効率に優れ、小さなボディに広い室内を備えているところです。後席にはスライドドアが装着され、開閉時にドアパネルが外側へ張り出さず、狭い場所でも乗り降りしやすいです。

 後席を畳むと座面も下がって床の低い大容量の荷室になり、自転車のような大きな荷物も積めます。

 後席にも前後スライド機能が備わり、後席にチャイルドシートを装着したときは、前側に寄せると便利です。車内最後部の荷室も広がってベビーカーなどを積みやすいです。

 後席の折り畳みとスライド機能は、3車種とも左右独立式を採用。背の高い軽自動車は子育て世代のユーザーを意識して開発されたので、収納設備も豊富に装着されています。

 安全装備の充実も、背の高い軽自動車に共通するメリットです。歩行者や車両を検知できる衝突被害軽減ブレーキ(緊急自動ブレーキ)、ペダルの踏み間違いなどによる急発進事故を防ぐ誤発進抑制機能などを採用しました。

 N-BOXとタントは、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなど運転支援機能も備えています。

 このように背の高い軽自動車は、運転のしやすさに加えて、居住性、積載性、収納性といった実用性を高めて、安全装備も先進的です。

 その一方で、N-BOX、タント、スペーシアで注意したいのが、全般的にボディが重いことです。もちろん軽量化に力を入れていますが、安全装備も増えたことで相殺されています。

 車両重量は900kg前後ですが、それでもJC08モード燃費は、自然吸気エンジンが27km/Lから28km/Lなので悪くありません。しかし、ボディが重いためにパワー不足に陥ることがあります。

 パワー不足の解消には、ターボ車を選ぶことをおすすめします。動力性能を左右する最大トルクが非ターボ車と比べて1.5倍から1.7倍に高まり、一方でJC08モード燃費は5%から10%しか悪化しません。

 しかもターボの価格は、ターボ車にプラスされるアルミホイール、パドルシフトといった各種装備の違いを補正して、ターボの正味価格を割り出すと5万円から7万円に換算されることが多いため、機能の割に安いです。

 N-BOXとタントは、標準ボディとカスタムの両方にターボが用意されているので、積極的に選べます。

 また、安全性には注意が必要です。前面と側面衝突に対応するため、サイド&カーテンエアバッグも充実していますが、後面衝突に関する乗員の安全基準はありません。

 この影響もあり、後席を後端まで寄せると、後頭部とリアウインドウの間隔が狭まります。後席に座るときは、スライド位置をむやみに後端まで寄せず、後席とリアウインドウの間に余裕を残しておきましょう。

 後席に座り、前席と膝の間に握りコブシがふたつ収まる程度の空間があれば、窮屈には感じません。後席のスライドは、中間的な位置にセットしておくと安心です。

■似ている軽トールワゴンはどう違う? 良い点と悪い点を比較

 運転のしやすさや居住性、積載性、収納性といった実用性を高く、安全装備も充実したN-BOX、タント、スペーシアですが、各モデルの良い点と悪い点はどうでしょうか。比較してみます。

●N-BOXの良い点

 N-BOXのホイールベースは2520mmと長く、エンジンや補機類も縦長に配置され、有効室内長をもっとも長く確保しました。

 そのために3車種のなかでは車内が一番広く、4名で乗車して荷物もタップリ積めます。スライドドアの開口幅は、左右ともに640mmを確保しました。

 インパネやシートなどの質感は、3車種のなかでもっとも優れています。前後席ともシートに十分な厚みを持たせ、座り心地にもボリューム感があります。

 路上のデコボコを吸収するので、乗り心地にも良い効果を与えました。乗り心地と静粛性は、N-BOXがもっとも優れているといえます。

 また、燃料タンクを前席の下に搭載するセンタータンクレイアウトを採用しているので、荷室の床が低く抑えられています。リアゲート開口部の下端は、地上高を470mmに抑えたので、自転車を積むときも前輪を大きく持ち上げる必要はありません。

●N-BOXの悪い点

 N-BOXのメーターパネルは、インパネ最上部の奥まった位置に装着されているので、小柄なドライバーが座ると圧迫感が生じる場合もあります。

 さらに、天井が高く、リアゲートの角度が直立しているため、ゲートを開閉すると手前に大きく張り出し、狭い場所では開閉しにくいです。

 助手席を前後に570mmスライドできるスーパースライドシート装着車は、ボディの補強もおこなうために車両重量が30kg重くなって、価格も5万5000円高くなります。

 運転支援機能のアダプティブクルーズコントロールは、高速道路を走るときにペダル操作を軽減してくれますが、全車速追従型ではありません。速度が時速25km未満まで下がるとキャンセルされます。

●タントの良い点

 タントの助手席側のピラー(柱)はスライドドアに内蔵されています。そのために前後ドアを同時に開くと、開口幅が1490mmとワイドに広がります。

 助手席を前端に寄せると、体をひねらずに車内に入り、後席に座ることが可能です。子供を抱いた状態、あるいはお年寄りも乗り降りがしやすいです。

 売れ筋グレードの運転席には長いスライド機能が備わり、後方に寄せると車内の移動もしやすいです。ワイドに開くスライドドアから車内に入り、子供を後席のチャイルドシートに座らせ、そのまま運転席へ移動するということもできます。駐車位置によっては、ドライバーが助手席側から乗り降りできます。

 カスタムグレードには、アダプティブドライビングビームを標準装着しました。ハイビームで走行中に対向車を検知すると、LEDヘッドランプを遮光するので、ハイビームの視界を保ちながら相手車両の眩惑を抑えられます。

 誤発進抑制機能は前後両方向に対応して、ブレーキ制御も備わります。

●タントの悪い点

 N-BOXに比べると、タントは乗り心地が硬く感じます。とくに「カスタムRS」は15インチタイヤを装着して足まわりの設定も異なり、操舵感は少し機敏ですが、乗り心地はさらに硬くなります。

 内装の質感は見た人によって印象が異なりますが、N-BOXなどに比べると、見栄えを向上させる余地があるでしょう。

 運転支援機能のアダプティブクルーズコントロールは全車速追従型で使いやすいですが、N-BOXと違って標準装着ではありません。オプション装着できるのは、ターボエンジン搭載車に限られます。

 現行型では、チルトステアリングと運転席の上下調節機能も標準装着からオプションに変更されたので、購入時には注意が必要です。

●スペーシアの良い点

 スペーシアはマイルドハイブリッドシステムを搭載しており、しかも車両重量はライバル車に比べて20kgから30kg軽いです。そのためにJC08モード燃費は28.2km/Lとされ、全高が1700mmを超える軽自動車のなかではもっとも優れています。

 標準ボディとエアロパーツを装着したカスタム、SUV風のギアという3つのスタイルを用意し、好みに応じて選ぶことができます。標準ボディのフロントマスクは、柔和なデザインで個性的です。

●スペーシアの悪い点

 乗り心地が柔軟なわけではありませんが、カーブを曲がるときに、ボディの傾き方が少し大きく感じます。走行安定性と乗り心地は、もう少し向上させる余地があるでしょう。

 サイドエアバッグは標準ボディとギアに用意されますが、カーテンエアバッグを装着できるのは、最上級の「カスタムハイブリッドXSターボ」のみです。

 N-BOXやタントと違って、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなど、運転支援機能は採用されていません。

※ ※ ※

 軽自動車は競争の激しい商品で、既存のライバル車を横目で見ながら開発をおこない、価格を決めています。

 従って設計がもっとも新しいタントは、N-BOXやスペーシアに対抗できる魅力と価格を備えていて当然です。タントが販売1位になる資質も十分にありますが、先に述べた通り1か月だけの順位変動で本当の人気は判断できません。

 ちなみにダイハツの販売店によると、「現行型の発売当初は納期が3か月少々と長かったのですが、最近は売れ筋のグレードやオプション装備もハッキリして、納期は2か月程度まで短縮されました。生産もようやく軌道に乗ってきました」ということです。

 N-BOX、タント、スペーシアの販売合戦は、これから本格化するといえるでしょう。

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みんなのコメント

6件
  • タントは内装がチープすぎる。昔っからの軽自動車って感じ。しかしターボの加速はピカイチ。オプションのACCの制御は不自然極まりない。ハンドルをとられ、危険な面もあった。NBOXが継続的に売れる理由は、実際乗ればわかる。室内の質感・シートの質感・プラスチックの質感・サスペンションの質感など、普通車と変わらない感覚に驚かされる。
  • これくらいになるとどれもこれも同じだよな。

    スペーシアの後席膝まわり空間が35cmもあれば十分以上だろ!?

    これ以上は衝突安全性を高めるためのサイズアップ規格改正が必要だな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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