■目立たない存在ながら「いぶし銀」の魅力があるGTS-R
1957年、プリンス自動車の前身である富士精密工業から発売された初代「スカイライン」は、アメリカ車を思わせる重厚なデザインに、当時としては先進的な技術が注ぎ込まれたミドルクラスセダンです。
そして、プリンス自動車になって登場した2代目、日産と合併してから最初に発売された3代目は、レースで活躍することでスカイライン=高性能モデルというイメージを定着させました。
その後、オイルショックや排出ガス規制の強化もあり、一旦はスペック的に目をみはるものはありませんでしたが、1980年代になるとターボエンジンの登場により一気に高性能化が進みます。
しかし、スカイラインシリーズのみならず、日産の中大型車を支えてきたエンジン「L型」も、さすがに設計の古さは否めなりました。
そこで、1985年に発売された7代目スカイラインからは、新世代のエンジン「RB型」を搭載。なお、7代目ということで「7th(セブンス)」の愛称で呼ばれました。
RB型エンジンでは初代と2代目スカイラインGT-Rに搭載された「S20型」以来となる、直列6気筒DOHCが復活。さらに高性能な「RB20DET型」ターボエンジンも加わります。
また、スカイラインは1985年から始まったレース「全日本ツーリングカー選手権」に本格参戦していて「グループA」と呼ばれるカテゴリーで争っていました。
このグループAでは変更できる部品が厳しく制限されており、ノーマルの状態でのポテンシャルがそのまま戦闘力の向上につながりました。
そのため、日産は1987年にレース用のベースに特化した「スカイラインGTS-R」を800台限定で発売します。
GTS-Rには専用のターボチャージャー、エキゾーストマニホールドなどが採用され、シリーズ最強の210馬力を発揮する「RB20DET-R型」エンジンを搭載。
外観では固定式のフロントスポイラーや、当時としては大型のリアスポイラーを標準装備するなど、ひと目で只者ではないとわかるルックスに変貌しています。
そして、発売年の1987年シーズン終盤から、全日本ツーリングカー選手権へと投入されました。
■スカイラインGTS-Rが残した功績とは!?
1987年当時の全日本ツーリングカー選手権には、トヨタ「スープラ」、フォード「シエラRS500コスワース」三菱「スタリオン」など、強豪がひしめく状況でした。
そんななか、スカイラインGTS-Rはライバルと対等以上の戦い見せ、1989年のシーズンでは長谷見昌弘/A.オロフソン組が3勝を挙げ、シリーズタイトルを獲得。
辛くもチャンピオンとなったスカイラインGTS-Rでしたが、他を圧倒するようなパフォーマンスではなく、1990年からは16年ぶりに復活したスカイラインGT-Rで参戦します。
スカイラインGT-Rは無敵の強さで連勝を重ね、いまでは伝説にまでなりました。そうして役目を終えたスカイラインGTS-Rには、実はもうひとつのストーリーがあります。
それは、スカイラインでは初となる海外のレース「欧州ツーリングカー選手権」への参戦です。
このツーリングカー選手権は、市販車のポテンシャルを証明することで、販売増に繋がるという効果が期待できました。
スカイラインGT-Rが強さを見せ、約500万円という高額なモデルながら人気となったのは、まさにレースの効果です。
では、欧州をはじめ輸出されなかったスカイラインが、なぜ欧州ツーリングカー選手権に参戦したのでしょうか。それは後の「ル・マン24時間耐久レース」への布石でした。
1988年シーズンを戦うためにイギリスに「NME(日産モータースポーツ・ヨーロッパ)」という拠点を設け、文字どおり欧州を転戦。
マシンは日本のグループA車両と同等の仕様で(排気量は異なる)、また、イギリスで仕立てていたので、電装系やシートなどのパーツ類も日本の仕様とは異なっていたといいます。
そうして欧州ツーリングカー選手権を戦ったスカイラインGTS-Rは、最高位はスパ・フランコルシャン24時間レースの6位と、大きな結果は残していません。
わずか1シーズンの戦いでしたが、日産ワークスによる後のル・マン24時間耐久レース挑戦への体制作りに、多大な貢献をしました。
※ ※ ※
歴代スカイラインの多くは、レースで輝きました。スカイラインGT-Rは、その集大成といえます。
しかし、このスカイラインGTS-Rがあったからこそ、伝説につながったのではないでしょうか。
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これこそが、現代のスーパーカー等で盛んに使われている
「アクティブスポイラー」の嚆矢なんでしょうかね…?
スタッフの育成には貢献したのかな。