この記事をまとめると
■ボルボXC60とV60を比較試乗
【試乗】ここまで熟成させたボルボに敬礼! 質感もハンドリングも向上した8年目のXC60はまさに円熟の域
■同一のパワートレインでもSUVとステーションワゴンで乗り味は大きく異なる
■用途や好みに応じて最適解が変わる2台といえる
改良を重ね円熟の域に達した2台のボルボを試す
同一のPHEVパワートレインをもつボルボのXC60とV60に乗った。どちらもデビューしてからかなりの年月が経つが、その年月を掛けて改良改善を続けたクルマの完成度の高さは明確だ。見た目の変化はファーストモデルからそう変わらない。そこも長年愛車として乗り続けるユーザーにはうれしい話ではあるが、乗るとその乗り味の違いに驚くことになる。
ボルボはBEV(電気自動車)に向かっている。が、日本の現状はHEV(ハイブリッド)かPHEV(プラグインハイブリッド)が主流だ。個人的にはそれが本流だと思っていたが、世界情勢の変化で今後石油がどう影響を受けるのか、まったく予測不能な事態に発展してしまった。
とはいえ今日の2台、「XC60 T6 AWD PHEV」と「V60 T6 AWD PHEV」の、エンジンと駆動用モーターを前後それぞれにもつPHEVシステムは、搭載する18.8kWhのバッテリーに外部充電をしてもしなくてもガソリンさえ入っていれば通常走行になんの支障もきたさない。BEVとは違う利便性の高さであり、そこがいい。
ボルボでは、1990年代に日本でも爆発的ヒットした850エステートが還暦過ぎの筆者世代には印象深く残る。ボルボといえばワゴン、とイメージするのもそれが大きいが、近年はSUVのXCシリーズが主役になっている。ちなみに「エステート」とも「ワゴン」とも呼ばないVシリーズの意味は、Versatility(ヴァーサティリティ)。XCはCross Country(クロスカントリー)だ。
今日はその2台から、まずはXC60から。乗り込んでシートの高さと前後位置、ステアリングの距離と角度を設定すると、ジャストフィットするこの感覚。長身が多いスウェーデン生まれだけに、シートはヒップポイントの調整幅が驚くほど広く、ドライビングポジションの調整幅を広げる。低い着座姿勢に慣れているスポーツカー乗りも納得だし、逆に座面を高く調整することで、小柄なユーザーでも視界が開けて見晴らしのいい視界が確保できる。
シフトレバーでDを選びアクセルを静かに踏む。クルマの乗り方について、見方の基本として、アクセルを踏んだ量に応じた動き出しになるのか否か、そこからまずは探る。ジワリとスタート加速するその感触と緻密な制御が素晴らしい。クルマが動き出してからさらに踏み込むと、まるでBEVのような力強い加速Gの盛り上がりに身体がのけぞる。
バッテリー残量にもよるが、エンジンが始動して駆動することもあれば、モーターのみでスルスルとスタートすることもある。2リッターターボエンジンは253馬力/350Nmのパワーとトルクを8速ATを介してタイヤに伝える。これだけでも十分過ぎるパフォーマンスを発揮する。
それに加わるモーターの出力は、フロントが72馬力/165Nm、リヤは145馬力/309Nmもある。この数値からもわかるとおり、モーターはリヤから押し出す駆動配分。アシストというなまやさしいレベルではない、まさに「BEVそのものの強烈な加速G」があるという表現になる。
SUVかワゴンかで変わる走りの本質
シフトレバーをDレンジからもう一度引くとBレンジに変わる。アクセルオフした際にはエンジンブレーキと同様にモーターの回生ブレーキの利きが強くなり、その強弱はシフトレバーを左右にクリックすることで調整可能。最終的にはフリーで空走するコースティングを可能にする。逆にワンペダル状態で完全停止までもっていくこともできる。
通常Dレンジに入れたままで、細かな操作は必要ない向きには無用の長物だが、一方で操る感触を得ながらの走行はドライビングの幅が広がり、移動の足だけではない楽しい走行時間が待っている。
操縦性は、なんの技も必要なくステアリングに手を添えるだけで直進する安定性と、ステアリングを切る量に応じたノーズの動きがじつに自然。床下のバッテリー重量が低重心を強調して、ボディが傾くロールの少ない安定姿勢もコーナリングを楽しくする。
XC60はSUVで背の高さがあるぶん、乗員も高い位置から走路状況を見るが、その上から見下ろす前方、左右、後方の視界の広がり、見とおしのよさが人気の秘訣。エアサスによる路面からの衝撃を滑らかにいなす乗り味の滑らかさもいい。AWDであり、地面からボディまでの地上高が高いゆえに道を選ばないところもアクティブに行動する派にも向いている。
一方、ボルボといえばのワゴンであるV60。さすがに「ワゴンとしての流麗」なスタイリングがシュッとして美しい。SUVの高さが苦手というユーザーに向いているが、SUVに慣れていると、ガードレールの高さやハイト系軽自動車にも視界が遮られる。しかもスーパーカーか? と思うほど低い着座位置に設定することもできるからなおさら。視界の確保、ドラポジの位置と高さ調整の重要さを改めて思う。
走りはこれも同じT6パワーユニットだから、静かに速い。ドライブモードをPowerにすると、エンジン回転がさらに冴える。それがモーターの後押しあってなのか、なんとも判断はつかないが、ともかくその瞬発力、物体を動かすトルク感はエンジンとモーターのいいとこ取り。現状のボルボで最高のパワーユニットだと改めて思う。XC60と比べると、V60はよりダイレクトな操縦感覚と乗り味をもつといえる。
室内空間や車高の違いから、XC60とV60のどちらがいいとは断定できない。ユーザーの使用用途、好みがどちらかを答えてくれるはずだ。
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