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【感動エンジン】911で伝説を確立。「ボクサー」に込めたポルシェの執念

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【感動エンジン】911で伝説を確立。「ボクサー」に込めたポルシェの執念

極上フラット6が正確でダイレクトな走りをサポート

 まずは最新版のタイプ992型カレラ4GTSの印象から。カレラ4GTSは911本来のスポーティな性格を、一段と際立たせたグレードである。走らせると、ポルシェの身上である正確でダイレクトな応答に、あらためて感心する。極めてリニアなアクセルレスポンスはもとより、踏み増したときの力強い吹き上がりと整ったサウンド、抜群のトラクションと正確無比なハンドリングは、さすがというほかない。

【CD取材ノート】印象に残るポルシェは、997のGT3と、あの959。官能のエンジンと先進スポーツカー像にメロメロです。by 岡本幸一郎

 リアにマウントされた伝統のフラットシックスは、現行のカレラS、そして従来型のタイプ997のカレラGTSを30ps上回る480ps/6500rpmの最高出力と、従来型のカレラGTSを20Nm上回る570Nm/2300~5000rpmの最大トルクを発生する。0→100km/h加速の公表値は3.3秒となかなかの俊足ぶりだ。

 これほど高いパフォーマンスを誇るターボエンジンながら、ターボラグを感じさせない自然なレスポンスを実現している点には恐れ入る。こうしたリニアなレスポンスを実現できる技術的なメドがなかったら、ポルシェはまだターボ・グレード以外にはターボチャージャーを導入していなかったかもしれない。

 リニアなアクセルレスポンスは加速だけでなく荷重移動によるクルマの挙動にも直結する。いいエンジンは、いかに狙ったラインを正確にトレースできるかという点でも有効。クルマ全体が操作したとおりに動くようになる重要な要素だ。

 ブレーキも最高である。他車でここまで突き詰めた例は心当たりがない。ダイレクト感にあふれ、ストロークよりも踏力でコントロールするタイプだ。爪先の微妙な力の加減で減速度を意のままに操れるようにチューニングされている。

 走りに関するすべての要素を巧く連携させなければ、911の走りは実現できない。リニアなアクセルレスポンスは、ハンドリングにも寄与し、ひいてはポルシェの真骨頂であるダイレクトで正確無比な走りにつながる。

 どこにもスキのない意のままを極めた走りの実力を多くの人が感じ取っているからこそ、ポルシェ・ファンがこれほど大勢いるのだ。カレラ4GTSの場合は、そこに圧倒的なパフォーマンスが加わる。モード選択次第で、トップエンドにかけての吠えるかのような迫力あるエグゾーストサウンドを楽しむこともできる。

 トランスミッションは7速DCT。パドルシフトの操作に対する反応の速さは、ノーマルモードでも圧倒的と表現できるほど。走り系のモードを選択するとエンジンサウンドが高まり、中間スロットルが適用されてさらに瞬時にこなす。かなり攻めた回転域でもシフトダウンの操作に応えてくれる。

 走りを重視したドライブモードだけで、スポーツ/スポーツ・プラスのほか、さらにエンジンおよびDCTが最大レスポンスに設定されるスポーツ・レスポンスの3種が設定されているのもポルシェらしい。しかもこのエンジンとDCTの組み合わせが、微低速でも扱いやすいことは印象的だった。いかに緻密なトルク制御を実現しているかの表れといえそうだ。

「正確に動く」ドライビングマシンは、レスポンス重視のエンジンが支える

 ご存じのとおり911は、前身の356から一貫して水平対向エンジンをリアに搭載している。ポルシェの名を冠した最初期のプロトタイプはミッドシップだったのだが、2+2の居住空間を確保するため、ほどなくエンジンはリアアクスル以降に移された。
 原型ができあがった911は、シリーズ中で4WDが主流になり、2WDのRRが少なくなった現在でも、基本構成は変えていない。

 筆者はかつて1960年代から現在までの歴代911を同じ条件下で一堂に乗り比べるという貴重な機会に恵まれた。そのとき驚いたのが、「正確に動く」ということにかけて911は昔から変わっていないことだった。

 911はレスポンス最優先のエンジンに、RRレイアウトによる盤石のトラクションとフル制動時に最適となる前後のブレーキバランスを備え、フロア剛性の高い車体によりハンドリングを意のままとした。しかもタイプ930までは極めて軽いことも印象的だった。

 ちなみに930からは別格的なターボが911の頂点に据えられた。ターボの採用は、当時の技術ではレスポンスを損なわれたのは否めない。だがターボラグを払拭する諸技術の積極導入で時間の経過とともに改善されてきた。

「モアパワー」も一貫してポルシェが追求してきたテーマである。動力性能面で車格が同等の競合車に比べて、つねに上位の設定があるのは、ポルシェ・エンジンの伝統といえる。
 それはSUVのマカンでも顕著。同等クラスのSUVを凌駕する性能を目指し、マカンはデビュー時、VWグループ内で共有する2リッター直4ターボから、ポルシェが自社開発した400psの3.6リッターターボまで搭載。どのモデルも優れたパフォーマンスを実現して差別化を図った。

 一方で、ボクスターとケイマンの現行718型の発売時には、4気筒ターボエンジンのみとして業界を驚かせた。これは「ライトサイジング・ターボ」と呼び911がターボ化を進めたのと同じ理由で、年々厳しさを増す燃費規制に対応するためだった。

 ターボを追加することでパワーとトルクを確保しつつ、小排気量化で燃費を向上させることができる。さらに気筒数を減らすとよりコンパクトにできて、パッケージ面で有利になる。不等長排気レイアウトにより往年のスバル車のような独特のボクサーサウンドとなったことへの反発や、やはり6気筒を求める声は小さくなく、のちに特別な位置づけで6気筒版もラインアップされたが、4気筒ターボの採用は718型を特徴づける大きな要素である。

 ポルシェは偉大な存在である。スポーツカーのベンチマークとして、いままでにポルシェが何を達成し、これから何をやるのか。興味は尽きない。

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みんなのコメント

6件
  • これに乗ったら他にはもう乗れなくなる
  • 911のアイデンティティはフラットシックスエンジンとRRレイアウトでかつては空冷エンジンもそうでしたが、996以降は水冷エンジン。ただRRレイアウトはスポーツカーには不向きなレイアウトなのに特に操縦性の弱点を潰して半世紀以上存在し続けてアイコンにまでしているポルシェの凄さ熱意には脱帽する。正直ケイマンの方が性能アップも楽なはずなのに。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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