この記事をまとめると
■マツダでは「バーチャルからリアルへの道」と称したイベントを開催
モータースポーツに興味あるけど何からやっていいかわからない……そんな人はMSpRジムカーナ! ガチで手取り足取りで誰でもどんな車種でもウェルカムだった
■グランツーリスモで成績が優秀だった人たちを集め選考会を開催
■選ばれたドライバーはマツ耐に1年間参戦できる
バーチャルからリアルへ!
「モータースポーツをやってみたい!」。クルマ好きであれば誰しもが1度くらいは考えるのではないだろうか? しかし、世の中の”スポーツ”というカテゴリーのひとつとして、モータースポーツを考えるのであれば、その費用は想像のとおり桁違い。
たとえばマラソンを極めたいとなれば、トレーニング費用や遠征費やコーチング費用などが掛かるにしろ、1番最初に手を出すのはランニングシューズやウェア類くらい。せいぜい5万円もしないくらいで揃うだろう。あとは自力で走るだけだ。もうちょっとお金が掛かる自転車競技であっても、自転車本体の価格が多くを占めるので、車体さえ現実的な値段で選べばスタートは数十万~といったところ。野球やサッカーでも、最初はせいぜい10万円前後ではないだろうか。
しかし。クルマともなれば上記のようなスポーツと同じようにはいかない。それもそのはず。必要なのがまずクルマ。参戦カテゴリーにもよるが、それなりに走れるベース車が最低でも数十万(個人売買であればより抑えられるかもしれないが)。そこにタイヤやらブレーキパッドやら個人の装備やら……ナンバー付き車両であれば車検や保険も必要だし、ナンバーがない車両ならば積載車が必要だ。特殊な環境にいなければ都度レンタカーの積載車を借りることになる。
トップクラスのモータースポーツであるF1やスーパーGTなんてのは、年間数十億どころか数百億以上かかるともいわれているので、モータースポーツへの参加に足が向かないのも無理もない。
しかし、世の中お金といいながらも、そんなことばかりいっていたらいつか終焉を迎える。誰も挑戦しなくなれば、人材の発掘もできない。なら、業界でできることはなにか? 敷居を下げること。
マツダでは3年前から、ユニークな取り組みを行っている。そのひとつが今回紹介する、4月24日に筑波サーキットで行われた、MAZDA SPIRIT RACING チャレンジプログラム「バーチャルからリアルへの道」だ。
これは、お馴染みのグランツーリスモのオンラインイベントでまず予選を行い、好タイムを記録した人を参加者約9000人のなかから28人にまで選考。14人ずつにわけて実際にサーキットを使ったトレーニングなどを通じてさらに選考。最終的に6名ほどにまで選抜して、マツダが主催する耐久レース、マツ耐の全6戦に年間を通して参戦するというもの。
マツ耐にはワークスとも呼べる体制で挑むので、メーカーが選んだ猛者が鎬を削ることになる。筆者も2024年にマツ耐に参戦したが(ロードスターではなくRX-8)、さすがエリート集団だけあって、その走りはベテラン勢顔負け。将来有望な人たちで固められていた印象であった。
今回のプログラムの内容を説明すると、初日は筑波サーキット コース1000にて、1台のロードスターを2名でシェアして、インストラクター指導のもと、車両の扱い方などを主に学ぶ。その後はコースを連続で周回し、クルマの挙動に慣れ、2日目に筑波サーキットのコース2000にて、より実践的な走り込みを行う。最後に関係者との面接を行なって終了となる。
「バーチャルってことはゲームでしょ? じゃあ若者ばっかなんじゃないの?」と思うかもしれないが、この2日間に参加した14名のうち、最高齢はなんと47歳。次に38歳、36歳、29歳…‥と続き、20代前半の若者ばかりではないというのがわかる。たとえ中年となっても、レーサーを目指せるのだ。それも、その入口がレーシングカートなどではなく、ゲームなので、初期投資としては数万円からその入口を切り開くことができる。
話を聞くと、「僕はハンコン(ステアリング型のコントローラー)をもっていなくて、パッド(一般的なボタンで操作するコントローラー)でいつもやってます」なんて人もいたので、限りなくお金をかけずにチャンスをものにできるのだ。今回の参加者たちがそれを証明している。
プロの指導のもと走りを極める
4月24日の筑波サーキットは、生憎の雨。雨量も多めだ。
この日の参加者に話を聞くと、「クルマはもっていますが、モータースポーツ経験はほぼなし」、「MT車なんてほぼ乗ったことがない」、「18歳なので免許を取ったばかり」なんて人がほとんどであった。そんな人たちが、いきなり筑波サーキットを走っても大丈夫なのだろうか?
しかし心配無用。そこはマツダが全面バックアップをしているのでご安心を。
会場には、写真左から順に、本プログラムで講師を務めるチーフインストラクターの加藤彰彬さん(スーパー耐久を始めさまざまなレースに参戦)、三宅陽大さん(1期生で現在パーティーレース参戦中)、スーパー耐久において120号車を担当する加藤達彦さん(同プログラム1期生で24年度のパーティーレースチャンピオン)という、凄腕が集結。
筑波サーキットの走り方を印刷した資料をもとに基本的なラインを解説したり、車載映像やデータロガーを細かくチェックし、各ドライバーが安全に走れるよう指導をする。筑波サーキットのスタッフも、旗の種類や注意事項を細かく紹介していた。
参加者のほとんどが前述のようにバーチャル出身。スーパーGTの世界にもeスポーツ出身のレーサーが数名いるが、実車とゲームではなかなかリンクしないことが多いのは事実。トレーニングにはなるが、ゲーム内のことを全部実戦で活かせるかというと、必ずしもそうではない。しかもこの日は雨。さらに、別の走行会でオイルを吹いてしまった車両がいたようで、コンディションもよくない。
それでも、インストラクターたちの先導走行や指導などもあって、大きなクラッシュなどもなく、参加者全員がそれなりのペースでコースを周回。速い人では、雨の筑波を1分20秒ほどで走っていたほどだ。何度も筆者もここを走っているが、このタイムをモータースポーツを囓った程度の人が出したとなれば、かなりのものだとすぐに理解できる。選抜されただけあって、みんなレベルが高い。
開始前には映像を通じて、マツダ車のデザインを主導してきた前田育夫さんが、「皆さんはeスポーツにおいては匠とも呼べる人たちですが、バーチャルと実車ではいろいろ異なるのは事実です。ここまで来られたのには、きっと多くの人の協力もあったことでしょう。周囲への感謝を忘れずに、クルマと対話して、楽しんでください」と語っていたが、1コーナーから見ていて、「見事にクルマと対話しているなぁ」と側から見ても感じるほど、参加者全員が丁寧かつキレのいい走りをしていた。
午前午後で実車を使った走行を行い、参加者が講師陣からアドバイスを受けたところで、それが終了したらいよいよ最終選考の面接が、7人ずつに分けてられてスタート。ここで得た情報や人間性をもとに、今年のMSPRから出走する選手たちを、マツダ側が選ぶことになる。
しかし、ゲーム内でタイムアタックをし、コースでもタイムやデータを収集しているのに、なぜ面接をするのだろうか? 速いだけじゃなダメなのだろうか? その理由を関係者に聞いてみた。
「この活動は、ゲームからF1やスーパーGTに行こう!……ではなく、まずはクルマ好きの仲間を見つけてクルマを楽しもうぜ。というのが主軸なので、タイムはそれほど重視してないんです。それよりも、人間性が何よりも大切だと思ってます。これは参加者にも常にいっており、1泊2日の間でペアを組んでもらっていますが、参加者たちにどんな立ち回りをしているか、自己中心的になっていないか、広い目をもって周囲を常に気にかけられるかなどなどを見ています。人間性>実力というのを大切にしているんです」と語ってくれた。
また、より多くの人にクルマやモータースポーツの楽しさを知ってもらいたいという想いもあり、マツダはここ数年で、さまざまな形でモータースポーツの間口を広げる活動をしている。
比較的エントリーしやすいマツ耐や、初心者向けジムカーナイベント、「MAZDA SPIRIT RACING GYMKHANA EXPERIENCE」をフックに、その後はロードスターパーティーレースなどにステップアップし、そこからさらに上のカテゴリーである、スーパー耐久へ行くことも、マツダとしてチームを持っているので夢ではない……という体制を取っている。
さて、最後のイベントである面接会場は、足を踏み入れたら就職活動時並みに張り詰めた空気感となっていた。面接官からは、「あなたの強みは?」、「どんなレーサーになりたいですか?」、「今日走ってみて、バーチャルと現実の違いは何を感じましたか?」などなど、1人ひとりに質問をして、それに参加者は都度答える。
参加者の多くは、本気でモータースポーツに取り組みたいと思っている人ばかりなので、ゲームがきっかけで、マツダのサポートのもと、夢を追うチャンスが与えられるともなれば、こんな機会はそうそう巡ってこない。人生が大幅に変わる可能性さえあるだけに、その返答に気持ちがこもっている。みんな全力投球だ。
なお、参加者のほとんどは社会人なので、「レース前後に休みは取れますか?」、「シムを使ったトレーニングには来られますか?」といった質問もあった。今回の参加者は、北は北海道、南は大阪までに及んでいたが、会場までの交通費は自腹なんだそう(それは選手になったあとも変わらず)。なので、そういった面も前もって確認していた。もちろん、参加者全員「問題ないです」との回答。
面接を終えたあとは、チャレンジプログラムを修了したことを讃える盾が参加者全員に送られた。2025年のMSpRからマツ耐に参加する選手は誰になるのか、結果発表は5月7日(水)を予定している。
このチャレンジプログラムからマツ耐に参戦し、その後パーティーレースに自ら参加し、最終的にはスーパー耐久における最高峰クラス、ST-Xにまで上り詰めた人も実際にいるそう。
六畳一間からレーサーへの夢を叶えるマツダの活動に、今後も注目したい。
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