アリゾナの大地で速度記録に挑戦
初代スバル・レガシィの実車について、特に生い立ちなどの面については、前編の記事(下の「関連記事」参照)にてすでに述べた。ここでは作例の作者に、速度記録挑戦車両およびそのプラモデルでの再現について、詳しく説明していただくこととしよう。以下お読みいただくのは、作者・飯塚氏による文章である。
世界記録と国際記録をいくつも樹立!!ハセガワ製プラモ「レガシィRS」で10万kmトライアル車両を再現・前編【モデルカーズ】
【画像48枚】ディテールの自作でもっとクルマにしていく過程を見る!
「バブル景気の真っ只中、日本中が浮かれに浮かれていた1989年の正月。身も凍るようなアメリカ・アリゾナ州のテストセンター周回路には、新しい世界記録に挑戦するスバルのスタッフたちがいた。同年にデビューを控えた初代レガシイRSで挑むそのトライアルとは、走行距離10万kmへどれだけ速い速度で到達できるかを競うという、FIA公認の世界記録である。
10万kmと文字で書くのは簡単だが、これは地球2周半に匹敵する数字だ。その気の遠くなるような距離を、休まず一気に駆け抜けようというのである。1月2日にスタートした3台は、様々なトラブルに見舞われながらも周回を重ね、日本では成人式も終わった1月17日、白い2号車を先頭に3台揃って完走を果たし、平均速度223.345km/hという世界記録を樹立した。
今回プラモデルで再現したのはその2号車。ハセガワのレガシィRSがベースである。発売前でホモロゲも取れていない挑戦車両は、ともすれば大幅なモディファイも可能であったが、クルマの素の良さを試す意味もあったのだろう、変更点は最小限のものであった。しかし、これらの小さなモディファイド・ポイントがファンの心を強く擽ってくるのも確かだ。
フロントバンパー、グリルを初めサイドステップまで、オリジナルのラインはきっちり守ったまま、見た目にも空力的に非常に優れた面構成をしているのがわかる。キットのパーツをベースに、凹凸を均していく方向で実車の雰囲気を作っていった。
インテリアの再現にはラリー仕様のキットを利用
バンパー開口部のメッシュは、砂漠に舞うタンブルウィード(西部劇でよくクルクル転がっている、枯れ草の塊)からクルマを守るための物。この車を走らせたシチュエーションが感じられて面白い。特徴的なホイールカバーは、純正アルミに3本のビスで固定していると思われる、プレーンな造形だ。キットのホイールを元に1本ずつ手作りし、カバーが被っている雰囲気を出すため、タイヤより少し出っ張らせて固定した。
レーシングカーの様にストリップダウンされたインテリアは、同じハセガワのラリー仕様のインテリアタブが役に立ったが、ロールバーを初め各部ディテールは大きく異なるため、資料を参考に作り込んでいる。
ほとんどがロゴで占められるカラーリングは、レーザープリンターによる一発印刷。家庭用のレーザープリンターも最近は結構手頃な値段になっているので、白ベースのボディには、こんなデカール制作の方法もありかと。最後に、テールランプの色調にもこだわってみた。こういう部分に実車らしさを強く表現することで、派手な競技車両でも、そのベース車の雰囲気が強く感じられるようになると思う。
この記録車、現在も群馬のKITサービスで大切に保管されていて、イベント等で時折りその雄姿を見ることができるようだ」
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みんなのコメント
こういった記録もあって憧れの車でした。