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メジャーを目指して消えていった「大衆車」になれなかった車たち 6選

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メジャーを目指して消えていった「大衆車」になれなかった車たち 6選

 どのメーカーも、カローラやクラウン、かつてのマーク2のような、老若男女、多くの人に幅広く愛される「大衆車」を作りたいと夢見てきた。

 大衆車はそのメーカーの大黒柱であり、看板の役目も果たす。そのため、強者カローラのような王道セダンだけでなく、新たなマーケット開拓を目指し、様々なチェレンジも行われている。

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 結果、せっかく生まれたものの、瞬く間に消えてしまった迷車たちが存在する。そのなかには、初代は成功するも、2代目で大コケというパターンもあるから、このカテゴリーは実に奥深い。またバイリンガルだったり、黒船だったりとエピソードに事欠かないクルマも多いといえる。

 本企画ではそんな、数奇な運命を辿った大衆「迷」車から6台を選びスポットを当ててみた。
文:大音安弘

■三菱・カリスマ 1996~2001年

三菱 カリスマLS

 ランサーよりワンランク上のクルマとして、1996年に発売された小型セダンがカリスマだ。すっかり忘れている人も多いと思うが、オランダ・ネッドカーが製造を担当した輸入車である。

 ネッドカーとは、三菱自動車とボルボ、オランダ政府による合弁会社であり、このカリスマは欧州製の三菱車だった。この関係から、生産性なども考慮し、同工場で製造されるボルボの新型車「S40/V40」にもプラットフォームを提供することになった。ボルボにも採用されたことを考えると、素性はなかなか優秀だったことが伺える。欧州風味を備えた日本ジャストの5ナンバーサイズがウリで、メカニズムは、1.8Lの直列4気筒SOHCエンジンに4速ATの組み合わせ。

 駆動もFFのみと至ってシンプル。やや地味なクルマだったのだ。その後、GDI化され、パワーと燃費も向上されたが、これといって目立つことなく、わずか3年で日本での販売を終える。

「何が悪い」というわけではなかったが、「わざわざ海外製のセダンを買うほどの魅力」もなかったということか。残念ながら、名前のように自動車界の「カリスマ」とはいかなかった。

■ダイハツ・アプローズ 1989~2000年

ダイハツ アプローズθ 16Zi

 最後のダイハツオリジナルセダン、アプローズ。いやセダンという表現は適格ではない。なぜなら、アプローズはセダン風デザインの5ドアハッチバックなのだ。このため、大きな荷物も積み込めるのが自慢だった。

 派手さはないが、スタイルはモダンで、新開発の97psと120psを発揮する1.6L直列4気筒SOHCエンジンを搭載し、4WD車も用意。さらに一部グレードに乗り心地と操安性を向上させる周波数感応式ショックアブソーバーを採用するなどダイハツの意欲作であった。

 ところが、発売された1989年にリコール、火災事故と立て続けにトラブルが発生。それが大きく報道されたことで販売が大失速。特に火災の影響は大きく、「燃えるクルマ」というレッテルを張られることになる。その後は日陰人生。時には、アプローズθと名前を変え、フェイスリフトも実施したが、販売が回復することなく2000年に販売を終了。ここからダイハツセダンは、トヨタからのOEMとなってしまった。

 もしこのクルマが売れていれば、その後も個性的な純ダイハツ製セダンが何台か見られたかもしれないと思うと、口惜しい。

■日産・プレセア 1990~2000年

日産プレセア 2000ブラックスター

 トヨタのカリーナEDが確立した、「スタイリッシュな4ドアハードトップ(HT)市場」を狙い、日産が1990年に投入したのがプレセアだ。

 サニーをベースとしながらも、グリルレスの端正なマスク、4ドアクーペを彷彿させる流麗なスタリングは、ちょっと良いクルマ感を演出。

 インテリアでは、マリンブルーのメーターパネルを採用するなど洒落っ気もあり、初代は女性受けもよく販売面でまずまずの成績を収める。

 しかしながら、1995年に登場した2代目は、スタイルの犠牲となっていた後席の居住性を改善すべくボディを拡大。先代のイメージを取り入れたスタイルにまとめるも、落ち着きのある単なる4ドアハードトップになってしまった感が否めず。

 スタイリッシュな4ドアHTブームも去ってしまったことから、2世代で消滅。どうせなら最後まで独自スタイルのまま振り切った方がよかったのではないだろうか。

■ホンダ・ドマーニ 1992~2000年

ホンダ ドマーニ Si-G

 ホンダがシビックのコンポーネンツで開発した日本専売モデルの小型セダンが、1992年に登場したドマーニだ。基本を共有しながらも、バブル期開発もあって完全専用内外装を持つ。

 シビックよりも落ち着きあるフォーマルさを備えていた。

 実用性も高く、キャビンはシビック・フェリオよりも広い上、ラゲッジルームは418Lを確保していた。

 1997年に2代目に進化。シビックベースであることは変わらなかったが、不況の影響もあり、見た目は、前後マスク以外はほぼシビック・フェリオのまま。内装はシート地や装飾こそ上級感が演出されていたが、基本デザインはフェリオである。

 このため、初代の築いた独自性が完全に失われ、単なる年配向けの小型セダンに。そして、シビックのフルモデルチェンジのタイミングで消滅。わずか3年の短命と、なんとも不幸な運命をたどった1台である。

■マツダ・ランティス 1993~1997年

マツダ ランティス クーペ

 バブル期のマツダ挑戦的な姿勢を強く感じる1台がランティスだ。

 新たな4ドアハードトップ像を築くべく、4ドアハードトップスタイルの「セダン」と5ドアハッチバックの「クーペ」の2タイプを設定。それぞれに専用の欧州拠点が仕上げた個性的かつスタイリッシュなデザインが与えられていた。

 エンジンは1.8Lの直列4気筒DOHCに加え、2.0LのV6DOHCを設定するなど、マツダらしい走りのよさを意識したクルマ作りがされていた。2LでV6と、今ではなかなか考えづらいチャレンジングなエンジンだった。

 1996年の衝突安全基準適合第1号に輝いたことも話題となり、CMでも積極的にPRされた。

 このように独自の世界観と優れた基本性能を持ち合わせたクルマであったが、新車市場ではウケが悪く、わずか4年で販売を終えてしまった。しかしながら、全日本ツーリングカー選手権に参戦するなどクルマ好きには強く記憶に残る一台でもあった。

 スタイリッシュな4ドアが久しい日本車だけに、ぜひマツダに再挑戦して欲しい。

■トヨタ・キャバリエ 1996~2000年

トヨタ キャバリエ クーペ2.0S

「なぜ日本はアメ車を買わないんだ!」とお怒りのトランプ大統領に教えてあげたい。売ってみたけど失敗したんです。その証拠がある。それがトヨタ・キャバリエだ。

 日米自動車摩擦の緩和を狙い、トヨタとGMが協力。GMキャバリエをOEM供給することで、日本での新たなアメ車需要拡大を図った。

 トヨタとGMも単なるOEMでは売れまいと思ったか、エンジンはキャバリエ最上級の2.4L直列4気筒DOHCに専用チューニングを実施。さらに足回りも日本向けにリセッティング。

 その魅力を伝えるべく、CMキャラクターには、アメカジ大好きの所ジョージまで起用。ボディも4ドアセダンと2ドアクーペの2種類を用意した。これで準備は万全と思えたが、ふたを開ければ鳴かず飛ばず……。

 その尻拭いか、はたまた超絶ディスカウントがあったかは定かでないが、その後、覆面パトカーや沖縄のレンタカーに大量導入されていた。

 天下のトヨタがプロデュースしてもダメだったという現実。それならアメ車らしい世界観を守り、そこをリスペクトするファンにのみ買ってもらった方が、WIN-WINと思うのだが……。

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