AWDの雪上試乗会だと思っていたらリア駆動だった
ボルボ、雪上試乗会、新潟県の降雪地帯で実施。この3つのキーワードから真っ先に連想したのは、AWDのXC90、XC60あたりで雪道を走るのかな……ということだった。しかし、上越妙高駅の駅前に設けられた発着拠点に駐車しているボルボの試乗車は、リア駆動のEX30であった。
【画像】240、1800にPV444/544!リア駆動ボルボの名車たち 全202枚
結果的にEVならではの高度な制御でEX30でも問題なく雪道を走行できたが、銀世界を駆け抜けながら、いざというとき(制御が入らない場合)にアクセルコントロールでリアを流せるリア駆動は、やはり、ボルボの思想においては安全ということなのかな? などと考えていた。
それと同時に過去にボルボをドライブしたのはすべてドライ路面上で、しかも全車が前輪駆動であったことを思い出した。
特に印象に残っているのは青森県にある本州最北東端の尻屋崎から東京まで一気にドライブした初代S60のT-5だ。好天時に乗ったが、走行距離が長かったこともあり、その乗りやすさと高性能ぶりに感動したことをいまでも憶えている。
ボルボは、1986年に発表した3ドアハッチバックモデルの400シリーズで初めて前輪駆動方式を採用。1991年にデビューした850から大型のボルボも順次FF化していき、そのような流れの中でリア駆動モデルは存在しなくなった。
電気自動車で再びリア駆動方式を採用するようになったが、ボルボといえば前輪駆動か4輪駆動というイメージが日本においてはまだまだ強いと思う。
240、アマゾン、PV544、1800シリーズがメジャーな存在
他ブランドと同じように、1927年創業のボルボも長きにわたってリア駆動車ばかりを生産してきた。日本で有名なリア駆動ボルボといえば1974年から1993年まで親しまれた240シリーズだが、カーマニアが参加するイベントに行くと、もっと旧いモデルと遭遇することがある。
そのクラシック・ボルボとは、1956年にデビューした120(アマゾン)、1958年に導入されたPV544、1960年に登場した1800シリーズだ。PV544は、ボルボのエンジニアであるニルス・ボーリンが発明した3点式シートベルトが標準装備となっていた。
いつの時代にもボルボは先駆者であり続けてきたが、常に安全性を最優先しながらリア駆動車を進化させ、堅牢なボディを強みとして、ユーザーに胸がすく走りを提供していたのだ。
以前、クラシックカーラリーに参戦した際にPV544および1800Eと一緒に走行したことがあるが、その見た目からは想像できないようなスポーティな走りを披露。1974年式の我がアルファ・ロメオでさえ、頑張って走らないと追いつかないスピードであった。
以前ボルボは240や850(2台ともフライング・ブリックと呼ばれていた)でモータースポーツを戦い、スポーティなイメージを確立したが、その後、ブランドの立ち位置をプレミアム方向にシフト。スポーツ性を追求するユーザーが少なくなったが、EX30はキビキビ走れるので、風向きが変わるのかもしれない。
EVはリア駆動が理想だとボルボのエンジニアは考えている
ボルボの新車ラインナップに明るい方はご存じだと思うが、2022年1月に日本で発売されたC40リチャージ、同年7月に導入されたXC40リチャージが2023年3月に実施されたマイナーチェンジにて、シングルモーター仕様の駆動方式が前輪駆動からリア駆動へと変更された。
モデルライフの途中で前輪駆動車に4輪駆動仕様が追加設定されるケースはあるが、駆動方式がすっかり変更されたという話を筆者は聞いたことがない。エンジンを積んでいないEVだからこそ可能となった激変だったといえる。
さらに現在XC40リチャージはモデル名も一新してEX40(ツインモーター仕様もラインナップ)という車名になり、C40リチャージ、EX30と共にフルエレクトリックモデルとして親しまれている。
ボルボの故郷であるスウェーデンは冬の寒さが厳しく、全国土が雪に覆われる。そのため、創業時からの定番であるリア駆動から雪道での発進時にリアが滑らない前輪駆動や積雪路面で威力を発揮する4輪駆動へと時代の流れもあってシフトしていったのだと考えられる。しかしEVは、高度な制御によってスリッピーなシチュエーションでもコントロールしやすいようにアレンジできるので、再びリア駆動を採用するようになったのであろう。
ボルボのエンジニアは人間のセンシビリティに合っているリア駆動こそがEVのパッケージング的にも理想だと考えていると思うので、今後の展開が楽しみだ。
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みんなのコメント
後輪駆動が良いなんて技術不足の言い訳にしか思えない。