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F1 Topic:アルボン担当の新エンジニアは、かつてライコネンから“あのセリフ”を言われたベテラン

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F1 Topic:アルボン担当の新エンジニアは、かつてライコネンから“あのセリフ”を言われたベテラン

 レッドブルが、イギリスGPからレーススタッフに新しい人材を登用してきた。それはアレクサンダー・アルボンのレースエンジニアだ。

 まずレースエンジニアとは、どのような仕事を行うスタッフなのかを説明しよう。レースエンジニアは各ドライバーにひとりずつ存在する。つまり、ドライバーと同じ数しか存在しておらず、レース中に無線で交信できるのは、基本的にこのレースエンジニアだけで、ドライバーにとっては唯一無二の存在でもある。そのため、技術的な正確性と判断力はもちろんのこと、ドライバーのやる気をいかに引き出すかという人間力も重要とされる。

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 レースエンジニアでもうひとつ大切なことは、統率力だ。というのも、現在の複雑なF1を走らせるためには多くのエンジニアが必要だからだ。それぞれのマシンを走らせるエンジニアには、レースエンジニアのほか、マシンのセットアップを決めるパフォーマンスエンジニアや、制御系をコントロールするシステムエンジニア、さらに電気系エンジニアなどがいて、さらにパワーユニットを担当するエンジニアやタイヤを担当しているエンジニアもいる。その彼らをまとめるのがレースエンジニアのもうひとつの役割だ。

 これまでアルボンのレースエンジニアを務めてきたのは、マイク・ラッグだった。ラッグがレースエンジニアを務めたのはじつは2019年からで、ピエール・ガスリーとアルボンの2名しか経験していなかった。つまり、レースエンジニア歴は、20人のなかでも短かった。

 ハンガリーGPの予選Q2ではこんなことがあった。アルボンがタイムアタックをしようと出て行ったら、2度とも渋滞だったのである。予選13番手に終わったアルボンはQ2落ちした直後、「ゴメン……でも僕は言ったよね、渋滞の中に入れないでって!!」と珍しく怒っていたほどだった。

 それだけが理由ではないだろうが、チームはレースエンジニアを交代させる決定を下した。そして、新しくアルボンの担当を務めることになったのが、サイモン・レニーだった。

 レニーは、もともとロータスやその前身のルノーに在籍し、ルノー時代はフェルナンド・アロンソのレースエンジニアを務め、ロータス時代はキミ・ライコネンと共に仕事をした経験を持つ。2012年のアブダビGPで優勝したライコネンに、レース中、「タイヤを労れ」と無線で指示を出し、「放っておいてくれ、俺は自分がやらなければならないことはわかっている」と怒鳴り返された人物がレニーだった。

 それが理由だったのかはわからないが、レニーは2013年にレッドブルへ移籍。2014年から2018年までダニエル・リカルドのレースエンジニアを務め、7度の優勝を得たベテランエンジニアだ。

 しかし、2019年からはファクトリー勤務に就いていた。2018年にファクトリー勤務になるという情報を知った筆者は、レニーにその理由を尋ねたら、「家族が増えるから、家族との時間を増やしたい」と語っていた。

 レニーがいかにドライバーから信頼されていたかは、リカルドがレッドブルからルノーへ移籍した理由のひとつに、「サイモンが2019年からファクトリー勤務になる」ことを挙げていたほどだった。

 レースエンジニアは、レースのエンジニアを目指す者たちにとっては花形ともいえる職業だが、レニーにとっては今回の異動は、必ずしも両手を上げて喜べない辞令だった。なぜなら、新型コロナウイルス感染が収束しないなかで再開している現在のF1では、家族との接触も普段とは異なるからだ。それでも、レニーが家族との時間を犠牲にしても、サーキットの現場に復帰したのは、苦しむドライバーをなんとかしたいというレースエンジニアとして本能だったと思う。

 そのレニーと臨んだ初日フリー走行2回目でクラッシュしたアルボン。それでも、一日を終えたアルボンのコメントは暗くなかった。

「もう少し悪いと予想していたんだけど、チームとして僕らは間違いなく一歩前進できたと思う」

 ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターも、シーズン途中での交代によるホンダ側のコミュニケーションに関しても、まったく問題はないと語る。

「まったく問題ありません。レースを熟知している人なので、なんの違和感もなく、スタートを切っています」

 レニー加入でレッドブル・ホンダがどんな化学反応を起こすのか、楽しみにしたい。

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