スポーツの世界では、あまり期待されていなかった新人が思わぬ活躍をみせることがあるが、似たようなことはクルマの世界でも。発売前の評価はイマイチだったものの、思わぬ大ヒットとなったクルマ4台を振り返ってみよう。
文/井澤利昭、写真/スズキ、トヨタ、ホンダ、マツダ、CarWp.com
こりゃ想定外!!!! 期待値は低かったけれどフタを開けたら[一時代を築いちゃったクルマ]4選
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■業績が低迷していたホンダを救う大ヒットに!「初代 ホンダ オデッセイ」
“クリエイティブ・ムーバー(生活創造車)”というコンセプトのもと1994年に登場した初代オデッセイ。ミニバンといえばスライドドアのキャブオーバー型ワンボックスが当たり前だった当時の常識を覆し、後のミニバンブームの先駆けとなった
屋外でのレジャーに適したミニバンやステーションワゴンなどの人気の高まりを受け、1980年代後半頃から盛り上がりを見せ始めたいわゆる「RVブーム」。
当時、セダンやクーペ以外の車種展開がほぼなく、このブームに乗り遅れたこともあって業績が低迷していたホンダが社運を賭け、満を持して1994年にリリースしたのが初代オデッセイだ。
とはいえ、新たなRVを開発するために多くのコストや時間をかけることはできず、アコードのプラットフォームを用いることでその問題を解決し、なんとか発売にまでこぎつけたというのが実情。
ミニバンといえば背が高く、スライドドアを採用したキャブオーバースタイルのワンボックスが当たり前という時代。
その常識から大きく外れた低ルーフミニバンという異色ともいえるスタイルは、多くの人から「こんな中途半端なクルマが売れるのか?」と疑問の声があがった。
ところが蓋を開けてみれば、ボンネット内にエンジンを収めたFFだからこそ実現した低床化ゆえの、見た目以上に広々とした室内空間や、2列目キャプテンシートを備えた6人乗りも設定されるといった使い勝手の良さが受け、ファミリー層を中心に予想を上回るヒットを記録。
さらにセダンベースの4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションによる走りの良さもスポーティな印象を与え、それまでホンダのスポーツモデルを愛用していたファンからの乗り換え需要にも応える結果に。
発売当初の月販売目標台数は4000台と控えめであったが、1994年には日本カー・オブ・ザ・イヤーの特別賞、1995年にはRJCカー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれ、その後に巻き起こる「ミニバンブーム」の火付け役ともなった。
結果的には1999年まで続くロングセラーとなり、その後2代目へとバトンタッチ。最終的な新車登録台数の累計も43万台以上を記録し、その前評判とは裏腹に、低迷していたホンダの経営を立て直すほどの救世主となった。
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■当時の若者のステータスであった元祖ハイソカー「初代 トヨタ ソアラ 」
日本車がすでに海外市場でも高い評価を受けていた1970年代。
とはいえ、それは小型の大衆車に限った話で、日本では高級車とされたクラウンやセドリックですら、海外では非力でコンパクトな大衆車として扱われていた。
そんな評価を覆す世界で通用する高級車を目標として開発が進められ、1981年に登場したのが“スーパーグランツーリスモ”初代ソアラだ。
美しいロングノーズ&ショートデッキの2ドアノッチバッククーペのボディには、従来のモデルと比較して大きく明度を高めた「スーパーホワイト」のカラーも用意され、2.8LのGTエクストラを筆頭にすべてのグレードで直列6気筒エンジンを搭載。
デジタル表示のスピードメーターにLEDのタコメーターを組み合せた国産車初のエレクトロニックディスプレイメーター、デジタル式任意速度警報装置、タッチパネルで操作できるマイコン制御のオートエアコンなど、当時の最先端の装備が惜しみなく投入され、まさにそのキャッチコピーである「未体験ゾーンへ。」を体現するものであった。
その美しいスタイルと未来を感じさせるさまざまな装備は、当時の若者たちの憧れの存在となり、その後訪れるバブル景気の兆しとも相まって、ソアラに乗ることが一種のステータスとなるまでに。
いっぽうで、そのターゲットとして当初想定された経済的に余裕のあるシルバー世代からは、大柄なボディや2ドアクーペならではの不便さが敬遠され、当初考えられていた海外展開も、兄弟車であるセリカXX(スープラ)との差別化が図れないなどの理由で実現することはなかった。
メーカーが考えた目論見からは外れたものの、後に言われる「ハイソカー」ブームをけん引した一台として、初代ソアラは、今なお多くの“当時の若者”の記憶に鮮明に残っている。
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■細部へのこだわりと道具としての実用性で大ヒット「初代 マツダ デミオ」
ルーフの高さを初機械式の駐車場にもギリギリ入ることができるところまで上げたことで、小さなボディにもかかわらず広い車内空間を実現しライバル車と比較して使い勝手を大きく向上させた。飾り気のないスタイルも時代にマッチした要因といえる
ユーノス・ロードスターやアンフィニ・RX-7といった名車を輩出したいっぽう、バブル崩壊後の1990年代中盤には多チャンネル化などの影響による販売不振に陥り、その経営をフォードに握られるという厳しい状況に陥っていたマツダ。
新車開発にも潤沢なコストや時間をかけることのできず、クルマ好きからの期待値も低下していた。
そんな状況のなか、既存車種のプラットフォームをうまく利用することで、低コスト・短期間での市場投入を実現し、起死回生の大ヒットとなったのが1996年に登場した初代マツダ デミオだ。
急造ではあったものの、その造りにはマツダならではのこだわりが随所に盛り込まれ、全長わずか3.8mというコンパクトサイズながら、高めの車高と合理的なパッケージングで、大人4人がしっかりと乗れる広さを確保。
“小さく見えて、大きく使える”画期的なクルマへと仕上げられた。
さらに、後部座席はシートスライドやリクライニングすることで多彩なアレンジが可能なうえ、折りたためば自転車など大きな荷物まで積むことができる積載性の高さや、当時流行していた背の高いミニバンでは利用することができなかった、機械式駐車場にギリギリ入る全高といった、使い勝手の良さもユーザーの心を掴んだ。
また、一部口の悪い人からはチープと言われたシンプルなワゴンスタイルも、バブル時代のクルマとは打って変わった機能的なイメージを醸し出し、好評を得ることに。
1998年3月には月間販売台数が1万4千台を超えるなど、その後も好調な売り上げをみせ、当時のマツダを経営危機から救ったまさに“救世主”となった。
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■軽トールワゴンというカテゴリーを生み出した革命児「初代ワゴンR」
今でこそ、街中を走る姿を頻繁に見ることができ、数あるクルマのカテゴリーのなかでも当たり前の存在となっている軽トールワゴン。その元祖ともいえるのが初代ワゴンRだ。
その登場は1993年。当時、軽自動車といえば背が低い乗用車タイプか商用車を中心としたワンボックタイプが主流で、軽自動車=狭くて窮屈というイメージが当たり前の時代であった。
そんな状況のなか、初代ワゴンRは室内の狭さを改善するための手段として、すでに規格の制限いっぱいであった横方向ではなく縦方向へとボディを延ばすことで余裕のある広々とした空間を実現。
この発想が爆発的なヒットへとつながった。
1987年にはそのプロトタイプも完成していたという初代ワゴンRだが、さまざまな社内事情と「前例のない軽トールワゴンが果たして売れるのか?」という疑念もあり、その登場は当初の予定からは大きく遅れることに。
また、バブル崩壊のあおりを受け、スズキをはじめとする自動車メーカー各社の経営も厳しい状況のなか、初代ワゴンRの開発コストも当然のごとく抑えられ、フロアパネルやサスペンションなどは4代目セルボ(セルボモード)からの流用であった。
いっぽうで、フロアを二重構造とするというアイデアでフラットな床面を実現。加えてこれは、圧迫感ない足元空間の広さや、視点が高くなることによる視認性の向上にも貢献することに。
また、奇抜とも思えるスクエアなボディスタイルもオシャレだという評価へとつながり、右リアのドアを廃した1+2ドア、後部シートにはヘッドレストなしという仕様も、ある意味、割り切った潔い道具としてメインターゲットとされた若い男性のみならず幅広い層から支持されることとなった。
その後登場したダイハツ・ムーブや2代目ホンダ・ライフといった類似車種も含め、軽トールワゴンはちょっとブームにとなり、今や軽自動車のなかでは主役ともいえる存在に。
前例なき新たな道を切り開いた初代ワゴンRは、まさに軽自動車史に残る名車と言っても過言ではないだろう。
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みんなのコメント
徳大寺さんが奥様乗ってたようで
褒めてましたね
大学生でしたがあの道具感 欲しかったですね
デミオもフェスティバとかのコンポーネントから作ったクルマでしたが やはり道具感のあるパッケージングがちょうど時代にマッチしたのか
かっこよかったですね