バッド・バニーからハリー・スタイルズまで、メンズセレブたちの間でバレエシューズが新たに支持を集めている。
私は昔からゴツめのスニーカー派だった。がっしりとしたソールで、いくつかの惨事にも耐えられそうなデザイン。存在感があって、履いている自分より足もとに目がいくほどのインパクトがある靴。ずっとそれが私の定番だった。ところが突然、お洒落なメンズたちは重厚感のあるスニーカーを履き捨て、代わりに軽やかなバレエシューズを選び始めた。
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バレエシューズは、自分のスタイルに意識的な若者たちが選ぶ靴として静かに定着しつつある。ファッションを追う人であれば、これが真新しいトレンドではないと知っているだろう。このアイテムがメンズファッションにも登場するようになったのは2020年頃。バレエシューズといえば40年代からウィメンズの定番だったが、2020年春夏のメンズショーでボーディ、ドリス ヴァン ノッテン、ジル サンダーといったブランドが洗練されたバレエシューズをメンズ向けに発表したことで、私たちメンズにもその扉が開かれた。コスプレでもなければ、「あえて」という含みを伴ったものでもない。クリーンかつスリムで、柔らかなラインを描く靴。当時は万人受けするとは思えず、業界人にしか通じないと感じていたが、今となっては至るところで見かけるまでになっている。
バレエシューズを履くメンズセレブたち
セリーヌはメンズ向けのバレエシューズを展開しており、オフィシン ジェネラルもワイドパンツと合わせるために作られたようなゴートスエードのバージョンを提案している。メゾン マルジェラに至っては、もう何年もバレエシューズ風の「タビ」をプッシュしている。また、バレエスニーカーというものも存在する。「スニーカリーナ」とも呼ばれるこのシルエットは、フラットシューズの柔らかさとスニーカーらしいスポーティな雰囲気を兼ね備えているのが特徴だ。アディダス、プーマ、ルイ・ヴィトン、シモーネ・ロシャらもこの波に乗っている。リボンに薄底のソール、柔らかなアッパー──2010年代後半を席巻した「アグリースニーカー」とは正反対の見た目だ。
ではなぜ、ここまでの広がりを見せているのか? その一因は、これまでのスタイルに対する飽きだ。マキシマリズムが10年も君臨すれば、もう少し軽やかなものが欲しくなるのも無理はない。シルエットにも抜け感を求めたくなる頃だ。バレエシューズには、全体のプロポーションを完全に変えてしまうほどの力がある。セレブの間でも愛用者が続出しており、エイサップ・ロッキーはバレエシューズを世界で最もカジュアルな靴のように履きこなしている。ハリー・スタイルズは「Aperture」のミュージックビデオでプラダのそれをスタイリングしていたが、2026年のグラミー賞(このときはジョナサン・アンダーソン率いるディオールによるものだった)でも、ブリット・アワードでも履いていた。
ジェイコブ・エロルディがトーク番組『ジミー・キンメル・ライブ!』に出演した際に選んだのはセリーヌによる一足。コールマン・ドミンゴはヴァレンティノをリピートしているようだ。バッド・バニーは『俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル2』のプレミアにバレエシューズで登場し、レッドカーペットにふさわしい雰囲気を演出した。彼はこのほかにも、文字通り「バレリーナ」と呼ばれるアディダスのモデルを所有している。どれも一度きりの話題づくりではなく、ひとつの流れを作るきっかけとなった。
メンズウェア全体の潮流に変化
バレエシューズには、ある種の自信が漂う。というのも、この靴には分厚いソールのような「鎧」はない。機能性でごまかすこともできない。シルエットはスリムで、むしろ無防備ですらある。半端な気持ちでは履きこなせないからこそ、その自信が生まれるのだろう。
これはまた、テーラードスタイルはよりルースに、生地はより柔らかにといった、昨今のメンズウェアを席巻しているソフトなスタイルともマッチする。「マスキュリン」なフットウェアの概念も、5年前よりも柔軟になってきた。バレエシューズをワイドパンツとハリのあるTシャツに合わせれば、どっしりとした「ダッドシューズ」では作ることのできない、モダンなルックが一気に完成する。
そして意外にも、バレエシューズは実用的だ。とにかく軽くて、履きやすい。足にレンガを縛り付けているような重さを感じることなく、楽に歩き回ることができるのだ。特にスニーカリーナは従来のスニーカーからの乗り換えもしやすい上、控えめながらもより力強いオーラを放つ。
バレエシューズがチャンキースニーカーに完全に取って代わるかといえば、それはおそらくないだろう。私は今でも、ちょっとした災難をものともしないタフな靴が大好きだ。しかしこのところ、イケてるメンズは新しいスタイルへと前進している。足首を見せたり、スリムな靴を履いている。その足取りは軽やかで、ドシドシと踏みつけるようなものではない。私は自分のなかで何かが崩れ始めようとしているのを感じている。
先日、ネットでロエベのバレエスニーカーをチェックする自分がいた。ブラックでミニマル、それに少しスポーティ。ゆったりとしたワイドパンツと合わせてもちゃんとハマりそうな一足だ。2026年こそは、チャンキースニーカーを(ほんの少しの間)脇に追いやって、もう少し奇抜でないものに挑戦する年なのかもしれない。イケてるメンズが取り入れているのなら、少なくとも検討する価値はありそうだ。
From British GQ
By Adam Cheung
Translated and Adapted by Motoko Fujita
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