ヨーロッパ3連戦の締めくくりとしてバルセロナ・カタルニア・サーキットで開催されるF1第9戦スペインGPから、F1マシンのフロントウイングに適用される空力弾性の検査基準が変更され、荷重がかかった際のたわみ許容量が少なくなる。なぜ今になって検査が強化されるのだろうか?
F1テクニカルレギュレーションの第3条15項4には、フロントウイングのフラップ部分に荷重がかかった際にたわむ量は15mm以内とされてきた。スペインGP以降は、これが10mm以内となる。
■マクラーレン、”フレキシブルウイング”神話に溺れるライバル達は都合良し「速い理由じゃないところに注目してくれる」
空力弾性は、1990年代から時折関心を集めてきた領域で、ウイングやそれに類するボディワークに荷重がかかった中で完璧に剛性を保つことは不可能であり、ある程度のたわみは避けられない。
多くのF1チームがこの特性を活用し、今もあの手この手で他を出し抜こうとしている。空力的な負荷がかかった際に、ボディワークのある領域を上手くたわませることで、空気抵抗を削減し、より高い直線性能を引き出すことができる可能性があるのだ。
材料科学は、有限要素解析を使用し、最適な強度や重量、そして予想可能なたわみ量を達成できるように複合コンポーネントのカーボンファイバーシートを積層することが比較的容易な段階にまで達している。
2022年から導入された現行“グラウンドエフェクト”レギュレーションが成熟し、各チームがブレイクスルーを発見するのが難しくなるにつれて、空力弾性に関する絶妙なトリックが再び議題となり、FIAによる頻繁な取り締まり対象となっているのだ。
2024年シーズンには、マクラーレンのリヤウイングの上部フラップをめぐる騒動があった。ライバルチームたちは、車速が上がった際にウイングの隙間がわずかに広がるようにたわみ、空気抵抗を削減しているのではないかと主張した。
FIAはこの“ミニDRS”と呼ばれた手法を封じるため、フリー走行でリヤウイングをモニターする高解像度のオンボードカメラを含む、新たな指標とテスト手順を導入した。
今年の開幕戦オーストラリアGPでは再びマクラーレンのリヤウイングがたわんでいるようにも見える映像が注目を集めたが、FIAでシングルシーターディレクターを務めるニコラス・トンバジスは、バーレーンでのプレシーズンテストの時点で既に厳しい検査基準を施行していた。
フロントウイングに関する検査変更は1月に決定されたが、導入はスペインGPまで先延ばしとなった。
これは各チームがレギュレーションに沿ったフロントウイングを用意するのに十分なリードタイムを確保するため。フロントウイングは非常に複雑かつマシン後方にも影響を与える領域であり、コンセプトからシミュレーション、そして製造、輸送までは時間を要するのだ。
とはいえ、レッドブルを筆頭に、ヨーロッパ3連戦の初戦となったエミリア・ロマーニャGPで新たな検査基準を導入するべきだと主張するチームもあったようだ。
「この段階的なアプローチにより、チームは既存コンポーネントを不必要に廃棄することなく適応することができる」とFIAは説明した。
「これらの調整は、ボディワークの弾性に関するレギュレーションを監視し、履行する能力をさらに向上させることを目的としており、公平かつエキサイティングなレースを促進するために、全ての競技者に公平な競争条件を保証するモノだ」
空力弾性の検査における課題のひとつは、マシンが実際に走行している際にウイングのたわみを測定することが不可能だということだ。その代わりに、静的荷重(今回は1000N)をフロントウイングのフラップ両側に同時にかける。1Nは1kgの質量を1m/s2の加速度を生じさせるのに必要な力であり、スペインGP以降は荷重がかかっている部分が10mm以上たわんではならない。
小さな最上段フラップには60Nの荷重がかかり、翼端部分で3mm以下のたわみ量となる。これはメインプレーンとフラップを繋ぐ“フィッシュプレート”に過度のたわみが加わらないようにするためだ。
当然ながら、どのチームがフロントウイングの空力弾性を活用し、どれほどの恩恵を受けているのか、そして検査基準の変更によってどのような影響を受けるのか、多くの憶測が飛び交っている。
マクラーレンの2025年マシンMCL39は現在最強マシンのひとつと目されているが、多くのチームがフレキシブルウイングの活用で疑惑の目を向けている。ただ既存の検査は全て通過しており、レッドブルはソーシャルメディアで映像をシェアすることで”問題提起”を行なうことくらいしかできなかった。
MCL39の真髄はフロントウイングにはないとするマクラーレンに対して、レッドブルやメルセデス、フェラーリは検査基準が変更されるスペインGPが転機になるという見方……少なくとも、状況が好転してくれたらという期待を向けている。さて、勢力図にどのような変化が訪れるだろうか?
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