佐々木歩夢(リキモリ・ハスクバーナ・インタクトGP)がMotoGP第9戦イギリスGP Moto3クラス決勝レースで2位表彰台を飾った。5戦連続の表彰台獲得で、チャンピオンシップでのランキングでも2番手に浮上している。トリッキーな天候のレースウイークのなかであっても、佐々木の強さが変わらないことを証明した形となった。
イギリスGPは、不安定な天候がライダーを悩ませたレースウイークだった。金曜日はドライコンディションだったが、土曜日は雨によってウエットでのプラクティス、予選となる。日曜日の決勝レースはドライコンディション。ドライコンディションでの走行時間が多くはなかったことに加えて2023年シーズンからMoto3クラスは決勝日朝のウオームアップがなくなったこともあり、セッティングを詰めきることが難しい状況だった。そのうえ佐々木はプラクティス2で転倒しており、ドライコンディションでの走行時間はさらに少なかった。
予選では他ライダーの転倒によるイエローフラッグで最後のアタックのラップタイムがキャンセルとなり、7番手。佐々木は決勝レースを3列目から迎えた。
佐々木は決勝レースが「集団のレースになる」と考えていた。そして実際、その通りの展開となった。最近のMoto3レースは、まず5、6人のライダーが先行し、後方とギャップを築いたところで、その集団のなかで優勝、表彰台を争う展開が多かった。つまり、集団が小さかったのだ。もちろん佐々木はそのなかでバトルを繰り広げる常連だった。
だが、イギリスGPのレースは違った。佐々木の予想通り、誰も先行せずに集団は20番手ほどまで連なったままだった。大きな集団の接戦となったため、トップを走ったライダーが次の周には5番手以下にまで後退する、そんな落ち着かない展開だった。
佐々木は集団のなかで、落ち着いて転倒だけはしないよう注意を払って周回を重ねていた。「80パーセントくらいでレースをしていました。前に出て頑張っても、引き離せないことはわかっていましたから」と言う。
最終ラップを迎えたとき、佐々木は5番手。それは想定外だったようで「『やばい』ってちょっと焦りました」と苦笑いする。けれど「必ず抜けるとはわかっていましたから。4番手のライダーを抜くまでは焦ったけど、そこからは思い通りのレースができたかなと思います」と語るあたり、頼もしさが漂う。
そして佐々木は、ダビド・アロンソ(ガヴィオタ・ガスガス・アスパーM3)に次ぐ2位でゴールしたのだった。フランスGPから5戦連続の表彰台獲得だ。チャンピオンシップでも、トップから22ポイント差のランキング2番手に浮上した。
「今日はいい2位でしたね」と、レースを振り返る佐々木の表情は明るい。
「ドイツやアッセンは勝ちたかった! というレースでしたけど、今日はコンディションが悪かったので、優勝できたかもしれないけど、5位で終わっていたかもしれない、そんなレースでした。そんななかでしっかり表彰台に乗れたのは、よかったと思います」
そう語りながら、佐々木は「2位を獲得して、もうちょっと喜ばないといけないのかな、とも思いましたけど……」ともこぼした。5戦連続の表彰台ということもあるのだろうが、その言葉から、佐々木が今、いかに揺るぎない自信を持っているのかがうかがえた。表彰台を獲得する可能性に、疑いの余地がないのだろう。2位という結果は喜びであるとともに、今の佐々木にとって当然獲得するべき結果なのかもしれない。
今回のように、例え決勝レースに近いコンディションでの走行時間が少なくとも、大集団での混戦になろうとも、それは今の佐々木にとって壁にはならないのだ。端的に言えば、今の佐々木には抜群の安定感がある。そしてそれは、シーズンを通したチャンピオンシップを考えたときに、最も重要なものだ。
「それだけ今、自信を持っていて、チームもみんな、僕が優勝できると思って取り組んでくれているんです。チームもすごく落ち着いているし、うまく取り組めていると思います」
佐々木は「このまま最終戦まで表彰台獲得を続けたい」とも意気込む。いい形でシーズン後半戦をスタートさせたことは間違いない。
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