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衝撃の大型3輪ヤマハNIKEN。操作性はスポーツバイクそのもの/市販車試乗レポート

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衝撃の大型3輪ヤマハNIKEN。操作性はスポーツバイクそのもの/市販車試乗レポート

 このところ目にする機会が増えてきた斬新な乗り物をご存知だろうか。バイクの様に傾いて旋回する多輪ビークルの事。それを販売するヤマハではリーニング・マルチ・ホイール(LMW)と呼び、4輪への発展性も含めて注目度は徐々に高まりつつある。

 そんななか、去る9月13日から予約受け付け販売が開始されて国内で好調な滑り出しが話題に登っている3輪オートバイがヤマハのNIKEN(ナイケン)だ。

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 その開発コンセプトで注目すべきは、あくまでバイクと同じスポーツライクな走りが楽しめることを狙った点にある。公開されているカタログの筆頭には『革新、スポーツツーリング』と明記されていた。

 LMWの特徴である前2輪というレイアウトが前1輪と違う点は、路面との圧倒的な接地感と安定性にある。例えば、滑りやすい路面やでこぼこした路面などで前1輪がスリップした場合でも片側のタイヤがグリップし、転倒のリスクを軽減してくれるのだ。そのためライダーはあらゆる走行シーンでもリラックスして、快適に走ることができるという。

 早速ナイケンに試乗してみるとシート高は820mmと高く、170cmの筆者では両足で支えると地面からは両踵が浮く。車体は大きく重量感たっぷり。ハンドルより前方のカウルはワイドで見た目のボリューム感もたっぷりだ。
 ナイケンは3輪車だが自立はしない。非力な筆者にとって、重量級バイクの扱いは慎重になる。特に車体を傾け過ぎないように気をつけて扱う必要があった。

 しかし重量級バイクを扱う手強さを感じたのはそこまでだ。走り始めるとむしろ重量感に裏打ちされたなんとも頼り甲斐のある安定した乗り味が心地よい。極低速でもふらつくことはなく、タイトターンもスムーズで操縦性は素直。失敗し(コケ)たら支えきれないぞという心配は一気に消し飛んでしまった。

 搭載エンジンはヤマハMT-09の845cc3気筒がベースだが、クランクウェブは専用設計され慣性マスは18%も向上。ギヤ比の変更も相まって車重とのバランスが絶妙の仕上がり。スロットル操作に対する加減速の挙動がとてもスムーズでかつ思い通りにコントロールできる穏やかさが加味されていた。

 3気筒ならではの豪快で太いトルク感と柔軟な出力特性はそのままに、優しさを備えたエンジンフィールはとても快適。ふたり乗りツアラーとしても素性の良い基本性能を備えていると思えた。

■LMWがもたらす圧倒的な安定感と安心感
 そして何よりも驚かされるのは、前輪のグリップに対する信頼度の高さにある。試乗当日は雨混じりで路面もウェット部分が残る状況。にも関わらず、滑る事と、そこから転倒に至るリスクに対する懸念が少ない。バイクなら、そうとう慎重になるシーンでも、ビビることなく楽に快走できてしまう事実には改めて驚かされた。安心できる背景には、強力なブレーキ性能もあり、コーナリング中でも活用できる頼り甲斐のある制動性能の高さとリクス回避能力が抜群なのである。

 そして左右それぞれのタンデムフロントフォークが協調しあうサスペンション性能も素晴らしい。ギャップでの衝撃吸収性が良く、車重も利いて落ち着きはらった安定感のある乗り味を披露。明らかに疲労度の少ない快適な乗り心地に貢献している。

 ヤマハが言う通り、3輪になっても操縦性はまさにバイクそのもの。なにも違和感は感じられない。後輪がスリップアウトしそうなシーンでも、対処方法は同じで車体挙動もバイクのそれとまったく変わりない。ただ、ナイケンの挙動は終始緩慢な傾向で全体にわたり穏やかだ。リラックスして走ることができるというヤマハのコメントに納得である。

 スポーツライクな走りを安心して、思い切り気持ち良く堪能させてくれるという意味では、とても良くできた乗り物だ。圧倒的な制動能力の高さは4輪のそれに匹敵する。減速能力に対してとても大きなユトリを持て、格段の安全性向上も期待できる。

 ヤマハのLMWの潮流は重量級グランドツアラーや、軽量級パーソナルコミューター等、それぞれの分野での発展性は大きい。その技術力の証として登場したナイケンの役割とインパクトは非常に重要なものとなるだろう。今後の発展が楽しみである。

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