フルモデルチェンジしたKTMのRCシリーズに、ジャーナリストの河西啓介が乗った!
Moto GPマシンのイメージを採り入れる
2桁ナンバー物語 特別編 横浜33の日産シーマと俳優・伊藤かずえさん第2弾(前編)
オーストリアの二輪メーカー、KTM。長年、モトクロス世界選手権やパリ・ダカール・ラリーなどオフロードレースを主戦場としてきたが、2000年代になってからはその場をオンロードレースにも広げ、近年では世界最高峰のロードレースMoto GPにも参戦している。
そのKTMのオンロードスポーツモデル、RCシリーズが新型へと初のフルモデルチェンジを受けた。RCシリーズには現在2モデル、日本の普通(中型)二輪免許で乗れるRC 390と小型二輪免許で乗れるRC 125がある。今回は富士スピードウェイをベースに行われたRC 390の試乗会に参加した。
RC 390は2輪の世界では「スーパースポーツ」とカテゴライズされるモデルだ(かつて1980~1990年代は“レーサーレプリカ”と呼ばれていた)。
レーシングマシンを思わせるフルフェアリングをまとい、セパレートハンドルとバックステップによる前傾したライディングポジションが特徴である。新型RC 390もKTMが世界グランプリで走らせるMoto GPマシン、「GP16」のイメージをかなり色濃く採り入れている。オレンジを貴重にしたカラーリング、カウルに大きくデザインされたKTMのロゴ、前モデルに比べてもかなりレーシーかつアグレッシブなデザインになった。
サーキット走行を意識したディテール
各部の変更点を確認すると、Moto GPマシン由来は見た目だけでなく、中身も相当に進化していることがわかる。
車体の骨格となるシャシーは一新され、トラス状に組まれたメインフレームにサブフレームをボルトオン留めする2ピース構造に。剛性を向上させつつ1.5kgの軽量化が図られた。新設計のホイールは前モデルより、3.4kg軽量化されている。もとより質量の小さな2輪車において、足元(いわゆるバネ下)が3kg以上軽くなったことが運動性能に与える効果は間違いなく大きい。
前後のサスペンションも刷新された。フロントにWP製倒立フォーク、リアにもWP製モノショックを採用し、フロントはプリロード/リバウンドとも30段階に調整可能、リアも調整式で細かなセッティングを施すことができる。ブレーキはBYBRE製の新システムだ。960kgの軽量化にくわえ車体の傾きをセンシングし、作動するコーナリングABSなどを備えた。
こうした各部のブラッシュアップからは、このRC 390がストリートだけでなくサーキット走行やレースでの使用を強く意識していることがわかる。
先代RCはネイキッドスポーツの「デューク」に、フェアリングを装着した派生シリーズという印象があった。だが新型はデュークとはまったく別モノの本格スーパースポーツになったと言える。
ライトウェイトスポーツに求められる要素を備えた
じっさい車体に触れて感じたのは車体の軽さだ。
まずは跨がらずサイドスタンドをはらい、数m押し歩いたのだが、思わず「軽い!」と声を上げたほどだ。跨ってみると、目の前には大型化されたフェアリングがあり、それに囲まれてフルカラー液晶表示となったデジタルメーターが備わる。クリップオンハンドルは比較的高い位置にセットされており、ライディングポジションは思いのほかフレンドリーだ(ちなみにハンドルの高さは10mm調整可能)。
先代との大きな違いを感じるのは、太股の間で存在感を示す大型の燃料タンク。なんと先代の9.5リッターから13.7リッターまで拡大されている。当然、航続距離は大きく伸びているはずで、ツーリングユースでの使い勝手は大きく高まっている。
試乗は主に富士スピードウェイ周辺の一般道およびワインディングロードで行った。タイトなカーブを左、右と走らせていると、排気量は373ccだがまるで250ccクラスのバイクを走らせているように感じる。それは車体のコンパクトさ軽量さにプラスして、軽くスムーズにまわるシングルエンジンのキャラクターに依るところも大きい。
最高出力44ps、最大トルク37Nmというスペックは決してパワフルとは言えないが、ライドバイワイヤーを介したアクセルレスポンスのよさ、まわしたぶんだけパワーとトルクを積み上げていく扱いやすさを活かし、ライダーの意のままに走ることができる。そこには世界グランプリの中で最もライトなカテゴリー「Moto 3」で戦い培ったノウハウが存分に注がれているだろう、と想像する。
軽く堅牢な車体、乗り手の意思を即座に反映するハンドリング、扱いきれるパワーと柔軟なエンジン特性。2輪、4輪の別を問わず、“ライトウェイトスポーツ”と呼ばれるマシンに求められる要素をRC 390は高次元で兼ね備えている。短時間の試乗だったが、若いライダーを楽しませ、ベテランライダーを満足させるだろうという懐の深さはすぐに理解できた。
価格は税込み83万円。モーターサイクルというカテゴリーに限らず、この金額で買える工業製品の中で「よいモノ」のひとつではないか、そう思わせられるほどの魅力があると感じた。
文・河西啓介 写真・安井宏充(Weekend.)
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