4月6~7日にドイツのニュルブルクリンクで開催されるNLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)の開幕戦となる第1戦『第64回ADAC ACAS Cup』と、第2戦『第63回ADAC Reinoldus-Langstreckenrennen』に、小林可夢偉らトヨタGAZOO Racing(TGR)に所属するドライバーが参戦することが、4月3日に主催者から発表されたエントリーリストで明らかとなった。
『TOYOTA GAZOOレーシング』としてVLN 24hスペシャルSP10・GT4 SROのSP10クラスからのエントリーとなった172号車トヨタGRスープラGT4 Evoでは、可夢偉と小高一斗がエントリー。同じくGRスープラGT4 Evoとなる173号車には、平良響と野中誠太の名前が記載されている。4名はいずれも、NLSへ初参戦となる。
「トップ争いはできる」小林可夢偉が2度目のNASCARで得た自信。“トラックリミット・メンタル”をブチ破れ
TGRは2023年12月の国内体制発表のなかで、「NLSシリーズにスポット参戦することでクルマとチームを鍛え、2025年以降のニュルブルクリンク24時間レース参戦に向けた準備を進めていきます」とし、スーパー耐久シリーズと併記する形でジュリアーノ・アレジら10名のドライバーの名前を挙げていたが、今回の4名はいずれもそのときのリストに含まれていない。
ただし、1月10日にTGRから発表されているとおり、小高、平良、野中の3名は2024年、国内外のトップカテゴリーで活躍できるドライバーの育成と輩出を目的としたTGRドライバー・チャレンジ・プログラム(TGR-DC)の育成ドライバーに指名されており、彼らがレギュラー参戦している全日本スーパーフォーミュラ選手権、スーパーGT、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権などの国内シリーズ以外での、具体的なチャンスがめぐってきたと言える。
また、全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦し、WEC世界耐久選手権ではドライバーとチーム代表を兼務する可夢偉は、3月のNASCARカップ・シリーズへのスポット参戦に次ぐ、レギュラー外のシリーズへの挑戦となる。
今回の第1・2戦、同クラスは全15台がエントリーする大所帯となり、木下隆之がドライブする171号車TOYO TIRES with Ring Racingも参戦することなどから、日本人ドライバーで賑わうSP10となりそうだ。
■シリーズ“仲間割れ”も、『元祖』は無事開幕
NLSは予選からレースまで1日完結のプログラムを持つ、4時間耐久戦だ。今季のシーズン開幕戦は2日連続のダブルヘッダーとなることから、ライセンス取得目的で参戦をするドライバーには絶好の機会となる。
NLSやニュルブルクリンク24時間レースには、ほぼ量販車に近いコンパクトカーからGT3まで非常に多くのクラスから多種多様な車両が参戦しており、特にGT3マシン導入時から速度差や経験不足のドライバーを発端にした事故が多発したことにより、DMSB(ドイツモータースポーツ連盟)の監修の下、2015年から座学と実車での講習会、そしてニュル耐久シリーズの事前参加が条件となり、それをクリアしなければライセンスが交付されなくなっている。
これはスーパーライセンスを所有するようなトップドライバーにも例外はなく、一般のアマチュアドライバーらと同様に講習を受ける必要がある。
なお、NLSは昨年シーズン中にオフィシャル幹部メンバーのいわば『仲間割れ』状態が起こり、分裂したメンバーが新たにNES(ニュルブルクリンク・エンデュランス・シリーズ)を立ち上げている。
しかしNESは3月22~23日にニュルブルクリンクのグランプリコースを使用した開幕戦が予定されていたものの、わずか2チームしかエントリーが集まらず中止となっており、5月3~4日に開催予定の第2戦が開催されるのか、注目が集まっている。
これらの『仲間割れ』状態は裁判沙汰にまで発展していたが、あらたにADACドイツ自動車連盟がNLSのオフィシャルスポンサーに就任する等、『元祖』側に大半のスポンサーやチームが留まる形となった。一時はNLSの今後に不安視する声も上がっていたが、例年どおりに開催されるとなる運びとなり、チーム関係者やファンは胸を撫で下ろしている。
NLSの開幕戦が開催される同週末には、ポール・リカールでGTワールドチャレンジ・ヨーロッパの開幕戦に参戦するため、数多くのSP9クラス(GT3車両)のチームやドライバーがNLSを欠場するものの、全エントリーは117台と例年同様の盛り上がりを見せている。長いドイツの冬を経て待ち焦がれた開幕戦だけに、数多くのファンで賑わうに違いない。
なお、シリーズのオフィシャルサイトおよびYoutubeチャンネルにて、レースの模様は視聴が可能だ。
・NLSのスケジュール(4月6日・7日共通)
8:30~10:00(日本時間15:30~17:00) 予選
12:00~16:00(日本時間 19:00~23:00) 決勝
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