2014年1月20日にデビューした3代目となる日産 ティアナ。その試乗記をプレイバック。ミドルサルーンのスタンダードとして実力やいかに?(本稿は「ベストカー」2014年3月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部
「ミドルサルーンの雄」 シリーズ最後となった日産3代目ティアナ試乗プレイバック【ベストカーアーカイブス2014】
【画像ギャラリー】「ミドルサルーンの雄」シリーズ最後となった日産3代目ティアナ試乗プレイバック(13枚)
■「若々しくオシャレで家族や友人を大切にする熟年層」をターゲットに開発された3代目
全長4880mm、全幅1830mm、全高1470mmのボディは堂々たるサイズ感だ
発表に先立つ事前説明会の場で、日本仕様の開発とりまとめを担当した商品企画部の寺田美穂リージョナルプロダクトマネージャー(RPM)は「いまの50歳代は、昔私たちがイメージしていた50歳代とは違います。サザエさんの波平さんは54歳、フネさんは52歳です。あのような古風な50歳代はいらっしゃいませんよね。サザンの桑田さんは57歳、黒木瞳さんは53歳。いまの50歳代の方は若くてオシャレです」。
そのとおりだと思う。いま、この原稿を書いている編集部梅木は来年50歳になる。間違っても家に帰ったら和服でくつろぎはしないし、自分のことを「ワシ」などとは言ったりしない。
新型ティアナは、そんな若々しくオシャレで家族や友人を大切にする熟年層をターゲットに開発したのだという。ふむふむ。
ひと通り試乗をして戻ってくると、日産の人に囲まれて「どうでしたか!?」なんて聞かれたりするのが試乗会というヤツだ。ここで回答に詰まる……。
初代ティアナから伝統的に受け継がれる『おもてなし』の発想はもちろん最新型にも受け継がれ、さらに上質で気持ちのいい室内空間へと発展させている。ボトムが242万9700円という「買いやすさ」も魅力
■新型ティアナにあって、新型ティアナにはないものとは
エンジンはV6を廃止し173ps/23.9kgmの直4、2.5Lのみ。エンジンの選択肢が欲しい!
「うーん、新型ティアナ、とってもいいクルマですよ、うん。室内は広くてインパネやシートの質感も上質だし、乗り心地もしっとりとしていてアッパーミドルクラスのサルーンとしてしっかりとまとまっていますよね」、と答えた。
これはもちろん、偽らざる本音である。直4エンジンだって100km/h巡航時は1500rpmで、音も振動も感じることはなく快適。ただ、合流時の加速で4000rpmも回すと、「ああ4気筒なんだな」と感じちゃうのはちょっとマイナス。
でもね、それでいいのか!? という裏返しでもある。
ティアナの月販目標台数は520台だ。ケタを間違えているのではない。ハリアーが発売1ヶ月で2万5000台だとか、ヴェゼルが3万3000台受注だとかいっているこの時期に、月販目標520台。
もちろんそれはそれでいい。逆に言えば、月々520台、年間6240台売れれば採算が取れるというビジネス上の計算で企画されている、ということ。これは、4ドアセダンの販売が低い位置で頭打ちしている現状の日本マーケットでは正しい判断だろう。
「ティアナのお客様は家族や友人たちとの時間、空間を大切にします。4気筒エンジンしかないとか、馬力がどうだとか、そういうことよりも室内の広さや上質感、乗り心地などを重視されるのです」と寺田RPMは言う。そのとおりかもしれない。
でも、あえて言いたい! 乱暴な表現かもしれないが、月々520人のお客さんしか想定していないのだったら、もっと思い切ったことをして欲しかった。
『新型ティアナは新開発の直列3気筒1.5L直噴ターボを搭載してJC08モード燃費は18.5km/Lです。日本のお客様には3気筒というとちょっと抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、いま、中国では小排気量ターボは高級メカニズムとして高く評価されているんです。
乗っていただければ、ご理解いただけると確信しています。全長4880mm、全幅1830mmの大型サルーンとは思えない軽快で気持ちのいい走りをご提供しています』。
オシャレで若々しい感覚を持った50歳代だったら、こんな作り手のメッセージにビビッとこないわけがない。
「オレが今度買ったクルマは、ちょっとほかの日本車にはない新しいコンセプトなんだよ。次はベンツかBMWにしようと思っていたんだけど、こっちのが面白そうなんだよ。ほら、お前も運転してみろよ!」となる人が年間1万人程度はいる。いや、1万人を振り向かせるクルマ作りをして欲しいのだ。
スバルが先のシカゴショーで新型レガシィを公開した。
サイズ的には新型ティアナやマツダアテンザ、トヨタカムリなどと同クラス。言うまでもなくアメリカをターゲットにしたモデルで、セダンは日本にも導入するようだが、ツーリングワゴンは現行型をもって消滅し、新たなレヴォーグがその位置を受け継ぐ。
堂々たるアッパーミドルサルーンの雰囲気となるスバル レガシィ
スバル レガシィ
新型ティアナvs新型レガシィ比較チェック!
つまり、レヴォーグこそ日本人に向けたジャストサイズ、ジャストマッチのクルマだということ。新型ティアナに、そういった「想い」や「メッセージ」を感じないのだ。
誤解しないでほしいのだが、新型ティアナは「アッパーミドルサイズの4ドアサルーン」としてものすごくバランスされた『いいクルマ』であることは間違いない。ここは声を大に伝えたい。
ただ、ベストカーを読んでくれるようなクルマ好きの皆さんにはちょっと物足りないのではないかと感じるのだ。
あえて苦言を呈したのは「親友には言いにくいことも、厳しいことも言う」、という編集部梅木の信念ゆえとご理解下さい。
本文中ではずいぶんと批判的な書き方をしたが、絶対に誤解して欲しくないのは、「新型ティアナはクルマとしてとてもバランスよく仕上がっている」ということ。乗り心地もいいですよ!
■ズバリ知りたい! ハイブリッドは追加されるのか!?
北米で販売されるアルティマ(=ティアナ)には2.5L、直4+モーターのハイブリッドが設定されている
とりあえず今日現在、新型ティアナのパワーユニットは173ps/23.9kgmを発揮する直列4気筒2.5LのQR25DE型のみ。北米向けアルティマに搭載されるハイブリッドの計画があると思うのだが……!?
「個人的にはハイブリッドが必要だと感じてはいます」と寺田RPMは言う。「アルティマに搭載しているのでメカ的にはなんの問題もありません。あとはお客様が望むかの判断です」と寺田RPM。
■そこが知りたい! 日産デザインは「どこ」を目指す!? 中村史郎常務執行役員に聞く!
中村史郎常務執行役員
新型ティアナとデトロイトショーで発表された「スポーツセダンコンセプト」の関連性を日産のデザインを統括する中村史郎常務執行役員チーフクリエイティブオフィサーに聞いた。
「スポーツセダンコンセプトは、今後の日産ブランド牽引車としてのデザインの提案。次期マキシマのデザインコンセプトとご理解ください。ティアナよりも1クラス上級のサイズで日本にはスカイラインがあるので導入計画はありませんが、アメリカはそのゾーンをインフィニティが担っているので、『日産ブランド』の上級サルーンとなります。日本向けセダンのデザインに活かされるかは……」と。
デトロイトショーで世界初公開された『スポーツセダンコンセプト』はティアナよりも1クラス上級となる次期型マキシマのデザインコンセプトだという
■まとめ:新型ティアナのここがポイント
・全長4880mm(プラス30mm)、全幅1830mm(プラス35mm)、全高1470mm(マイナス5mm)。ひと回り大きくなったボディ
・エンジンはV6を廃止して、2.5L直列4気筒「QR25DE」のみの設定。トランスミッションはCVTでFFのみの設定
・JC08モード燃費=14.4km/L
・改良型QR25DE+新開発エクストロニックCVT、40kgの軽量化、空力の改善等により、燃費は26%改善
・広い室内が自慢。後席ニールームは9mm拡大
・乗り心地、ハンドリングの改善←リアサスはコネクトブッシュ付きマルチリンクサスを採用。応答性の改善と、突起乗り越し性能が 格段に改善されているとのこと
・スパイナルサポート機能付きシート採用。←上体をより幅広い範囲で支持することで、疲労軽減、快適な座り心地の提供を実現
■日産 新型ティアナ 主要諸元
・全長:4880mm
・全幅:1830mm
・全高:1470mm
・ホイールベース:2775mm
・エンジン:直列4気筒DOHC、2488cc
・最高出力:173ps/6000rpm
・最大トルク:23.9kgm/4000rpm
・ラインアップと価格:XE…242万9700円、XL…275万3100円、XV…304万5000円
※新型ティアナのグレードは上記の3タイプのみ。エンジンは2.5L、直4のみで駆動方式はFFだけで4WDはなし。2月17日現在の受注台数は2064台となる
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)
投稿 「ミドルサルーンの雄」 シリーズ最後となった日産3代目ティアナ試乗プレイバック【ベストカーアーカイブス2014】 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。
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みんなのコメント
両親が夫婦揃って出かける姿は絵になる。車の好みや価値観が翻弄されてないことの証。
ブレるのが日産の特徴だから仕方ないか。