■待望の新型「フェアレディZ」登場!
日産の事業構造計画発表「NISSAN NEXT」の最後に流れた「NISSAN NEXT From A to Z」という映像でその存在が明らかになってから1年。
プロトタイプ「Zプロト」を経て量産仕様となる7代目となる新型「フェアレディZ」の北米向けモデルがニューヨーク・ブルックリンでお披露目されました。
【画像】Zブルーがカッコいい! 新型Zの内外装を全部見る(34枚)
Zプロトのお披露目時に、商品企画担当の田村宏志氏は「95%くらい量産モデル」と教えてくれましたが、細かい違いを含めて紹介していきたいと思います。
エクステリアは基本的な造形はZプロトとほぼ同じで、日本刀をイメージしたシュッとした引き締まったプロポーションに、歴代モデルのオマージュが随所にバランスよく盛り込まれた造形は不変ですが、筆者は柔らかな印象だったプロトに対して、シュッとした印象で引き締まって見えました。
これは細部がリアルになったことによる効果でしょうか。
量産モデルになって変わった部分を探していくと、車高とタイヤ&ホイール(RAYS製鍛造アルミホイール+ブリヂストン製ポテンザS007)の位置関係、ブレーキキャリパー(アケボノ製)GT-Rの知見をフィードバックしたというフロントスポイラーやリアウイング、ヘッドライト(オレンジのウインカーが見える)、リアバンパー横のリフレクターなどが異なります。
ボディカラーはモノトーン3色に加えて、新色となるセイランブルーとイカヅチイエローを含む2トーン6色(スーパーブラックルーフとの組み合わせ)が用意されています。
インテリアは、横基調のインパネ周り12.3インチのフルデジタルディスプレイ(3つの表示モード)センターのアナログ3連メーターなど、エクステリア以上にZプロトとの変更点は僅かです。
細かく見ていくと、センターの空調グリルの形状や、カップホルダー前のシートヒーター/リアゲートオープナー、そして3連の空調コントロールの下に見えるふたつのUSBポートくらいです。
ちなみにシートはGT-R開発で培ったノウハウがフィードバックされ、ホールド性/フィット感共にアップ。インテリアカラーはグラファイト/レッド/ブルーの3色が用意されています。
ちなみに限定240台となる特別仕様車「プロトスペック」は、エクステリアに黄色のブレーキキャリパー/ブロンズカラーのアルミホイールの採用、インテリアは随所にイエローのアクセントが施されたコーディネイトなど、「Zプロト」に近い仕様になっています。
ちなみに細かい部分になりますが、「Since1969」のロゴがプリントされたリアウィンドウは何ともニクイ演出です。
パワートレインは、3.7リッターV型6気筒自然吸気エンジンから3リッターV型6気筒ツインターボエンジンに変更。
405ps/475Nmのパフォーマンスから「スカイライン」の400Rグレードにも搭載される「VR30DDTT」です。
トランスミッションはMT/AT共に用意されます。ミドルクラススポーツでは希少なMT(6速MT)となりますが、田村氏は「絶対にMTでなければいけないと思いました」と語っています。
メカニズム自体はZ34用の進化版だと思われますが、より高められたパワー/トルクに対応するべく、クラッチディスクとギアトレイン(新設計のシンクロナイザーシステム&シフトプロファイル変更)の強化など、大きく手が入っているようです。
もちろん、Z34で好評だったシンクロレブコントロールも継続採用されています。
一方、ATは新開発の9速ATの採用です。素早いレスポンスはもちろん、幅広いギアレンジによりエンジンの旨みをさらに引き出しているはずです。
モードはノーマル/スポーツが用意されており、シフトスケジュールに加えてエンジン制御やステアリング制御、さらにVDCの制御なども変更されるそうです。
北米ではスポーツカーのマストアイテムといわれているローンチコントロールは、MT(パフォーマンスグレード)/AT共に用意されています(日産後輪駆動車初採用)。
■プラットフォームはZ34から継承か
車体はZ34から不変の2550mmのホールベースからも解るように、FMプラットフォームが継続採用されますが、エンジンのパフォーマンスアップに合わせてボディ剛性向上はもちろん、より厳しさを増す衝突安全性能にもシッカリ対応。
ステアリングは、Z初となるEPS(ラックアシストタイプ)の採用やフロントタイヤのワイド化(フロント:245/40R19→255/40R18、リア:275/35R19は不変)も相まって、コーナリング性能は最大で13%アップ。
サスペンションはフロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンクと基本構造は不変ですが、ジオメトリー変更による直進安定性向上、新設計となるモノチューブ式ダンパーによるロードホールディング性/快適性向上などなど、総合性能が大きく高められているようです。
田村氏は「目指したのは、市場最高の『Z』を作ること。そのためには、パワフルで俊敏なだけでなく、ドライバーとの一体感を高めることを目指しました」と語っています。
この辺りは絶対的な速さはGT-Rに任せ、Zは自分で操る歓びといった気持ち良さの部分を重視している証拠といえるでしょう。
ちなみに安全/運転支援系のデバイスは内容は不明ながらも、フロントバンパー下/ルームミラー付近の形状(センサー部分)、さらにはステアリングスイッチ(右側)などから推測すると充実しているようです。
ちなみに日本仕様の「フェアレディZ」の発表は今冬を予定していると発表されていますが、Zのキャラクターや田村氏の性格から推測すると、2022年の東京オートサロンなのは間違いないでしょう。
日産はこの1年で大きく変わり始め、業績も着実に回復しています。
やはり自動車メーカーである以上は“クルマ”で勝負する事が最大の特効薬であることを証明しています。
ちなみに先日発表した「アリア」は最先端の電動化と運転支援技術を搭載する次世代のクルマに対し、Zは革新の伝統を受け継ぎドライバーが主役となるクルマと真逆のキャラクターです。
しかし、どちらもラインアップしているのが重要なことだと筆者は考えています。
「生きるための価値」を体現したアリア、そして「生きるための歓び」を体現したZ、どちらも「技術の日産」の証といえるでしょう。
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