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ホンダが燃料電池システムを「売る」。2030年代に年間数十万基の販売を目指す

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ホンダが燃料電池システムを「売る」。2030年代に年間数十万基の販売を目指す

ホンダは2023年2月2日、水素事業の取り組みについての説明会を開催した。ポイントは燃料電池システムの進化と、燃料電池システムの外販の開始である。

ホンダは2050年に同社に関わるすべての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルの実現を目指している。そのなかで水素を電気とともに有望なエネルギーキャリアと位置づけている。

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■燃料電池システムの進化

まずはポイント1つ目の燃料電池システムの進化について。ホンダは30年以上にわたって水素技術や燃料電池自動車(FCEV)の研究・開発を続けてきた。2013年からはアメリカ・ゼネラルモーターズ(GM)と次世代燃料電池システムの共同開発に取り組んでいる。この成果として、2024年に次世代燃料電池システムを搭載したFCEVを北米と日本で発売する。

燃料電池システムの普及や活用拡大については、コストや耐久性が課題になっているが、両社の知見やスケールメリットを生かして開発。電極への革新材料の適用やセルシール構造の進化、補機の簡素化、生産性の向上を図ることで、2019年モデルの燃料電池自動車「クラリティ FUEL CELL」に搭載していた燃料電池システムに対して、コストを3分の1に低減。耐食材料の適用や劣化抑制制御によって、耐久性を2倍以上に向上させ、耐低温性も大幅にアップしたという。

この次世代燃料電池システムは、2022年に北米で発売した新型CR-VをベースとしたFCEVに搭載され、2024年に日本でも発売されることになる。短い燃料充填時間で長距離を走行できるFCEV自体の特徴に加えて、プラグイン機能によって家庭でも充電できるEVの利便性も兼ね備えているという。

なお、このGMの共同開発に加えて、燃料電池の本格普及が見込まれる2030年ごろに向けて開発を進め、GMと共同開発した次世代燃料電池システムと比べて、さらにコストを2分の1に、2倍の耐久性を目標に要素研究を進めるという。つまり、2019年モデルのクラリティ FUEL CELLに対して、コストは6分の1に、耐久性は4倍になるという計算である。

■燃料電池システムの外販

2つ目は燃料電池システムの外販である。カーボンニュートラル社会に貢献するため、コア技術である燃料電池技術をFCEV以外にも適用。燃料電池システムの外販を開始する。2020年代半ばに次世代燃料電池システムのモジュールの外販をスタート。販売当初は年間2000基レベルを想定し、段階的に拡大することで2030年に年間6万基、2030年代後半に年間数十万基レベルの販売を目指すという。

水素はエネルギーを高密度で貯蔵・運搬することができ、短時間で充填ができるという特徴を持つ。燃料電池システムはバッテリーでは対応が難しいとされる、稼働率の高い大型モビリティや大型インフラの電源、短時間でエネルギーの充填が必要なモビリティへの使い道が期待される。そこで、参入初期には自社のFCEVに、商用車、定置電源、建設機械を加えた4つをおもな適用領域として設定し、ビジネス向けへの事業開発も進めているという。

●商用車
日本では、いすゞ自動車との共同研究による燃料電池大型トラック(既存の燃料電池システムを搭載)のモニター車を使った公道での実証実験を2023年度中に開始予定。中国では乗用車での合弁相手である東風汽車と共同で、次世代燃料電池システムを搭載した商用トラックの走行実証実験を2023年1月から湖北省でスタートしている。

●定置電源
近年、クラウドやビッグデータ活用の広がりによって、データセンターの必要電力が急伸し、非常時の際の電源へのニーズが高まっている。そこで、クリーンで静かな非常用電源として、燃料電池システムの適用を提案していく。まずは、2023年2月下旬からアメリカ・カリフォルニア州にある現地法人アメリカン・ホンダモーターの敷地内に、クラリティ FUEL CELLの燃料電池システムを再利用した約500kWの定置電源を設置し、データセンター用の非常用電源として実証運用を開始する。

●建設機械
建設機械市場のなかで大きなセグメントを占めるショベルやホイールローダーから燃料電池システムの適用に取り組むことで、カーボンニュートラル化に貢献。建設機械への水素供給は従来の固定式の水素ステーションでは難しいとされているが、業界団体や関係者と連携して課題解決を図っていくという。

企業ユーザーに燃料電池システムを積極的に活用してもらうためには、導入への開発投資や工数の削減、トータルコストの抑制、安価で安定的な水素の供給といった課題の解決が必要となる。ホンダでは、納入先企業への完成機に燃料電池システムを適合させるための開発サポートはもちろん、アフターメンテナンスや水素の安定供給といった運用面のサポートも提供していくとのことである。

ホンダは将来的に宇宙領域での燃料電池技術の活用も視野に入れて研究開発を進めるという。水素社会の実現に向けてホンダは本気である。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

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みんなのコメント

8件
  • 流石にホンダ。
  • 2024年までFCV車両購入の国補助金があれば良いね。

    でも売れ過ぎても困るよね。
    水素ステーションなさすぎで。
    本気でFCV普及させたいなら
    ホンダが水素ステーションをディーラーに作れば良いのでは?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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