初回 GTSは2021年の極上レシピ
text:Richard Lane(リチャード・レーン)
【画像】最高のレシピ ポルシェ718ボクスター GTS 911 GT3ツーリングPKと比較 全88枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
数ヶ月を1台とともにする長期テストへ加わるクルマは、必ずしもスリリングなモデルに限られるわけではない。それでも、一般的に得られるモノは多い。実際のところ、わたしたちが暮らす日常は穏やかなものだ。
クルマの進化とともにモデル間での個性の違いは薄くなり、ある種の均質化が進んでいる。クルマの備える魅力を理解し、好きだと心から実感するまでの時間は、以前より長くなっているようにも思う。
長期テストに加わっていたシュコダ・オクタビアvRSも、典型的な例だった。第一印象は、強く惹かれるものではなかったかもしれない。だが過ごす時間が長くなるほど、同僚はジワジワと染み入る魅力に惹かれてしまったという。
一方、ポルシェ718ボクスター GTSはそれとは別の種類のクルマだといえる。のっけから、抑えきれないような期待を抱かせてくれる。3枚のペダルに水平対向6気筒のエンジン、後輪駆動という構成は、2021年では極上のレシピだ。
筆者は、2020年の発表時に一度試乗させていただいた。2・3時間ほど運転しただけだったが、この上なく気分を良くしてくれるクルマだった。
一般的なミドシップ・スポーツカーにとって、日常的な使いやすさや乗りやすさは、ウイークポイントの1つ。ボクスター GTSの試乗レポートでの評価はすこぶる高かったものの、長期テストを通じてさらに点数を高めることは難しいかもしれない。
911 GT3ツーリングとの印象の違い
だから、長期テストに加わっただけでも良しとしよう。この赤いボクスター GTSは、英国ポルシェが広報用にメディアへ貸し出してきたクルマ。既にある程度走り込まれ、準備運動は済んでいる。
今回は偶然にも、より新しい992型のポルシェ911 GT3ツーリング・パッケージを試乗する機会があった。長期テストの冒頭には相応しくないかもしれないが、718ボクスター GTSとの印象を比較する結果となった。
既に新しい911 GT3ツーリング・パッケージの良さは、試乗レポートでご紹介済み。出色といえる911のGT3を持ち出してしまうと、比較相手は霞んでしまう。さすがのボクスター GTSでも、最初の10分で優劣が見えてしまった。
ボクスター GTSの方が911 GT3より13kg軽いが、サスペンションはソフトで、少し重いように感じられる。ホイールベースが長いことも、理由の1つだろう。
GT3ツーリング・パッケージに搭載される彫りの深いカーボンファイバー製のバケットシートに座った後だと、ボクスターのスポーツシート・プラスは座面の位置が高く、サポート性も乏しい。だが、ステアリングレスポンスは素晴らしい。
昨年運転した時は、何としてでも手に入れたいと感じた718ボクスター GTS。比較相手次第で、こうも印象が違ってしまうとは。
しかし、さらに数km走ると気持ちが変化していく。911 GT3ツーリング・パッケージの記憶が遠くなるにつれて、ボクスター GTSの印象が強く心身へ響いてくる。より狭いボディ幅が、ストロングポイントとして見えてくる。
軽快で質感の良い乗り心地と静かな車内
適切な表現ではないかもしれないが、911 GT3ツーリング・パッケージの後に乗る718ボクスター GTSは、マツダMX-5(ロードスター)へ近く感じられる。ネットリとした乗り心地も、英国の道路環境へ感心するほど順応している。
タイトなサスペンション設定は、鮮烈なレスポンスを生んでくれるが、過度な緊張感で案外すぐに疲れてしまう。911 GT3でもそうだ。
通常のボクスターより車高が20mm低いGTSの足まわりは、素晴らしい塩梅だといえる。軽快でありながら、質感の良い乗り心地をバランスさせている。
予想外だったのが、6速MTの変速時の重み付けが丁度良く、操作の楽しさがGT3より上だったこと。ソフトトップを閉めていても、走行中は車内が静かだという点もうれしい。
エンジンサウンドは、911 GT3ツーリング・パッケージの圧勝。フラット6が9000rpmまで高まっていく音響は、フェラーリのV12やランボルギーニのV10を持ってこなければ太刀打ちできないだろう。
とはいえ、718ケイマン GTSやボクスター・スパイダーにも搭載される4.0Lフラット6のサウンドが悪いわけではない。個性的で特別な体験を生んでくれる。
通常の911カレラに搭載される3.0Lユニットからターボを外し、ボアとストロークを変えて排気量を増やしたようなユニットではある。チタン製の部品が追加されていたり、特殊なスロットルボディも与えられていない。
だが、アイドリング時のゴロゴロという唸り声は、中回転域にかけてボリュームが増し、6000rpmへ接近するほど吸気音が強く重なってくる。甘美で力強い。
4.0Lフラット6は最高のユニットの1つ
最大トルクは42.9kg-mああり、GT3ツーリング・パッケージと比べると4.9kg-mほど弱いだけ。さらに発生回転域は1000rpmも低い。英国で10万ポンド(1550万円)以下で買えるエンジンとしては、最高のユニットの1つだと思う。
小さなボディに、素晴らしい大排気量エンジンが載っている。718ボクスター GTSの第一印象は、ジュニア・スーパーカーと呼べる領域にある、という内容でまとめることができるだろう。
さて、この718ボクスター GTSには約1万ポンド(155万円)ぶんのオプションが搭載されている。代表的なものとしては、アルカンターラ・インテリアとカーマイン・レッド塗装など。
結果として、英国価格は7万5860ポンド(1175万円)に届いていた。ベースの911カレラが約8万5000ポンド(1317万円)で買えることを考えれば、なかなかの値段だ。だが実際は、カレラでも多くのオプションを載せてしまうはず。
妥当な金額だとはいえるだろう。オプションによって、魅力度も高められているとも思う。だが、完璧なパッケージとはいえないかもしれない。この続きは、次回とさせていただこう。
テストデータ
価格
モデル名:ポルシェ718ボクスター GTS 4.0(英国仕様)
新車価格:6万6340ポンド(1028万円)
テスト車の価格:7万5860ポンド(1175万円)
オプション装備
GTSインテリア・パッケージ:2096ポンド(32万5000円)
カーマインレッド塗装:1658ポンド(25万7000円)
ポルシェ・ダイナミックライト・システム:1397ポンド(21万6000円)
アルカンターラ・パッケージ+GTSインテリア・パッケージ:1242ポンド(19万3000円)
駐車アシスト・リアカメラ:1086ポンド(16万8000円)
2ゾーン・エアコン:539ポンド(8万4000円)
ボディ同色ロールオーバー:357ポンド(5万5000円)
レインセンサー付き自動防眩ミラー:345ポンド(5万3000円)
交通標識認識機能:236ポンド(3万7000円)
クルーズコントロール:228ポンド(3万5000円)
電動フォールディングミラー:210ポンド(3万3000円)
ISOフィックス・助手席シート:126ポンド(2万円)
テストの記録
燃費:7.3km/L
故障:なし
出費:なし
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みんなのコメント
くらべる事自体おかしい
こんな記事書かないでオープンカーのgtsを評価してよ