昨年は同じトヨタのコンパクトSUVであるライズの好調ぶりが目立っていたが、今年に入ってからはまたルーミーの売れ行きが好調だ。
1月から5月の順位はヤリスに続いて登録車2位につけており、4月と5月は軽を含めたトータルでも3位とスペーシアやタント以上に売れている。前年比は4月が238.3%、5月は312.3%だ。
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最近、またルーミーの売れ行きが上向いている。その理由は何か? カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。
文/渡辺陽一郎
写真/TOYOTA、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】実は単独車名では普通車販売トップのトヨタ「ルーミー」その魅力を見る!!
■実は登録車の販売台数トップはルーミー!
今の国内における新車販売台数は、ヤリスが1位とされる。しかしヤリス1車種の販売台数だと思ったら間違いだ。日本自動車販売協会連合会が公表するヤリスの登録台数には、コンパクトカーのヤリスに加えて、SUVのヤリスクロス、スポーツモデルのGRヤリスまで含まれるからだ。一般的な認識として、ヤリスとヤリスクロスは別のクルマになる。
日本の社員者登録台数の算出方法は複雑だ。その中で純粋な車名別新車販売でみた場合、なんと普もっとも売れているのが、トヨタ「ルーミー」だった。意外だがそれだけ売れる理由がある!
そこで両車の登録台数を別々に算出して、ムーヴとムーヴキャンバスなど、ほかの車種も同様に扱うと、2021年5月の国内販売ランキングは以下のようになる。
●2021年5月/国内販売ランキング(車名ではなくボディタイプ別に集計)※赤字は太い書体に
(1)ホンダ N-BOX…………1万4215台
(2)トヨタ ルーミー………1万1597台
(3)スズキ スペーシア……1万479台
(4)トヨタ ヤリスクロス…8840台
(5)ダイハツ タント………8049台
(6)トヨタ ヤリス…………7290台
軽自動車のN-BOXを除いた小型/普通車の1位はルーミーだ。2021年5月にはヤリスの1.6倍売れた。ほかの月を見てもルーミーの売れ行きは好調で、2021年1月以降、1カ月当たりの登録台数は一貫して1万台を超えている。
ルーミーの売れゆきを前年同月と比べても、2021年は1.5倍以上だ。2021年5月は、コロナ禍で売れゆきが落ち込んだ時期との比較になるから、3倍以上に急増した。
■ルーミーの売れ行き好調の理由には、トヨタの新車販売の変更の影響がある
ここまでルーミーの売れ行きが増えた背景には、複数の理由がある。最も大きな影響を与えたのは、2020年9月のマイナーチェンジで、姉妹車のタンクを廃止したことだ。
トヨタは2020年5月に、全店が全車を販売する体制に移行した。それまではルーミーをトヨタ店とカローラ店、タンクをトヨペット店とネッツ店が扱ったが、全店が全車を売るなら姉妹車をそろえる必要はない。
そこで登録台数の多かったルーミーを残してタントは廃止した。その結果、需要がルーミーに集中して売れ行きを伸ばした。
右が存続の「トール」左が廃止の「タンク」トヨタでは全車販売化の為、統合化されたが、製造元のダイハツ「トール」、またスバルでも「ジャスティ」と相変わらずバッチ違いで3車種存在する
ちなみにコロナ禍の影響を受ける前の2019年の登録台数を見ると、ルーミーの1カ月平均は7638台、タンクは6210台であった。両姉妹車を合計すれば1万3848台だから、今日のルーミーを上まわる。
それでも車種数が従来の2車種から1車種に減り、ルーミーの発売は2016年11月だから、今では4年以上を経過した。1カ月の売れゆきが安定的に1万台を超えれば立派だ。
■ルーミーは軽自動車のシェア拡大対抗すべく、急遽開発されたハイトワゴンだった
この背景にはルーミーの商品力がある。もともとルーミーは、急増する軽自動車需要に対抗すべく開発された。2014年には先代ハスラーの登場を切っ掛けに、スズキ対ダイハツの販売合戦が激化して、国内の新車販売台数に占める軽自動車比率が41%に達した(2020年は37%)。
実質的に小型/普通車のみを扱うトヨタは焦りを感じて、トヨタ車ユーザーが軽自動車へ流出するのを防ぐため、ダイハツに大急ぎでルーミーとその姉妹車を開発させた。
当時から軽自動車の売れ筋は、N-BOX、タント、スペーシアなど、全高が1700mmを超えるスライドドアを備えるスーパーハイトワゴンであった。そこでルーミーとその姉妹車も、同様のボディスタイルをコンパクトカーのサイズで踏襲した。
ブームとなった軽のスーパーハイトワゴン勢からの普通車シェア防衛対抗車として、「ルーミー」。パッソ・ブーンをベースにダイハツのノウハウをフル活用して開発された
当時から背の高いコンパクトカーは販売されていたが、スライドドアを備える車種は少数だ。トヨタポルテ&スペイドはスライドドアを装着したが、左側のみでしかも1枚だから、助手席の乗降性は抜群にいいが後席はいま一歩であった。
ホンダフリードスパイク(今日のフリードプラス)は、3列シートのミニバンがベースだから、全長は4200mmを超えてコンパクトカーと呼ぶにはボディが大きい。
そうなるとボディスタイルが軽自動車のスーパーハイトワゴンに近いコンパクトカーは、スズキソリオのみだった。2014年当時のスズキは、小型/普通車の国内販売総数が7万8290台で、2020年の10万7247台に比べると73%に留まった。ソリオの1カ月平均登録台数も、2014年は2740台で、2021年の3000~4000台に比べると少ない。
つまり当時「コンパクトカーのスーパーハイトワゴン」は、ほとんど存在しなかった。トヨタはこれを商品化すれば好調に売れて、小型車から軽自動車のスーパーハイトワゴンに乗り替えるユーザーの流出も防げると判断した。
■コンパクトでハイトなワゴン。わかりやすいコンセプトがユーザーにウケて大ヒット!!
このようにルーミーは目的が明確な商品だから、機能もわかりやすかった。全長は標準ボディが3700mm、エアロパーツを備えたカスタムでも3705mmと短く、最小回転半径は4.6~4.7mだから混雑した街中でも運転しやすい。
その一方で全高は1735mmと高いから車内も広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席を後端までスライドさせると、乗員の膝先空間は握りコブシ3つ半に達した。Lサイズセダンのトヨタセンチュリーと同等だから、後席の足元空間は、前後方向についてはきわめて広い。
ルーミーのパッケージング。軽のスーパーハイトワゴンの利便性ををそのまま小型車に踏襲した形だ。奇をてらったところはないが、居住性と取り回しの良さがまさにファミリー層のツボを突いた
後席は小さく畳めて自転車も積める。路面から荷室床面までの地上高は527mmと低いから、自転車を積む時も前輪を大きく持ち上げる必要はない。荷室のボードを反転させると、汚れを落としやすい素材が貼られ、屋外で使った自転車なども気兼ねなく積める。
収納設備も多彩で、カップホルダーには500mLの紙パックが収まるように工夫した。
これらの機能の大半は、軽自動車のスーパーハイトワゴンには既に採用されていたが、小型車サイズに拡大してルーミーは成功した。「N-BOXのようなコンパクトカーが欲しい」と感じていたユーザーが多かったわけだ。
この点を販売店に尋ねると以下のように返答した。
「ルーミーはさまざまなお客様に購入されている。子育てを終えてヴォクシーのようなミニバンが不要になり、ルーミーにダウンサイジングしたり、2人目の子供が生まれてヴィッツのお客様がルーミーにアップサイジングすることもある。さらに軽自動車のN-BOXやタントと、ルーミーを比べて選ぶお客様もいる」。
ルーミーのリアスタイル。カスタム仕様の為。外装の光り物加飾で素の良さが若干わかり辛いが、大きなガラスエリアやスクエアなリア形状、大きなテールゲートと機能性の良さが見た目で分かる
ルーミーは実用的なコンパクトカーだから、さまざまなユーザーにとって使いやすい。すべてのユーザーに対応できるといっても大げさではない。運転免許を取得したらルーミーを購入する。コンパクトだから運転しやすく、結婚して2人でドライブに出かける時も便利だ。
子供ができて後席にチャイルドシートを装着する時も、ルーミーなら重宝する。チャイルドシートを装着した後席を前寄りにスライドさせると、運転席に座る親との間隔が縮まり、信号待ちの時などに子供のケアをしやすい。この時には後席の後ろ側が広い荷室になり、子供用のベビーカーや自転車を積みやすい。
後席のアレンジの豊富さと積載性の良さもルーミーの魅力。コンパクトモデルながら、地上高の低さやスライドドアならではのドアトリムの張り出しの無さもスペースの有効活用に一役買った
そして子供が成長して独立しても、ルーミーならムダが生じない。高齢になっても運転しやすい。このようにルーミーは、運転を開始してからカーライフを引退するまで、生涯にわたり使い続けられる機能を備える。だからこそ売れゆきも好調だ。
■短期間で開発されたアラもちらほら。新型ソリオの登場で、余計に目立ってきた
ただしルーミーは2014年に開発を開始して、2016年に発売したから、開発期間が短かった。プラットフォームはパッソ&ブーンと共通で、背の高いボディによって車両重量は約200kg増えたから、操舵感が曖昧で走行安定性もよくない。燃費を重視したタイヤを装着することもあって乗り心地も粗い。
エンジンはパッソ&ブーンと共通の直列3気筒1Lで、ボディが重いから登坂路ではパワー不足を感じやすい。ターボなら1.4Lに相当する性能を発揮するが、2000~3000回転のノイズが耳障りに感じる。
ルーミーのインパネ。よくできたクルマであるが、メーターやサブディスプレイの表示機能に、煮詰め不足な部分も。遮音やスイッチの操作感も良くできた今ドキ軽にも劣る部分も目立つ
居住性では後席に注意したい。小さく畳む荷室の機能を重視したので、座り心地は柔軟性が乏しい。積載性、収納性、狭い場所での取りまわし性はいいが、欠点も相応に散見されるので注意したい。ライバル車のソリオと乗り比べると、ルーミーの欠点がわかりやすい。
■ルーミーを選ぶときはコスパに惑わされることなく、機能性も加味して慎重に選びたい
ルーミーのグレード選びは、衝突被害軽減ブレーキを全車に標準装着したから、価格を抑えたいなら標準ボディのX(155万6500円)でもいい。LEDヘッドランプは6万6000円でオプション装着できる。
予算に余裕があるなら、推奨度の高いG(174万3500円)を選ぶ。Xに比べて18万7000円高いが、右側スライドドアの電動機能、エアコンのオート機能、充電用USB端子、LEDヘッドランプなどが標準装着されて装備は幅広く充実する。
どのグレードも価格は抑え目で買い得感は高い。しかし、ご自身の使用方法に合わせたグレード選択をするために、ぜひじっくり試乗されることをお勧めする
試乗して登坂路などでパワー不足を感じた時は、ターボのG-T(186万4500円)も検討する。Gと比べて12万1000円の価格アップは少し割高だが、最大トルクは1.5倍に増強されて、パワー不足を解消する。ルーミーは試乗を入念に行って選んでいただきたい。
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