F1新レギュレーション、1～2チームは解釈を”完全に”間違っている可能性アリ？ メルセデス技術代表が示唆

　メルセデスF1のチーフ・テクニカル・オフィサーを務めるジェームス・アリソンは、新しいテクニカルレギュレーションが導入される2022年のF1について、いくつかのチームはその解釈を完全に誤り、大きく出遅れる可能性があると考えている。

　各F1チームは現在、2月23日からスペインのカタルニア・サーキットで行なわれるプレシーズンテストに向け、2022年用マシンの最終仕上げを行なっている。

　今季のF1マシンは、テクニカルレギュレーションの変更により、コンセプトが一変。マシンの各所に取り付けられていた空力パーツが排除され、グラウンドエフェクト効果でダウンフォースを稼ぐ方向性となる。これによって、接近戦やオーバーテイクが増加することが期待されている。

　レギュレーションの大変更により、勢力図も大きく変わるのではないかと想像することもできる。しかしまだいずれのチームのニューマシンも発表されておらず、走行も行なわれていない状態。そんな中で勢力図を予想するのは時期尚早ではあるが、メルセデスのアリソンは、全てのチームが新しいルールで可能なデザインを正しく理解しているとは限らないと考えている。そしていくつかのチームは、レギュレーションの解釈を間違えることで、厳しいシーズンになる可能性があると示唆する。

「我々のチームの全員、そして他の全てのチームの全員が、この新しいレギュレーション下で満足できるデザインとアプローチを見つけるために、最善を尽くしてきた」

　アリソンは、2022年のレギュレーションについて、メルセデスが公開した動画の中でそう語った。

「今シーズンの序盤、そしてそこから始まっていくレースで、勢力図にどんな影響が出るかを、誰もが初めて知ることになるだろう」

「マシンがとても大きく変わることを考えると、グリッド上の1～2チームのマシンが、ひどく間違ってしまっているかもしれない。そうなれば、彼らにとってはとても辛い1年になるだろう」

「我々全員が、ある程度予期しなかったものを残してしまっているだろうと想像している。そして他のマシンを見て『ああっ、どうしてこういうことを考えなかったんだろうか』と思うこともあるはずだ」

「そういうことがあれば、そのアイデアをできるだけ早く自分たちのマシンに取り入れようとする。初戦でのポジションから、是が非でも前進するためにね。もし幸運にも先頭に立つことができたとしても、後ろから追いかけてくる”オオカミ”たちに追いつかれないようにするために、そういうことを行なうこともある」

「かなり忙しい日々になるだろう。そして間違いなく、シーズンを通じて我々の誰もが、ゆっくり眠る時間をほとんど取れなくなるだろう」

　2014年以降、コンストラクターズタイトルを8連覇しているメルセデスは、レギュレーション変更によって最も失うことが多いチームであると言える。しかしアリソンは、今回の変更によって与えられた”課題”に挑むことにワクワクしていると語る。

「今回のようにレギュレーションが大幅に変更された時、我々は楽しみを持ってそれにアプローチするし、その挑戦に値するということを楽しんでいる」

　そうアリソンは語る。

「我々の仕事は、技術面およびレギュレーションにおける”チャンス”を探し、我々の理解力とスキルを組み合わせて、全ての努力を注ぎ込み、他の誰よりも優れたマシンの構成を探すことにある」

「全てがこれほど大きく変わる時には、レギュレーションのどこを見ても、従来のモノの倍以上のチャンスがあるはずだ」

「でもチャンスがある一方でリスクもある。我々は地雷原を駆け抜け、そこに埋められている可能性がある全ての小さな宝箱を探し出して、最終的にはグリッドの一番前に立つマシンになっていることを期待している」

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