伝統のブランズハッチ、グランプリ・サーキットで開催された2025年BTCCイギリス・ツーリングカー選手権最終戦、第10戦となる天王山は、選手権首位の優位性を活かしながらレース2で勝利を飾ったトム・イングラム(チーム・ヴェルツ/ヒョンデi30ファストバックNパフォーマンス)が、自身2度目のチャンピオンを獲得することに。
最終のレース3では、今季中盤でホンダ陣営の活動休止により“古巣復帰”を強いられるなど、激動の1年を過ごしたジョシュ・クック(TOYOTA GAZOO Racing UK/トヨタ・カローラGRスポーツ)が、シーズン初優勝で有終の美を飾っている。
全焼被災したPMRが来季新型『アウディS3セダン』の投入を発表。BMWの王者はシリーズ離脱へ/BTCC
前戦シルバーストンでは、新たなジュニア選手権の再生計画や“悪童”ジェイソン・プラトの2026年BTCCカムバック表明など、話題満載のレースウイークを過ごしたが、今回のブランズハッチはランキング首位を行くイングラムに対し、前人未到5度目の王座を狙うアシュリー・サットン(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)が挑戦。このふたりの一騎打ちによるタイトル決定の緊張感に包まれる週末となった。
そんな主役たちはタイムボードを気にせず、自身のセットアップ調整に盤石を期す構えのなか、走り出しのフリープラクティス(FP)はサットンの僚友であるダン・カミッシュ(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)が最速。続くFP2では前戦初ポールポジションを獲得した名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)のダリル・デレオン(WSR/BMW 330i Mスポーツ)が、その好調を維持する勢いを披露した。
すると予選でもBMWのスピードは衰えず、弱冠20歳の新鋭デレオンがラップレコードを塗り替えての2戦連続ポールを射止め「予選としてはこれ以上望めない最高の結果だ」と、歓喜に沸くピットで笑顔を見せた。
「今週末はジャック・シアーズ・トロフィー(新人賞に相当)獲得に集中しているから、ポールポジションを獲得し、最寄りのライバルに数ポジション差をつけられたことは、明日に向けて良い準備となる」と続けたデレオン。
「Q1でパンクに見舞われ、もしかしたら通過できないかもしれないと思った。でも、ありがたいことにWSRのクルーがすぐに状況を改善してくれて、クイックシックスに挑むことが出来たんだ」
しかし日曜に向け「最近、レース1のスタートで失敗ばかりだったから、明日はしっかりとした走りをして、決勝3ヒートで良い結果を持ち帰れることを願っている」と意気込んだデレオンだったが、ポールシッターはメカニカルトラブルでピットレーンに送り込まれ、まさかのリタイアを余儀なくされるというドラマが巻き起こる。
これで空席となったフロントロウの片側からスタートを切ったカミッシュが、そのまま勢いに乗って今季3勝目を飾る一方、このブランズハッチを前に今季限りでのBTCC卒業を表明していた王者ジェイク・ヒル(レーザー・ツールズ・レーシング・ウィズMBモータースポーツ/BMW 330i Mスポーツ)も、左フロントタイヤのパンクに見舞われ表彰台獲得の望みが絶たれてしまう。
さらにこのヒートで無理をせず5位フィニッシュとしたイングラムに対し、巻き返しを計りたいサットンはまさかの9位。この時点で「大勢は決した」との空気が広まるなか、大量37ポイントのリードでレース2に臨んだイングラムは、ソフトタイヤを履くとすぐに5番グリッドから追い上げ、オープニングラップを終える頃には3番手までジャンプアップしていく。
そして2周目には早くも2番手としたところで、前方を走るのは僚友のトム・チルトン(チーム・ヴェルツ/ヒョンデi30ファストバックNパフォーマンス)のみ。間もなくダブルチャンピオンとなるヒョンデのエースは、チームメイトから悠々とポジションを譲り受ける。
あとはリードを最後まで守り抜くだけ……と思われたところでイングラムに2度の窮地が訪れ、1回目はチャールズ・レインフォード(LKQユーロ・カー・パーツ・ウィズWSR/BMW 330i Mスポーツ)とアーロン-テイラー・スミス(TOYOTA GAZOO Racing UKウィズIAA/トヨタ・カローラGRスポーツ)の接触事故で、2回目もテイラー・スミスが僚友クックによってグラベルトラップに押し込まれたことで、どちらもセーフティカー(SC)によるリスタートを強いられる。
後方車列とパックになった息が詰まる状況のなか、ここでもイングラムは冷静さを保ち、スタートの9番グリッドから背後の2番手まで追い上げてきたサットンも従え、今季7勝目で自らのシリーズチャンピオン獲得に華を添えた。
「今年の出来事すべてを考えると、この特別な気持ちを言葉で表すことはできない。人生最高のレースシーズンだったよ!」と喜びを露わにしたイングラム。
「このシーズンにすべてを注ぎ込んだ。肉体的にも精神的にも信じられないほどハードワークだったし、舞台裏での努力は比類のないものだった。こんなことは今まで見たことがないよ。BTCCはずっと僕の夢であり、情熱であり、趣味であり、すべてだ」
そしてフォード・フォーカスSTを操り「彼に挑むことができたのは我々だけだった。しかも今季のヒョンデの強さを考えれば、事実上、片手を縛られた状態でそれを成し遂げたんだ。トム(・イングラム)とエクセラーエイトの全員に祝福を贈りたい」と“4冠”サットンから賞賛の言葉を受け取ったイングラムは、自身の胸中にあった本音を次のように続けた。
「正直に言えば“一発屋”になりたくなかったし、今回は(初戴冠の)2022年よりも特別な気持ちだよ。2022年は“アンダードッグ”として週末を迎え、見事に勝利を掴んだような気分だったけど、今年は何もかもが完璧だった。心の底から皆に感謝したい」
これでタイトル争いが決着した今季最終ヒートは、週末を通じて予選での不運を挽回し、最後尾スタートからレース2を含め見事な巻き返しを見せ、リバースグリッド最終戦でフロントロウの好機を得たクックが主役を演じることに。
リバースポールのエイデン・モファット(LKQユーロ・カー・パーツ・ウィズWSR/BMW 330i Mスポーツ)と、その僚友で3番手につけたヒルらと同様に、このヒートに向けソフトコンパウンドを温存していたトヨタ・カローラGRスポーツは、そのグリップを最大限に活かし、4周目にモファットのインを突いてトップに躍り出る。
直後に再度のSCでクックもリスタート勝負を強いられたが、同じくソフトタイヤを装着していたサットンがBMWを仕留めてカローラを猛追してくるなか、ここでも勝負強さを発揮したクックがチャンピオン経験者の攻撃を封印。こちらも今季中盤よりTOCA共通エンジンに換装されたトヨタでチーム復帰後の初勝利を収めている。
https://www.youtube.com/watch?v=TWAnfme_qIw
[オートスポーツweb 2025年10月09日]
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