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「予定通りタイヤマネージメントだ」序盤からスロー走行戦略で僚友をサポートしたローソン【F1第8戦無線レビュー(1)】

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「予定通りタイヤマネージメントだ」序盤からスロー走行戦略で僚友をサポートしたローソン【F1第8戦無線レビュー(1)】

 2025年F1第8戦モナコGP。今年のレースは、追い抜きの難しい現状をなんとか変えようと、ピットストップを2回行うことが義務付けられた。しかしレースが始まると、各車タイヤをマネージメントするためペースを落として走行することになった。モナコGP前半を無線とともに振り返る。

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 2回ストップが義務付けられた今年のモナコGP。去年より一段階柔らかいタイヤ、高い路面温度も相まって、抜きつ抜かれつのレース展開になるかと思われたが……。

ウィル・ジョゼフ(→ランド・ノリス):タイヤ情報だ。ハードがけっこう多い。フェルスタッペン、アロンソ、ハミルトン、サインツ、ラッセル、アントネッリ、コラピント、ストロール。角田はソフトだ。

 スタート直後のポルティエで、ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)が止まりきれず、タイヤバリアに突っ込んでいった。

ヨルン・ベッカー:バックできるか?ボルトレート:なんとかね。キミ(・アントネッリ)が押し出したんだ。クルマは大丈夫?ベッカー:フロントウイングにダメージだ。ピットインして交換する。何が起きたか、見ていたよ。ボルトレート:アントネッリ、絶対わざとだったよ。ベッカー:心配するな。

 しかしレース中のインシデントとして、お咎めなしの裁定が下った。

6周目エルネスト・デジデリオ:予定通り、タイヤマネージメントに入る。リアム・ローソン:了解。前の連中も、すごくペースが遅い。

 去年同様、先頭のランド・ノリス(マクラーレン)以下、早くもスローペースの周回が始まった。

7周目ピエール・アムラン(→アイザック・ハジャー):プランAで行くぞ。タイヤの状態はいい。リアムはタイヤに苦労している。

ローソン:このまま抜かれずに行けるか、自信がない。デジデリオ:わかった。セクター2で(タイヤを)使うんだ。

 5番手を快走するハジャー。一方9番手ローソンは、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)に迫られていた。

 8周目、角田裕毅(レッドブル)とピエール・ガスリー(アルピーヌ)がヌーベルシケインのブレーキングで接触した。

ガスリー:ブレーキが効かない。

角田:バカなのか? 何やってるんだ?リチャード・ウッド:ダメージは?角田:わからない。後ろから押された。

 角田の右リヤにガスリーが突っ込み、左フロントを大破したガスリーはそのままリタイアとなった。「ブレーキが効かない」はクラッシュ後の無線で、「ユウキがブレーキング後にラインを変えたせいだ」とガスリーはレース後に非難した。しかしスチュワードは、「ガスリーに非がある」という裁定だった。

10周目アルボン:リアムは明らかにスロー走行してる。ジェームズ・アーウィン:了解。

デジデリオ(→ローソン):いい仕事をしているぞ。もうちょっと頑張ってみよう。

アーウィン:今が辛抱だ。アルボン:了解。

デジデリオ:いいぞ。そのままマージンを築くんだ。ローソン:わかった。でもこれ以上は無理かも。

14周目ノリス:左フロントにアブレージョンが見える。全車、同じだけどね。

 路面温度が40度を超えるコンディションもあって、クリーンエアで走る首位ノリスでさえ、タイヤを持たせるのに苦労しているようだった。

 15周目、5番手ハジャーが早めのピットインを敢行した。6番手のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)陣営は、ステイアウトを決めた。しかしアロンソ自身は、それに懐疑的なようだった。

クリス・クローニン:ハジャーがピットインした。ペース維持だ。(フロンウウイングの)フラップは大丈夫か?アロンソ:フラップは問題ないけど、どんなプランで行くんだ?ターゲットラップは何周なんだ?

 9番手ローソンが背後のアルボン以下を抑え続けたおかげで、ハジャーは8番手でコース復帰できた。

 5番手に上がったアロンソは、16周目まで引っ張ってピットイン。しかしハジャーを逆転することはできなかった。

クローニン:ハジャーは前だ。アロンソ:戦略担当は、何やってるんだ?! 説明してくれ。

 ペース自体はアストンマーティンの方が速かっただけに、アロンソは不満をあらわにした。

ボルトレート:アントネッリにかなり近づけている感じだ。あいつはペナルティ受けたの?ベッカー:いや、ペナルティはない。ノーペナルティだ。ボルトレート:そうなんだ。だったら次は、僕がウォールに送り込んでやるよ。ベッカー:ギャビー、今はできることを確実にやるんだ。このシナリオを成功させることだけを考えろ。

 ハジャーを皮切りに、アロンソ、エステバン・オコン(ハース)ら入賞圏内のドライバーたちがピットインする状況で、フェラーリ陣営も慌ただしくなってきた。

17周目シャルル・ルクレール:僕にどうしてほしいんだ? プッシュし続ける? ステイアウト?ブライアン・ボッツィ:ステイアウトだ。

ルイス・ハミルトン:何してほしい?リカルド・アダミ:プッシュだ。

 ハミルトンは直後の18周目に最初のピットイン。ルクレールはその後22周目まで引っ張った。

クローニン:プッシュしてハミルトンを防ぐんだ。アロンソ:これ以上プッシュできないよ!! グレイニングが出てるし、もう終わりだ! どうしてあそこでピットしたんだ?

 アロンソがここまで感情的になるのも珍しい。ハミルトンはハジャー、アロンソのオーバーカットに成功して、5番手に上がった。同じことが、なぜ僕らにはできなかったんだという思いなのだろう。

 20周目、ハジャーが再びピットに向かい、2回ストップ義務を早くも消化した。

デジデリオ(→ローソン):イザックがピットから出てくるぞ。ここからは思い切りプッシュしよう。

20周目トム・スタラード(→オスカー・ピアストリ):ボックスしてルクレールを抜くぞ。

 しかしピットインに3秒8かかってしまい、22周目にピットインしたルクレールの後塵を拝した。

23周目スティーブン・ペトリック(→ニコ・ヒュルケンベルグ):ローソンのラップタイムは16秒7だ。ヒュルケンベルグ:そう言われてもねえ。トラフィックのど真ん中にハマってて、何もできないよ。

24周目ピアストリ:これからどうする? 今までは、あまりうまく行ってないよね。スタラード:ハミルトンとのSCギャップをキープする。そしてルクレールについていくんだ。

26周目ガエタン・イエゴ:カルロス、重要な指示だ。ターゲットラップは19秒0だ。サインツ:了解。

 1分19秒0は、かなり遅いラップタイムだ。すぐ前を行くアルボンがピットインで順位を落とさないよう、ペースを落としてギャップを築けという指示だった。

ジョージ・ラッセル:サインツがバックオフした。マーカス・ダドリー:ああ。19秒0をターゲットにしてる。僕らを渋滞させるつもりだ。トト・ウォルフ代表:あいつらにサプライズを見せてやれ、ジョージ。

 しかしこれだけ抜けないモナコでは、やれることは少ない。だがラッセルはすでにこの時点で、たとえペナルティを受けてもショートカットして前に出る作戦を考えていたのかもしれない。

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F1第8戦無線レビュー(2)に続く

[オートスポーツweb 2025年05月29日]

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