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まさに「ポスト・クラウン」!? 今年が勝負! 岐路に立たされたクルマたち

掲載 更新 33
まさに「ポスト・クラウン」!? 今年が勝負! 岐路に立たされたクルマたち

 後継モデル開発か、路線変更か……はたまたモデル廃止か。

 岐路に立たされている「今年が勝負」なクルマを自動車評論家4名が2台ずつ紹介。

商品開発にも影響絶大!? N-BOX大ヒットで変わったホンダ車の功罪

 ガンバレ、今年が勝負のクルマたち! 未来は僕らの手の中!

※本稿は2021年3月のものです
文/国沢光宏、清水草一、渡辺陽一郎、岡本幸一郎 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2021年4月10日号

【画像ギャラリー】崖っぷち!? いやいやまだまだ大丈夫!!? 勝負どころの8台をギャラリーでチェック!!!

■国沢光宏が選ぶ今年勝負の2台

●発売初年度から正念場! ホンダ・ヴェゼル

 お披露目されたばかりの新型ヴェゼルながら、次期型の開発に今年から着手すると思う。ヴェゼルというモデル、本来はブラジルなど新興国向けモデルとして企画されたのだけれど、日本でのみ大ヒットした。

 ブラジルやタイといった新興国では割高感が強かったようだ。実際、今はヴェゼルより安価なWR-Vというモデルが主力になってます。

 そして次期型のタイミングになると世界的には電気自動車でしょう。となればプラットフォームから変更しなければならない。

 エンジンを搭載するヴェゼル、日本で爆発的に売れないかぎり最後になるんじゃなかろうか。次は電気自動車です。

●ホンダ・ヴェゼル 過去5年販売実績
・2016年…7万3889台
・2017年…6万4332台
・2018年…5万9629台
・2019年…5万5886台
・2020年…3万2931台
・2021年…?

コンパクトSUVのライズとヤリスクロスが大ヒットした影響をモロに受けるヴェゼル。登場初年度、いきなり勝負の年だ

●3列シートSUV定番化なるか? マツダ・CX-8

 CX-8というモデル、なかなか微妙な状況にある。

 というのもマツダにとって収益の柱となっている北米市場にはCX-9というひと回り大きなモデルがあるし、欧州市場を見ると厳しい燃費規制の施行により平均燃費の悪いマツダは大柄なSUVなど出せない状況。

 2018年に中国市場へ投入したものの、2019年の月販平均200台程度。2020年になって壊滅的な販売台数となった。日本市場の一本足打法といってよい。

 しかも2022年からCX-5など「ラージ」と呼ばれる縦置き直列6気筒搭載モデルに切り替わっていく。

 今年、日本で売れゆきが伸びなければ現行モデルかぎりの絶版になってしまう可能性大。残念です。

●マツダ・CX-8 過去5年販売実績
・2016年…─
・2017年…─
・2018年…3万701台
・2019年…2万3294台
・2020年…1万4047台
・2021年…?

ミニバン製造をやめたマツダ。本来であれば他社のミニバンと遜色ない販売台数が必要なハズ。一代で終わってしまうのか?

■清水草一が選ぶ今年勝負の2台

●e-POWER一本足打法 日産・ノート

 日産得意のe-POWERに絞って勝負に出たノート。先代は年間販売台数1位を奪取するなど、想像をはるかに超える大ブレイクで国内販売を支えただけに、力が入っているし出来もイイ。

 つまり真っ当な意味でも今年は勝負なのだが、もうひとつ重要な勝負は「セットオプション42万円のプロパイロット」だ。

 この強気の値付けはどこからきたのか? ライバルのヤリスやフィットがACC標準装備なだけに、よほど自信があるのか。はっきり言って高すぎる!

 今はまだ発表直後なのでいいけれど、今年後半には失速する可能性が高いと見る。テコ入れはあるのか? とにかく今年が勝負だ。

●日産・ノート過去5年販売実績
・2016年…10万2402台
・2017年…13万8905台
・2018年…13万6324台
・2019年…12万5587台
・2020年…7万2205台
・2021年…?

スカイラインハイブリッドに搭載されているプロパイロットより1世代前のプロパイロットでプラス42万円。高っ!

●大幅値下げでシェア獲得なるか? テスラ・モデル3

 テスラは日本市場をあまり重視していない印象だったけれど、そんなこととは無関係に、今回のモデル3の大幅値下げには驚嘆した。

 中間グレードのロングレンジAWDでなんと156万円の値下げ!

 テスラ・モデル3の値下げは、日本向けの製品が中国工場製に切り替わったことに伴うもので、中国、欧州に続く既定路線のようだけれど、いざ実際に実行されると、衝撃はケタはずれだ。

 これでモデル3の売れゆきはどう変化するのか? 爆売れするのか? それともやっぱり保守的な日本市場ではそうでもないのか?

 テスラにとっての勝負の年というより、日本という国が試されている気がする。

イッキにお得感が増したテスラ・モデル3。世界規模では2020年に約50万台を販売している。今回の値下げにより、日本でもヒットするのかが注目だ

■渡辺陽一郎が選ぶ 今年勝負の2台

●水素社会実現の鍵を握る トヨタ・MIRAI

 MIRAIは今年が勝負だ。水素ステーションの数は、全国で約140カ所に留まる。給油所の3万カ所に比べて大幅に少ない。

 従って販売は低調で、先代型の1年間の登録台数は1000台以下だ。これではMIRAIの存在感は次第に薄れる。販売促進ではなく認知向上のために、イベントなどを行いたい。

 カーオーディオのマニアも重要な顧客だ。新型MIRAIの車内は抜群に静かだから、音響性能をさらに高めた特別仕様車を設定する。

 ZにはJBLプレミアムサウンドシステムが用意されるので、制振材や吸音材も加えて、最良のオーディオ空間に仕上げたモデルを発売したい。

●トヨタ・MIRAI 過去5年販売実績
・2016年…950台
・2017年…766台
・2018年…575台
・2019年…694台
・2020年…717台
・2021年…?

クルマの評判は上々だが、価格・サイズ感が大衆向けではないMIRAI。今年が勝負

●すっかり影が薄くなった ホンダ・ステップワゴン

 ステップワゴンは存続の危機にある。2020年の登録台数は1カ月平均で2870台だから、ライバル車となるセレナやヴォクシーの半数だ。

 また1996年登場の初代ステップワゴンや2001年の2代目は、発売直後に1カ月で約9100台を登録した。今は当時の約30%だ。

 ミニバンは日本向けの商品だから、低迷が続くと車種の廃止もあり得る。

 ステップワゴンのハイブリッドは価格が340万円以上と高いから、今後は1.5Lターボに力を入れる。SUV風のクロスターを加えて、標準ボディのGと同等の270万円前後で発売する。

 スパーダにも同価格のグレードを用意して、出費にシビアな奥様層に直接訴求してはどうか。

●ホンダ・ステップワゴン 過去5年販売実績
・2016年…5万2472台
・2017年…4万6457台
・2018年…5万6872台
・2019年…5万2676台
・2020年…3万4441台
・2021年…?

ステップワゴンは今年盛り返せなかったら、方向転換したほうがよさそうだ。とにかく最近影が薄い。がんばれステップワゴン

■岡本幸一郎が選ぶ 今年勝負の2台

●日本市場では鳴かず飛ばず マツダ・MAZDA3

 見た目はオシャレなのに走るといろいろいたらない点があって、海外での評価とは裏腹に日本での評判はいまひとつ。

 SKYACTIV-Xも価格の高さがネックで売れゆきは伸び悩んでいる。

 そこに送り出された改良版がなかなかの力作だ。

 走りは大幅に洗練されて、制御が粗削りで速度標識の誤認などバグも見られたADASもずいぶん改良された。このよさをちゃんと周知させることがまず大事。

 マツダの頻繁な改良はかえって買い控えを呼んでいる感もなきにしもあらず。

 このほど無償アップデートが始まったのは画期的。これで上手くいかないわけがない!?

●マツダ・MAZDA3 過去5年販売実績 ※アクセラ含む
・2016年…2万6342台
・2017年…2万5837台
・2018年…1万7767台
・2019年…2万4667台
・2020年…1万9215台
・2021年…?

改良でかなりよくなったマツダ3。もう見た目だけとは言わせない! 今年が勝負だ。目指せ月販5000台……はさすがに無理か?

●ヤリスに負けてはダメだ ホンダ・フィット

 クルマとしての完成度は申し分ないのに、かつての勢いが感じられない。ほのぼのしたデザインもどうやらあまり受けていない感がある。

 ホンダセンシングだって、レーダーが廃されたことが指摘されがちだけど、機能としてはずっと従来よりも充実している。

 退化ではなく進化したことをちゃんと世に理解してもらわないといけない。

 とにかく持ち前の強みである「心地よさ」をもっと正しく知ってもらうことが大事だ。さらには待望の走り系モデルが追加との情報も。

 そのあたりもネタにして多くの人に興味を持ってもらって、ぜひ巻き返しを図りたいところだ。

●ホンダ・フィット 過去5年販売実績
・2016年…10万5662台
・2017年…9万7939台
・2018年…9万720台
・2019年…7万4410台
・2020年…9万8210台
・2021年…?

本当のライバルはヤリスではなくN-BOXな気がするフィット。今年は勝負だ!

*   *   *

 ピンチはチャンスでもある。各車とも、今年は死に物狂いでがんばってほしい。

【番外コラム】売れ続けると実はヤバい ホンダ・N-BOX

 N-BOXは売れ過ぎだ。2020年に国内で新車販売されたホンダ車のうち、32%がN-BOXだった。軽自動車全体なら50%を超える。

 そして軽自動車に偏ったホンダの売れ方は、今では10年近く続いているから、ホンダのブランドイメージも変化した。

 中高年齢層にはスポーティカーの印象が強いが、若い人たちから見ると小さなクルマのメーカーだ。このままではホンダの儲けはさらに減る。

 軽自動車比率が増えることで、今以上の増税も心配される。そうなれば日常の移動を軽自動車に頼る高齢者から、ライフラインを奪ってしまう。

 ホンダは小型/普通車に力を入れて、軽自動車比率を30%以下に抑えるべきだ。

N-BOXの販売台数はそのままに、普通車の販売台数を伸ばして軽販売比率を抑えたいところ

(TEXT/渡辺陽一郎)

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  • 1本足打法は広範囲球種に対応できる打法。知らないなら変な例えはやめた方がいいです。
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